この記事をまとめると
■自動車のエンジンは多気筒化すればそれだけ振動が少なくスムースにまわるといわれている



■一般的には1気筒あたり500cc±αが最適とされるが軽自動車の主流は3気筒となっている



■技術の進化で多気筒化よりも軽量コンパクト化が現在の主流となっている



シリンダー数が多いほど上質な回転フィールに

自動車のエンジンとシリンダー数の関係を考えたことがあるだろうか? 一般的には、シリンダー数が増えるほど振動が少なく、上質で滑らかなまわり方になると言われている。



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では、1シリンダーあたりの適切な排気量というものはあるのだろうか? これも一般的には、1シリンダーあたり400~600cc(500ccを基準にプラスマスナス20%)が適切だと言われている。実際、この例に当てはめると、4気筒なら1600~2400cc、6気筒なら2400~3600cc、8気筒なら3200~4800cc、10気筒なら4000~6000cc、12気筒なら4800~7200ccが適正な範囲ということになる。



現実的には、1000ccの4気筒エンジン(日産マーチなど)も存在したし、逆に3000ccの4気筒エンジン(ポルシェ968など)も実用化されていた。この例から逆算すると、マーチの場合は1シリンダーが250cc、ポルシェの場合は1シリンダーが750ccということになるが、いずれも市販車用エンジンとして安定した性能を発揮していた。



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同一排気量の場合、シリンダー数が多いとエンジン全体での摩擦損失が大きくなり、またエンジン自体も大型重量級になるというデメリットがある反面、滑らかな回転と高速回転が可能となることから高出力化に向くというメリットを持つ。一方、シリンダー数が少ないと、回転バランスの点で振動がでやすいというデメリットに対し、エンジン自体が軽量・コンパクトに仕上がるメリットを持っている。



結論から言えば、いずれも一長一短なのだが、軽量コンパクトに仕上げて排出ガスの総量を減らそうという現代の流れにあっては、小排気量エンジンではシリンダー数を少なくする傾向にある。1000ccでは3気筒が標準的なシリンダー数となり、場合によっては1600ccクラスのエンジンでも3気筒+ターボによる高性能エンジンがリリースされる状況だ。



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ちなみに、660ccの軽自動車の主流は3気筒で、1シリンダーあたりの排気量は220ccとなる。4サイクル3気筒が回転バランスに優れることは、WEB CARTOPでも何度か触れてきたが、かつて存在した4気筒は完全に姿を消し、十分な軽量・コンパクト性を備えることで、2気筒より出力特性や回転バランスに優れる3気筒が主流となっている。



時代は軽量・コンパクト・高効率化に向かっている

小型車では、2リッターがひとつの境界線となり、この排気量で4気筒と6気筒が併存するかたちとなっているが、6気筒、とくに直列6気筒は、振動のない滑らかで上質な回り方が重視され、フォーマルセダンで使われる例が多い。



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また、かつてバブル期にはコンパクトクォリティを謳って三菱が、ランサー/ミラージュ・セダン用に開発した6A10型1597ccV6エンジンの存在が目を引いた。コンパクトセダンとして上質な回り方を意図した開発だったが、高回転域の特性を上手く活用し140馬力の出力を発生していた。1シリンダーあたりの排気量は266ccである。

現在では、エンジンサイズ、重量の点から、この排気量の量産車エンジンとしては絶対にあり得ないシリンダーレイアウトで、当時も世界最小の6気筒と呼ばれていた。



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量産車エンジンではないが、世界最小の12気筒という言い方では、かつてホンダが1.5リッターF1時代に開発したRA271E型1495ccV12エンジンの存在が希有な例だ。1シリンダー当たりの排気量は125cc。4輪メーカーなら及びもつかぬ発想だが、2輪メーカーだったホンダにとって、125ccは使い慣れたサイズ。



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さすがに重厚長大なエンジンになったが、マルチシリンダー化による1シリンダーのダウンサイジングにより、平均ピストン速度を稼ぐことができ、当時のレベルで1万2000回転/220馬力を絞り出していたという。間違いなく世界最小の12気筒エンジンだった。



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効率のよい過給機の開発、過給制御技術の飛躍的な進歩により、マルチシリンダー化による高速回転化、そこから得られる高出力の思考は過去のものとなっている。むしろ、部品点数が多く、エンジンサイズが大型化することで、現在求められている自動車の性能とは相反する部分も備えている。時代は軽量コンパクト、高効率で進んでいる。

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