この記事をまとめると
■現在さまざまな分野で人手不足が叫ばれている■クルマの板金塗装業界も例外ではない
■現状と課題について解説する
環境改善が強く望まれる業界
社会全体での人手不足。なかでも現場仕事はとくに深刻になっていて、自動車業界も例外ではない。
ここまでですでに厳しい状況なのはわかるが、さらに環境を厳しくしている理由がいくつかある。まずは自動ブレーキなどと呼ばれる、衝突事故を防ぐ「ぶつからない装備」の普及で事後が減少したことによる仕事減。さらに超高張力鋼板の普及だ。超高張力鋼板という素材は新車解説によく出てくるが、薄くて張りがある鋼板なので軽量・高剛性化のために普及が進んでいる。熟練工だと叩いて直せなくはないが、基本的には無理で、パネルごと交換するだけ。さらに溶接機やパテも専用のものを使用しなくてはならない。そうなると新たな設備投資が必要になるので、ただでさえ儲からないところにさらなる負担がかかり、廃業も選択肢に入ってしまう。
材料で言うと、水性塗料の普及がある。環境に影響があるので法制化もされているのだが、水性の場合、塗装ブースでの強制乾燥が必須となる。現在まではカーテン状の簡易ブースで塗っているところもあったが、それができなくなるうえに、対応するには高価なブースが必要だ。これもまた大きな負担となる。
そして保険修理への依存も影響している。保険会社がしきりにロードサービスの広告を流しているのは、板金塗装については、囲い込みのためもあったりする。指定業者に素早く入庫という謳い文句も見かけるが、保険会社と通じている指定業者に入庫することで、認められるギリギリまで盛った見積りを防止、つまり保険会社が損をすることを防ぐことができるのだ。ちなみに保険修理は効率も求められるので、パネルをとにかく交換しておしまいということになることが多い。
ただ、この点はユーザーとしてはそもそも知り合いに板金塗装業者がいるのはまれで、地元ではなく出先で事故を起こしたケースだとなおさら。そうなると連絡するだけで対応してくれるロードサービスはありがたいし、仕上がりも保証されて安心だ。
逆に板金業者側から見ると、ユーザーから直接依頼された場合、保険対応でいっぱいいっぱいになるし、職人を増やそうにも人手不足なので、疲弊する状況になりかねない。
そのほか、凝ったボディカラーが増えているがゆえに、色合わせや塗装が難しくなっていたり、安全装備が至るところに組み込まれていて、衝突部分の修復に手間と時間がかかるなど、さまざまな部分で苦労が伴う。ディーラーからの下請け仕事は激安だったりと、環境改善が強く望まれる業界と言っていい。そのうち、板金塗装をしてくれるところを探すだけでもひと苦労という時代がくるかもしれない。

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