この記事をまとめると
■交通事故の加害者になってしまった場合、被害者への謝罪は非常に重要■刑事裁判での起訴・不起訴、処罰の軽重にも大きく影響する
■望ましい順序や気をつけるべきことについて解説する
事故発生後なるべく早く謝罪に行くようにしたい
交通事故の加害者になってしまった場合、被害者へきちんと謝罪しておくことは非常に重要だ。
被害者が怪我をして現場から救急車で病院に運ばれてしまった場合は、相手の住所や連絡先を直接聞き出せないままになってしまうこともあるが、保険会社とやりとりする上でも、相手先の連絡先がわからないことにははじまらない。
警察を通して、先方から許可をもらった上で、可能な限り早く連絡先に関する情報を入手して、「一言お詫びに行きたい」という意思を相手方に伝えよう。
タイミングとしては、事故発生後、なるべく早くが望ましい。相手が入院していたとしても、重体で(あるいは新型コロナの影響で)面会謝絶にでもなっていない限り、お見舞いを兼ねて謝罪に出向くべき。
もちろん、病院に行くにせよ、ご自宅に行くにせよ、アポを取ってからお邪魔するのが大前提。自宅に来て欲しくない、病院に来られても迷惑などの理由で、謝罪・来訪を断られるケースも多いはず。
そんなときでも、日を置いて何度かアポ取りを試みるのも肝要。「短時間で失礼するので」「玄関先ですぐおいとまします」などと伝えて、複数回は交渉してみること。
面会を許してもらえたら、時間を厳守し、カジュアル過ぎない失礼のない服装で、菓子折やお花などの手土産を用意して訪問する。
示談の内容や進め方についての約束は避ける
なぜこうした謝罪が重要かというと、人身事故の場合、刑事裁判で起訴される可能性があり、事故への謝罪や反省、被害者の処罰感情などが、起訴・不起訴、処罰の軽重に大きく影響してくるからだ。示談交渉は保険会社に任せるにしても、誠意ある謝罪は加害者の義務だといいっていい。
被害者から「不誠実だ」と思われてしまうと、民事の示談交渉もこじれて長引く可能性が大きい。示談交渉が長引くと刑事事件の情状も悪くなるので、被害者の心証を悪くしないように、できるだけ早く、誠意を込めて謝罪しておくことがとても重要。

たとえ保険会社から「被害者に直接接触しないでください」といわれたとしても、示談の話、お金の話をしない限りは問題ない。
また万が一、被害者が亡くなってしまった場合も、なるべくお葬式には参列すること。遺族も加害者本人も辛い思いをするかもしれないが、ここは人として大事なところ。
面会がかなった場合は、言い訳やこちらの事情などは話さずに、まずは素直に謝罪。そして怪我の程度や回復具合などに気遣いをする(お見舞い)。示談の内容、進め方については「保険会社を通じて誠心誠意対応させていただきます」とだけ伝えて、勝手な約束などはしないこと(非常に重要)。

その他、謝罪の仕方や面談について、わからないこと不安なことがあれば、保険会社からアドバイスをもらってから行動すること。
先方から謝罪・面談を断られ続けた場合は、「謝罪文」を郵送するという方法もある。しかし、文面によっては相手の気分を害したり、誤解を招く可能性もあるので、書き方には注意すること。これも保険会社と相談しながら作成し、コピーを手元に保管しておくこともポイントだ。