この記事をまとめると

■フェラーリ初のSUVとなる「プロサングエ」をデザイン面から見てみる



■低くてコンパクトなシルエットはスポーツカーらしいラインを描く



■ライバルとは一線を画すスポーティなデザインに妥協は見られない



フェラーリ曰く「プロサングエはスポーツカーだ」

「フェラーリまでもがSUVを?」とウワサが先行していた同社初の4ドアモデル、「プロサングエ」がついに発表されました。しかし、フェラーリ自身が「これはスポーツカーである」と断言するこの新型について、デザインの面からその理由を探してみたいと思います。



SUVらしからぬ低くコンパクトなシルエット

全体のシルエットを見ると、早くも単なる流行のSUVでないことがわかってきます。思い切り後ろへ引いたキャビンと下降するルーフラインによってリヤエンドを低く抑え、SUVというよりはクーペに近いフォルムであることに気付きます。

実際、全高はマセラティの「レヴァンテ」より109mm、ランボルギーニの「ウルス」と比べても49mmも低いのです。



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さらに、後部ドアをリヤヒンジの観音開きとしてコンパクト化を追求。ウルスより139mmも短い全長は徹底的に前後オーバーハングを切り詰め、とても4シーターには見えません。とくに、切れ上がったリヤのシャープさは文字どおりスポーツカーそのものです。



フェラーリ・プロサングエはSUVにあらず! デザインを分析するとまごうことなきスポーツカーだった



フロント上部はグリルレスの表情ですが、下部は翼を広げたようなディヘドラル形状のモールがメッシュタイプのアンダーグリルを構成し、フロントの低さを演出。



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そこに跳ね馬のエンブレムを置き、これがフェラーリの顔であることをさりげなく主張しています。



随所に見られるスポーツカーらしいフォルム

スポーツカーとしてのエアロスタイル

サイドでは、「F12」同様のエアロブリッジがスポーツカーとしての空力性能を印象付けています。このキャラクターラインはボディを薄く見せると同時に、リヤへ駆け上がることで強い前進感を生み、その先の豊かなリヤフェンダーへ巧妙につながっています。



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また、ブラックのホイールアーチトリムは、サイドシルとともに、機能的かつ技術的なエレメントをボディ下部に集約し、ボディ上部とは別の「第2の層」であることを表現。同時に、サイドシル上部の斜めのボディラインもまたボディを薄く見せる効果があります。



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低く抑えたリヤエンドは、上部が横一文字のシンプルなランプで構成されている一方、下部はF1を思わせる巨大なディフューザーと左右2本ずつのマフラーの存在感が凄まじく、これもまたスポーツカーの表情と言えます。



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機能性と軽快さを両立したインテリア

インテリアでは個性的なデュアルコクピットが最大の特徴ですが、単に形状がユニークなだけでなく、4シーターとしてパッセンジャーを意識するとしても、決して重い形状にしない工夫が感じられます。



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先のウルスでさえ一般的なT字タイプのインパネであることを考えると、そのこだわりの強さがわかります。



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さて、こうして詳細に各部のデザインを見ると、これが流行のSUVでなく、あくまでも4ドア4シーターのスポーツカーであることが理解できます。もちろん、フロントやサイド、リヤパネルにはフェラーリであることの特徴がしっかり盛り込まれています。



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ミッドフロントに置かれたエンジンによる49:51の前後重量配分といった機能面はもちろん、ライバルとは一線を画すスポーティなデザインも含め、一切の妥協を廃したことが正式発表を遅らせたのかもしれません。しかし、プロサングエにはその成果がしっかり出ているようです。

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