ほぼ誰も信じないような言葉で、自身の‟不貞疑惑”の潔白を主張し続ける群馬県前橋市の小川晶市長。「不貞をしていないこと」の証明がほぼ不可能と思われる状態の同氏に対し、「逆転の可能性はゼロじゃない」と“まさかの条件”を明かす人物がいる。
浮気・不貞調査のプロで数多くの修羅場も見聞しているAkai探偵事務所代表の継野勇一氏だ。その可能性は「わずか」というものの、一体、どんな手があるというのか。(本文:継野勇一)
釈明するにも「場所がラブホテル」は致命的
群馬・前橋市の小川晶市長は、既婚男性と少なくとも10回以上ラブホテルを利用していたと報じられ、説明に奔走している。本人は「仕事の相談・打ち合わせだった」と繰り返すが、その言い分を真に受ける人はどれほどいるだろうか。社会通念上、「打ち合わせの場としてラブホテルを使う」という行動に合理性を見いだすことは難しく、説明の説得力には欠ける。小川市長は会見で回数自体は認めつつ「男女の関係はない」と繰り返したが、世論の空気は冷たいままだ。市民の信頼を得るどころか、火に油を注ぐ結果となっている。
なぜここまで「黒く」見えるのか。その理由は単純だ。ラブホテルという場所自体が、性的な関係を強く連想させる空間だからである。しかも一度きりではなく、10回以上も同じ相手と利用している。
裁判の実務でも、ラブホテル利用は不貞行為の存在を強く推認させる要素とされている。さらに、会合が行われた時間帯も夜間や休日が多く、業務目的という説明と整合しにくい。
公人として、疑われるような行動を避ける責任がある立場にもかかわらず、あえて誤解される場所と時間を選んでいた。結果として、説明すればするほど疑惑が濃く見えてしまうという逆効果が生まれている。
探偵視点で見た、逆転へのわずかの可能性
だが、探偵の視点で見ると、こうした状況でも「完全な詰み」ではない。潔白であると本気で言い切れるなら、逆転の可能性はわずかに残されている。鍵を握るのは、証拠の出し方だ。
人は「やっていない」という言葉より、「その時間に何をしていたか」という事実に説得される。打ち合わせだったのなら、その議題や資料、メッセージのやり取り、日程調整の記録などを具体的に示す必要がある。
抽象的な「相談」「話していた」では誰も納得しない。政策構想の準備、原稿の確認、地域課題の議論など、明確な目的があり、成果や記録が残っている形でなければならない。
「男女で複数回ホテル利用」でも不貞行為を否定した判例
過去には、ラブホテルを利用していながら不貞が認定されなかった例も存在する。2020年12月23日の福岡地裁判決では、既婚男性と独身女性が複数回ホテルを利用していたが、裁判所は不貞行為の成立を否定した。裁判所は「ホテル利用は不貞を強く推認させる事情」としながらも、全体の整合性を重視し、性的関係の存在を確信するまでには至らないと判断した。この判決は、ラブホテルの利用があっても不貞を否定できる非常にまれな例として知られている。つまり、合理的な説明と裏付けが揃えば、黒を覆すことは不可能ではないということだ。
もし仮に今回の会合の場がラブホテルではなく、市長か相手方の自宅であったなら、世間の受け止め方は少し違っていたかもしれない。
自宅での面会であれば、例えば「書類を届けに行った」「打ち合わせをしていた」といった説明は、一定の説得力を持ち得る。そうした点でいえば、ラブホテルのように性的な印象が先行する場所と比べれば、黒という印象はずっと薄まっただろう。
間接証拠の重要性
実際、探偵調査の現場では、性的関係の有無を判断するためには、間接証拠も重要だ。弊社が過去に対応した調査では、特定の人物がある女性のマンションを訪れていたケースがあった。本人は「引っ越しを手伝っていた」と説明していたが、現場では、手をつなぐなど親密な様子も撮影されていたため、結果的に、不貞行為が認められる形での離婚となった。裏を返せば、そうした間接証拠がなければ、マンションへの出入りという事実だけでは、不貞の証拠としては微妙な場合もある。
世間が注視する市長の「行動」。冷静な証拠の提示こそ唯一最大の逆転の鍵
世間は今、小川市長の「言葉」ではなく「行動」を見ている。潔白を主張するなら、自らの手で行動記録や資料を開示し、第三者が検証できる形にすることが必要だ。それができれば、まだ巻き返しの余地はある。しかし、それをしない、あるいはできないのであれば、疑念は永遠に残るだろう。市民は本能的に感じ取る。本当にやましくない人は、隠さないということを。
探偵としての経験から言えば、こうした局面で最後に問われるのは技術でも言葉でもない。「示せるかどうか」だけだ。何を語るかではなく、何を出せるか。どれだけの人が信じるかではなく、どれだけの事実が残るか。信頼とは、説明ではなく証拠で取り戻すものだ。
小川市長が本当に潔白であるのなら、沈黙ではなく、行動で語るべきタイミングが来ている。
【継野 勇一】
Akai探偵事務所・盗聴器の発見PRO・スマホ盗聴の発見PRO代表盗聴器発見やスマホのハッキング調査、浮気調査を行っている。