小川市長は報道があった先月24日と10月2日に市議らへの説明会および記者会見を開き、ラブホテルに行ったことは認めた上で、相談や打ち合わせをしていたと釈明。
男性も週刊誌の取材に対し、「男女としての一線は超えてはおりません。ただ、客観的に見れば、場所が場所だけに、疑われても仕方ないと思います」と回答しているという。
小川市長は元弁護士だが、「ラブホテルに入室したが、男女の関係にはない」という“弁明”は法律の世界で通用するのだろうか。
ラブホテルに入り「男女の関係にない」は認められる?
男女問題にも多く対応する杉山大介弁護士は、訴訟における“事実認定”について、「経験則や常識をもとに『普通ならこうなるよね』と、一つ一つ考えを積み重ねて判断していきます」と説明する。本件のようにラブホテルでの不貞行為を争う場合はどうか。
「ラブホテルは性行為を目的として一時的に滞在する場所ですから、男女で入っていたら、通常は性行為(=不貞行為)があったと考えます」
しかし、この「通常は」を覆すような特別な事情があれば、判断がひっくり返る可能性もあると言う。
「たとえば、一方が性的不能者で性行為がそもそもできないという事情があれば強力な反証になります。
また、本件であれば、性行為をせずに仕事をしていた記録が事細かく残っていて立証ができれば、やはり『通常は』をひっくり返せる余地はあると思います」(杉山弁護士)
弁護士・政治家としての“戦略”は?
では、杉山弁護士は、同じ法律家として小川市長の「男女関係を認めない」戦略をどう見るか。「男女関係がなかったと否定しきれる根拠が市長にあるのかは、私には現時点でよくわかりません。ただ、認めたら(民事上の)違法は確定なので、とりあえず否定するというのは、法律家的な対応だと感じます。
個人レベルの不貞慰謝料請求の問題であれば、さっさと認めてさっくり和解金を払って終わっていることも多い話ですが、政治家だと引けなくなるんだなとも思います」
また杉山弁護士は、地方自治体の首長をめぐっては、問題が起きても辞職しないケースが“トレンド”になっていると指摘。
「自治体のことなど考えず、今後、首長に選ばれる機会はもうないと開き直って、ぎりぎりまで自分の地位を守ることも、『個人の利益』としては最適解になってしまうのかもしれません」と半ばあきれたように言い添えた。
政治家が不倫で引責するのは「前時代的」?
不倫報道があった政治家は、現役の国会議員だけでも国民民主党代表・玉木雄一郎衆院議員、参政党幹事長・安藤裕参院議員、自民党・山田太郎参院議員、立憲民主党・矢崎堅太郎衆院議員など、枚挙にいとまがない。この中には不倫を認め謝罪した人もいれば、認めていない人もいるが、いずれも変わらず議員活動を続けている。
「そもそも不貞問題で政治家が責任を取ること自体、前時代的なのかもしれません」と杉山弁護士は一歩引いた見方を示しつつ、こう述べた。
「不貞そのものは私的な事柄にも思えますが、事実関係について嘘をつく人が公務に適するとは思えません。否定した時こそ、本当に根拠ある反論をしているのか、有権者は厳しく見ていく必要があると思います」