交際クラブは、ある程度の財力がある男性会員から紹介料を受け取り、デートをセッティングすることで利益を得ている。SNSやアプリと異なり、運営会社や生身のスタッフが間に入るため、身元の確かさと安心感がある点が特徴だ。
「風俗ではない」「自由恋愛」と強調されるものの、実際は性的な関係に発展することも想定されたシステムであると言える。
本記事では、漫画家・ラブホテル評論家であり、かつて交際クラブのスタッフとして男女双方の会員の面接などを経験した日向琴子氏の著書『ルポ パパ活』(彩図社、2022年)より、パパ活について「こんなに楽に稼げていいの?」と語る、28歳の女性(総合職OL・未婚)のエピソードを紹介する。
※『ルポ パパ活』は著者の体験を元に記していますが、プライバシー保護の観点から人名、施設名などの一部を仮名にしてあります。
モラハラ上司、サービス残業で心身を病む
「パパ活を始めたのは、100万円近い借金があったからです」と話すのは、サオリさん(仮名)、28歳。身長176センチのモデル体型で、女優の菜々緒さんを少し優しそうにした感じの美人である。「上場企業の総合職なので、決してお金に困ってたわけじゃないんですけど、最初に勤務した地方の支店で、よくない上司に当たってしまって。
女性が少ない職場なんですけど、その上司は女嫌いで、日々モラハラを受けまくって、悲しくないのに涙が出ちゃうとか、日々血尿との戦いで心身がかなり病んでしまったんです。
すごい残業してるのに残業代全然つかないとか。140時間残業したのに、15時間しかつかない、みたいな感じだったんです。血尿が出たって報告しても、『こいつ血尿出たんだってアッハッハ』みたいに笑い飛ばされるようなヤバイ職場で。
残業代が出ないのにフルで働いてるような状態だったから、ご飯代がものすごくかかるようになってしまって。
勤務先は田舎だから、車も自分で買わなきゃいけなくて、会社から支給されるわけじゃないから車検代とかも自腹で。そしたらお金がナイナイナイ! って、あっという間にキャッシングの日々です。
おまけに、あまりに田舎で、友達もいない、趣味もない、私、こんなに若いのに何もない! って精神的にもだいぶ追い詰められて。一念発起して社交ダンスを習うことにしたんです。そこでまたお金をじゃんじゃん使うようになっちゃったんですけど。
そうこうしてるうちに、また違う地方の支店に転勤になったんですが、社交ダンスはどうしても続けたくて。深夜バスで片道3000円、4000円ってバス代をかけて毎週東京に通ってるうちに、更にお金が足りなくてキャッシングが加速していったんですね。
転勤先も田舎だったから、下手に水商売とかしちゃうとすぐに噂になるんですよ。かと言って、東京行ってもダンスするから、副収入を得る方法が何もなかったんです。で、ネットで『副業 バレない』とか色々調べてたら、援助とかパパ活とか交際クラブという単語が出てきました」
「こんなことでいいんだ」
「援助交際」という言葉には拒絶感があったというサオリさんだったが、「パパ活」には少しマイルドというか、いやらしさが消える感覚があったという。最初は体がどうこうという感じではなく、お金が余って余ってしょうがない人が食事をするだけでお金をくれる、みたいなイメージで始めたそうだ。「その時は、ダンスを続けるための交通費が欲しかったんですね。
その時は罪悪感とかなくて、好奇心の方が強かったんですけど、よくわからなかったので2万円だったんですよ。地方だから相場も低かったみたいで。
私が初めてした人は勃たなくて、のんびりホテルで過ごしただけで2万くれて。私、する前は『越えちゃいけない一線を越えてしまったことに傷つくかな』とか『ショック受けるかな』と思ってたけど、2万円パッともらったら『こんなことでいいんだ』って思って。
私があんなに血尿を出しながら一生懸命働いて10時間20時間残業して働いて得られるお金が、たったこの30分くらいの、たかだかこんなのでもらえるんだ、これでいいんだって。これいいじゃん! みたいな。それがちょっと、楽だなと思ったわけじゃないけど、私は重く考えてたんだなって思い至りました。
若い女には価値があるって聞いてたけど、本当にあるんだって。あるんだったら、お金に変えた方がいいと思って。
実際にどのような思いをしたのだろうか。
「初期の頃は、希望の金額がもらえなくて買い叩かれたなーと思った時もあるし、背が高いから男だと思ったとか、無体を強いられるみたいなのもあったし、SMもどきみたいなことをされた時もあったし。その時は死ぬかと思いました。
パパの知り合いの女の子が縛られたいって言うから、ハプバーに縄師を呼んで縛ってもらったら、痛くて続けられないって言い出して。私は見学だけでいいって言われてたのに、代わりに縛られることになって。縛りがいがあるとか言われて吊りまでされて。
縛られて吊るされて分かったんですけど、私、閉所恐怖症だったんですよ。動けないことでパニックになるほど恐怖心を持つことがわかって。
その時は私も借金返したい一心だったから受け入れましたけど、本当に死ぬかと思いました」
メヒカリを大量に送ってくる「太パパ」
2つの交際クラブに登録して、3年間に受けたオファーの数は70件くらい。ある程度お付き合いする方ができたら休会して、また1年くらい活動して、1年休んでまたボチボチ活動する、といった感じで続けているという。「一番多い時で月に15日くらい、会社終わってからデートしてましたね。それ以外は顔合わせとか。一番収穫期は、同時期に13人くらいと顔合わせとかお出かけしたりとかで月収42、3万とか。50は行かなかったかな。
『この人は世間でいう太パパなんだろうな』っていう方は一人いて、メヒカリさんって呼んでるんですけど、魚のメヒカリをすごい送ってくるんですよ。多分ふるさと納税だと思うんですけど、年末に会ったら『カニ欲しくないか』って言われて。送るから住所教えてって言われて教えたら、1週間に1回ものすごい大量の干物が届くようになったんです。
実家が近いので、『なんか職場の人にもらった』って大きなポリ袋に入れて持ってったんですけど、1回で終わると思ってたら毎週届いて。『家族におすそ分けしました、ありがとうございます』って言ったらまた来週ドン! と届いて。
食べきれないからまた実家に持って行こうと準備してたらまたピンポーンって鳴って。ドア開けたら生魚って書かれた大きな荷物が届いて。厳重に新聞紙で包まれてて、少し開けたらビョンって触覚が出て来て、伊勢海老まで届いて。
予告はないんですよ。いきなり来るんです。しかも同じものが連続したりして。ちょっと魚来すぎて私も困っちゃったから、『魚は仕事が忙しくてすぐ食べられないので、ゆっくり食べますね』ってお礼言ったら、今度は高級フルーツが届くようになって。
どんどんエスカレートして、肉の塊ドーン! とか、沖縄土産詰め合わせセットとか、泡盛ドーンとか。ままどおるとか東北のお菓子セットとか届いて。
今お付き合いしてる人は8人くらいで、相手が会社経営者だったりすると、『コロナで今月はちょっと』というのが多くて。月でいうと6、7回かな。週に1、2回くらいがペースとしてはちょうどいいです」
パパ活は「若き一瞬を換金しているボーナスステージ」
サオリさんにとって「パパ活」とはどのようなものなのだろうか。「私にとって、パパ活は『成り上がり』。一瞬でこう、自分の全ての環境をガッとあげられるものですね。生活の水準も上がるし、自分が欲しかったものが一気に手に入れられた。お金もしかり、自分がやりたかったこともしかり。趣味しかり、将来への安心感もしかり。
パパ活というのは決して褒められたものではない、というのは理解していて。でも、この後ろ暗い世界を知らなければ、私は心身を病んでいたあのところから抜け出せなかったと思うと、すごいアウトローな方法ではあるけれども、やらずして今の自分はなかったなと思います。
売春してる意識は常にあります。だけど、だからと言ってそれを良いとも悪いとも思わないですね。自分の今しか持ってない価値を交換してるだけ。世間一般的なこういう市場では若いことや未婚であることに価値があって。今、使えるものを交換していかなきゃみたいな気持ちがありますね。
やることなくて1日ボーっとしてたら何にも残らないけど、パパ活したら5万になり10万になる。決して褒められたものではないけど、今しか換えられないものは、今換えておいた方がいいと思うんです。私の中では、今は若き一瞬を換金しているボーナスステージくらいにしか考えていなくて。搾り取られてるというような感覚はないです。
だから、パパ活は等価交換だとは思わないですね。逆に、高く買ってもらってると思います。だって5万ですよ? 例えばパパ活で5万もらったとして、私がそれを残業代で稼ぐとなったら2、30時間くらい働かなきゃいけないわけで。それに比べると楽ですよ。なんてことはない。
セックスなんてものは誰とだってできる。セックスは減るもんじゃないですし。それがお金になるんだから、たいしたもんです。
交際クラブっていろんな考え方の人がいて、セックスを売ってるかどうかは人によって違ってきます。体だけあればいいよって人もいるけど、心の繋がりというか、体だけでもダメだったりする人もいるんですよね。若いだけでもダメだし。
私も、パパ活を始めたばかりの頃は、やれりゃいいんでしょみたいな『はい、カラダとお金を交換ね』ってそういうイメージもあったんだけど、そうじゃない。
心と心の繋がりってあんまり好きじゃない言葉で、こんなところにあるかいなって思ってたけど、結局今続いている人達っていうのは、私という人間を信頼してるというか、あ、この子はまともな子だなって、ある程度の信頼感を寄せて付き合ってくれてると思うから、お金のためにやってるっていうのを悟られないようにするのがマナーかなって思いますね」
パパ活を始めて家族に対する還元が増えたと話すサオリさん。実家で煎餅屋を営む両親を、美味しいご飯に連れて行くのが楽しいと言う。
「親はどっちかっていうと質素倹約ってタイプで、いい料理あんま食べたことない、みたいな感じなんです。私、自分の為にお金使うより、家族に使うお金が好きなんですね。お金は家族を幸せにする為にあるもの。パパ活は、今の自分の若さなりをトレードできるもの。換金できるうちに換金して、未来の幸せに備えておきたいんです」
柔らかい印象のサオリさんだが、その眼差しには強い意志が湛えられているような気がした。

![[のどぬ~るぬれマスク] 【Amazon.co.jp限定】 【まとめ買い】 昼夜兼用立体 ハーブ&ユーカリの香り 3セット×4個(おまけ付き)](https://m.media-amazon.com/images/I/51Q-T7qhTGL._SL500_.jpg)
![[のどぬ~るぬれマスク] 【Amazon.co.jp限定】 【まとめ買い】 就寝立体タイプ 無香料 3セット×4個(おまけ付き)](https://m.media-amazon.com/images/I/51pV-1+GeGL._SL500_.jpg)
![[コロンブス] キレイな状態をキープ 長時間撥水 アメダス 防水・防汚スプレー420mL](https://m.media-amazon.com/images/I/31RInZEF7ZL._SL500_.jpg)







![名探偵コナン 106 絵コンテカードセット付き特装版 ([特装版コミック])](https://m.media-amazon.com/images/I/01MKUOLsA5L._SL500_.gif)