この記事をまとめると
■ワイパーの構造は基本的に左から右のパラレル方式がポピュラー



■理由は拭き取り面積と故障トラブルの軽減のため



■オーバーラップ方式は主に大型車両に採用されるため少数派



ワイパーが動く向きには意味がある!

ワイパーの基本構造は、100年前に考案されてからほとんど変わっていないといわれていて、国産車の乗用車では、二本のワイパーを左から右に扇状に動かす、パラレル方式がもっともポピュラー。



他にも、バスなどの大型車に使われるオーバーラップ方式(「けんかワイパー」)や、シングルワイパーのクルマもあるが、基本はやっぱりパラレル方式。



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このパラレル方式のワイパーは、左から右に動くのが定番だが、これにはきちんと理由がある。



それはワイパーの拭き取り面を見れば一目瞭然。



左から右に動くパラレル方式のワイパーは、左上に拭き残しスペースができてしまう。右ハンドルの国産車では、運転席側の拭き取り面積を最大にしたいので、ドライバーの視界をクリアにするために、右側の拭き残しが少ない、左から右に動くスタイルを採用している。



よく見ると「左から右」だらけ! クルマのワイパーの「動く方向」には理由があった



その証拠に、左ハンドルの輸入車は基本的に、右下から左へ動くのがスタンダード。



また左側通行の道路では、ワイパーが右から左に動くと、歩道に向かって水を拭き飛ばすことになるからという説もあるが、シングルワイパー以外は、わりとゆっくり動くので、歩行者への影響は少ないはず。



その点、シングルワイパーは単純計算でツインワイパーの2倍の速度で動かさないと、単位時間あたりの拭き取り面積がツインと同じにならないし、窓の隅まで拭き取るためには、かつてベンツが採用したようなパノラマワイパー(伸縮式シングルワイパー)が必要になる。



よく見ると「左から右」だらけ! クルマのワイパーの「動く方向」には理由があった



これが複雑な構造で、モーターの負担も大きく、樹脂製のギヤが劣化しトラブルが出る例も多かったので廃れてしまった……。



もうひとつのオーバーラップ方式は、長いワイパー(ゴム)を使えるのがメリットなので、窓の大きいバスなどに使われているが、文字どおりワイパーの軌跡が重なるため、左右のワイパーが干渉しないよう動作タイミングを調整しなければならない。結果として、部品点数も増え構造も少々複雑になるので、窓の小さいクルマには不向きで、乗用車では少数派ととなっている。



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