交際クラブは、ある程度の財力がある男性会員から紹介料を受け取り、デートをセッティングすることで利益を得ている。SNSやアプリと異なり、運営会社や生身のスタッフが間に入るため、身元の確かさと安心感がある点が特徴だ。
「風俗ではない」「自由恋愛」と強調されるものの、実際は性的な関係に発展することも想定されたシステムであると言える。
本記事では、漫画家・ラブホテル評論家であり、かつて交際クラブのスタッフとして男女双方の会員の面接などを経験した日向琴子氏の著書『ルポ パパ活』(彩図社、2022年)より、“鬼嫁”とのセックスレスをきっかけに風俗、出会い系アプリ、不倫を経て、交際クラブの世界へ足を踏み入れた39歳・既婚男性のエピソードを紹介する。
※『ルポ パパ活』は著者の体験を元に記していますが、プライバシー保護の観点から人名、施設名などの一部を仮名にしてあります。
“鬼嫁”からバイ菌扱いされる日常
都内で金融関係の仕事をしているN氏(既婚・39歳)は、年収1000万円の会社員。本人は「頭は薄毛で体は毛深い、非モテの非イケメンです」と謙遜するが、スッキリとした顔立ちで背が高く、清潔感がある。
学生時代は学級委員や生徒会長、部活やサークルの部長を務めるなど優等生タイプ。真面目で正義感が強く、女遊びはまったくしてこなかった。社会人になって、「仕事に集中したい」「仕事で成功したい」と、学生時代から付き合っていた女性と早々に結婚。
結婚して15年、可愛い一人娘にも恵まれた。交際当初から束縛が強くてメンヘラ気質だった妻は、現在鬼嫁になっていると言う。
「僕が家で許されている行動は、おそらく『出されたものを食べる』『風呂に入る』『寝る』の3つだけですね。
家の中を汚さないのは大前提で、外から帰った僕はバイ菌扱い。指でボタンを押す事は禁止されているからヒジで電気のボタンを押します。手洗いは2回以上を義務付けられていますし、お風呂に入って体をキレイにしないとリビングには入れて貰えません。ちなみにコロナ前からです」
外で持ち歩くスマホは家では汚物扱いで、家ではスマホを見る事も許されず、家庭内で自由な行動、時間、空間、全てがない。休みの日はほぼ100%、娘と朝から公園や動物園に出かけ、子供と外で夕飯を食べてから家に帰って、子供をお風呂に入れて、寝かしつけて一緒に寝る、という生活。その間、妻は家でひたすら一人でゆっくりしているそうだ。
「長期休暇で何より怖いのが、妻との喧嘩。原因は本当に些細なことで、例えばシャンプーの使い方とか、洗濯物の置き方とかそんな事。妻が怒るとメッタメタにやられるので、耐えきれなくなって、何回か家出をした事もあります。
家出中に妻が勝手に警察に捜索願いを出していて、帰った後にその捜索願いを自分で取り下げた事もあります。警察に自分で言うんですよ、『私、戻りました』って。
風俗、出会い系アプリ、不倫…そして交際クラブへ
そんなN氏が交際クラブに登録したのは2019年の夏頃。「子供ができて、仕事と家庭の両立で精一杯だったけど、そのうち仕事もお金も余裕が出てきたんですね。妻の束縛が少し弱まって、ふと気がついたらいつの間にかセックスレスになっていた。余裕ができた事で遊びにも少し興味が出てきて、仕事でのストレスもあって、手っ取り早い風俗でさんざん遊びました。
その後出会い系アプリ、不倫にも手を出して、相手に結婚を迫られたり、自分が本気になって泣いたり、妻と別れてこの子と結婚できたらとか、色々と傷ついたり後悔したりして。
浮気相手に乳首の毛が邪魔だと言われたけど、今まで生やしっぱなしだった毛を急に剃り出したら絶対にバレるから剃れないとか、バレたら嫁に殺されるとか、色んなことがあったんですけど、やっぱり自分は遊びには向いてないのかな、と、ぼんやりインターネットを検索していた時、目についたのが交際クラブだったんです」
実際に入会してみて、登録女性は『バリバリの愛人志望』や『夢のために支援してほしい』ではなく『生活費の足しにしたい』『興味本位で』等『普通の女性』も結構多いことに驚いた。
大人の交際もあれば食事のみの人、普通の友達になることもあり、女性の価値観や人生を知って、自分が人として成長できる機会もある。
容姿やスタイル、性格や向上心など、総じて「質の高い女性」と安心安全に出会えるし、マナーよく振る舞い、相場以上のお手当てを渡せば女性とそういう関係になる事は容易い。そんな夢のような世界だと感じた。
「交際に入った当初はできる限り多く若い女の子と会いたい、と思って女子大学生ばかりにオファーしてた時期もありますが、今はそんなに。
これまで交際クラブで会ったのは2年ちょっとで30人くらい。今は、いわゆる『定期』の女の子はいないですね。少し前まで上位ランクの子2人といい感じで続いてましたが、ある日突然連絡が取れなくなって。
交際クラブはもうそろそろ潮時のような気もしてます。だんだん疲れてきたんです。こういう、女の子にお金払って云々っていうのが」
「可愛いからって調子に乗るなよ」
N氏は、ある時から自分の中で【交際が順調になる→なんだか物足りなくなる→モチベーションが低下し交際相手と別れる→性的衝動がムクムク復活する→慌てて新たな交際相手を探す→相手に感謝して尽くす→交際が順調になる→なんだか物足りなくなる→モチベーションが低下し交際相手と別れる→……】というループに嵌(はま)っているのに気付いたと言う。「交際クラブは、ただの大学生とか看護師とかが10(万円)とか言ってくるから『はっ、こわー!』って思います。10はなかなかですよ。その子に10払わなくても5で同じくらい可愛い人もいるんですが。でも、そこで10払ってる男がいるからつけあがるんですよね。
人生では、悪いことの勉強の方が大事。いいことの勉強は勘違いするだけでしょ。高値を言ってくるのは今の中途半端なパパ活女子に多くて、おっかなびっくりこの世界に入ってきて、できれば一人に高値で売りたい心理はわかるけど、決めすぎるといろんな意味で女の子は損すると思います。
エスコートされるのが当たり前、ご飯、段取り、飯の場所。その『パパ活みたいなレールにはまらないと良くない』タイプの女の子だと、可愛いからって調子に乗るなよと思いますよね。
お金はルールに乗っ取ってあげるので、お金お金というよりは、人と人として付き合える女性がいい。
パパ活で得たお金で整形したりホストに貢いだりしてもそれはそれで別に構いませんね。奨学金の返済で困って、という話は僕は聞いたことないですが、そもそも信用してないですからね。女の子の話は最初から信用しない。
だから、こういうキャラでこういうので、って努力をして見返りをもらうような『自分でガード張って私はこういうキャラでこういう設定で』という感じでパパ活してる女の子とは合わないです。嘘で塗り固めたステージにいるんだろうな、僕みたいな存在を求めるわけじゃないんだろうな、という感じで。
パパ活の相場感とかパパ活的な交際というものに物足りなさを感じて、相場感に囚われない交際を求めたけど、結局、僕が求めるレベルの、心の通った大人の交際というものはこの界隈には存在しないというのが結論ですね」
なぜ“鬼嫁”と結婚したのか?
学生時代は嫁の束縛がひどくて、携帯に登録してある他の女の子の連絡先を消せだとか、社会人になっても携帯を見せろ、などと言われていたN氏。そんな感じだからそもそも浮気なんてできなかったと言うが、奥さんのことはどう思っているのだろうか?「奥さんは2歳上で、大学時代、先輩に紹介されました。僕、最初、なぜか外国人と付き合ってるって嘘つかれてて。年上の女性だし、ありえるな、と思ったりして。半年後に嘘だって分かって告白したら『待って』って言われて。その後、5回目くらいに『良いよ』ってなって付き合うようになりました。
付き合ってみたら、割とハードな人生を歩いて来てたということが分かって。
もう、本当に逃げるしかないと思って、携帯を川に投げ捨てて逃亡したこともあったけど、バイト中に親から電話かかって来て『家になんか女の子来てるけど』って言われて。僕、実家の住所なんて教えてなかったのに、免許証を見たのか実家を知ってたんです。
それで、話し合いの為に待ち合わせた喫茶店で静かに座ってる相手を見た時、『もう、逃げられないな』と悟って。結婚行きのレールに乗せられて進んでましたね。そういう事件もあったけど、プロポーズは一応しました」
セックスレスの原因はハードな子作りと、環境や鬼嫁モードだと言う。
「結婚した当初は、ずっと二人でいいかな、子供いらないかなと思って10年くらい特に子作りしてなかったんです。でも、32歳くらいでやっぱり欲しいねってなったら、なかなかできなくて。不妊治療して、人工授精してようやくできたんです。
月に決められた日にしなきゃいけない義務感がすごくて。
今子供が6歳なんですが、生まれてから2回か3回しかしてないですね。結婚前は、子作り以外は月に2回するかしないかくらいだったんですけど。
最後に嫁とHしたのは3年前。奥さんからしたいとは言われないです。やらなきゃいけないかな、って時に鬼嫁モードになってしまうので、僕の方がスッとなってやらなくなる感じです」
「これまでの人生で一番愛したのは、妻」
数々の鬼嫁エピソードを聞いていると、妻以外に癒しを求めるのも致し方ないのかな、という気もしてくるが、妻とセックスレスになる前は、浮気や不倫、風俗に手を出すつもりは全くなかったと言う。「若い時は単純にお金も無かったし、優先順位が仕事だったし、嫁怖いしで、そういう気に全くなれなかっただけですけどね。交際クラブに関しては、世の中的には浮気なんでしょうけど、自分のなかでは浮気だと思ってないので、妻を裏切って悪いとか罪悪感はないです。
それは、これまでの不倫経験を踏まえて、自分の中に『家庭に迷惑をかけない』という線引きがあるからだと思います。絶対本気にならないし、家にお金も入れてるし、子供とも遊ぶし、家のこともそこらの男性よりしているし。
バレたら嫁が傷付くのは分かってるから内緒にしてるけど、そんなに悪いことをしてるとは思ってないんですね。家族への愛とこういう遊びは本当に別物。浮気するのは単純に性欲、遊びへの興味です。気になったことにはどっぷりハマるタイプなんですよね。やってみないと分からないことはたくさんあるし。
女の子と遊んでる時に嫁の顔は浮かばない。でも、今はもう、娘の顔が出てきますね。子供も大きくなって来たし、娘との絆が深いので」
N氏の話を伺っていると、妻への関心は薄れ、愛情はもうなくなってしまっているような語り口にも思える。これまでの人生で、一番愛した人は誰なのだろうか。
「もし、嫁が、『バレないように浮気してくれれば良いよ』と言うような人だったら、僕は多分、結婚してないと思います。嫁は、普通なら遠慮して言わないようなことでも、全部イチからぶつけて来る。
僕は、嫁に執着されているというのが分かってて、僕のことを好きだっていうのは分かってて、そこに対する絶対的な安心感はあるんですよ。これまでの人生で、嫁くらいとしかがっつり関わってない。嫁にとっ捕まったわけではなく、自分から捕まえに行った。
だから、これまでの人生で一番愛したのは、妻ですね。奥さんはかわいい。こいつを一生養って行こうと思ってたし、今も思ってますから。
今となっては、嫁に束縛されてるのも含めて俺。半分共依存みたいな世界ですね。純粋に僕がいないとやばいかもしれないというのもあるし、離婚したらこの人自殺しちゃうかも、みたいな感じもあります。昔も今も。だから、離婚する選択肢はないです」
「予想外の質問ですね」と顔を赤らめつつ、答えてくれたN氏。
「最終的には、仕事と家庭に集中して、趣味のバンドやシュノーケルに没頭する40代になると思います。その時に性欲があったら、嫁に行く可能性もあります。もちろん、受け入れてもらえたらの話ですけど。夫婦で色々修羅場くぐって一緒に成長していけたら、それが本望です」
これまで、修羅場の原因のほとんどは鬼嫁によるものだったと思われるが、この先の人生、どんな修羅場が待っているかは分からない。だがしかし、だとすれば鬼嫁ほど心強いパートナーはいないのではないだろうか。敵にしたら怖いけど、味方にしたら鉄壁のガードをしてくれそうである。
「鬼嫁と共にくぐっていく修羅場」、不謹慎ながら、想像したら無敵な感じがして、ちょっと羨ましく思った。パパ活が鬼嫁にバレないことを祈るばかりである。

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