11月は「過労死等防止啓発月間」。厚生労働省はその一環として、1日から30日まで「過重労働解消キャンペーン」を実施する。

今年の調査によると、週60時間以上働く雇用者は約474万人にのぼる。近年、過労死等に関する労災の支給決定件数も増加傾向にあり、とくに精神障害をめぐる事案の約2割では、時間外・休日労働が1か月あたり80時間を超えていたという。
今回のキャンペーンは、「長時間労働の削減など、過重労働の解消に向けた機運の醸成」を目的としたもの。使用者団体や労働組合への協力要請のほか、パンフレットの配布などを通じて周知・啓発が行われる。

悪質な法違反が認められた事業場は送検・公表も

厚労省はキャンペーンに先立ち、労使団体に協力を要請した。あわせて、自社の働き方改革などにより取引先の中小企業へ「しわ寄せ」を生じさせないよう、傘下企業等への周知も求めている。都道府県労働局でも同様の取組を実施する。
また、長時間労働が行われているおそれのある事業場などに対して、重点的な監督指導を行う。対象となるのは以下のような事業場など。
  • 過労死等に関する労災請求が行われた事業場
  • 時間外労働、休日労働が1か月あたり80時間を超えているとみられる事業場
  • 離職率が極端に高いなど、問題があると考えられる事業場
時間外・休日労働が「時間外・休日労働に関する協定届」(いわゆる36協定)の範囲内であるか、また賃金不払残業が行われていないかなどについて確認し、法令違反が認められた場合は是正するよう行政指導が行われる。
さらに、不適切な労働時間管理については労働時間を適正に把握するように、また長時間労働者に対しては医師による面接指導などの健康確保措置が確実に講じられるように指導する。
そして、監督指導の結果、重大・悪質な法令違反が認められた場合は、その事業場は送検・公表される。
また、同一条項の違反で1年に2回以上の是正勧告を受けた場合などには、その事業場の求人はハローワークで一定期間受理されなくなる。
職業紹介事業者や自治体にも同様の対応を求めている。

労働相談や法令違反が疑われる事業場の情報を電話で受け付け

11月1日(土)から7日(金)までは「過重労働相談受付集中期間」として、全国の労働局や労働基準監督署で、労働相談や法令違反が疑われる事業場に関する情報提供を受け付ける(1日(日)と3日(月・祝)を除く)。
また、1日には下記の電話番号で特別電話相談を実施。
【過重労働解消相談ダイヤル】0120-794-713(午前9時~午後5時)※労働基準監督官が対応
【労働条件相談ほっとライン】0120-811-610(午前9時~午後9時)※委託事業、専門相談員が対応


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