日本のお正月の風物詩「箱根駅伝」が今年もスタートする。
白い息を吐いて箱根路を駆ける学生ランナーのフレッシュな姿に、自分も新たな気持ちで一年を頑張ろうと心を動かされる人も多いのではないだろうか。

長い歴史を持つ箱根駅伝では、観戦の形も時代とともに変化してきた。1953年(第29回大会)にNHKラジオが中継を開始し、1987年(第63回大会)からは日本テレビによる一部時間帯の生中継、1989年(第65回大会)には完全生放送が始まった。
視聴や応援のスタイルも多様になり、箱根駅伝は今や“国民的行事”としてすっかり定着している。一方で、沿道やSNSで“観客のふるまい”が問題になることもある。

沿道トラブル、過去にも

記憶に新しいのは、昨年(第101回大会)の往路5区で、中国人インフルエンサーが動画を撮影しながら車道に侵入し、青山学院大学4年(当時)の若林宏樹選手と並走したハプニングだ。
若林選手は、急なトラブルに見舞われながらも、ペースを乱すことなく青学の往路優勝を支える走りを見せたが、インフルエンサーは大会スタッフがマイクで「大変危険ですので、沿道を走らないようにお願いします」と注意してもしばらくの間、並走を続けた。
この動画がSNSで拡散されると、日中両国の駅伝・ランニングファンの間で批判が殺到。インフルエンサーは後日、自身のSNSで「ランニングを愛する友人の皆様に心よりお詫び申し上げます」と謝罪した。
実は、沿道への観客の侵入トラブルが起きたのは前回大会だけではない。
日本テレビによる生中継が始まった1987年(第63回大会)でも、復路10区で男性がコースとなっている車道に侵入し、トップを走る順天堂大学の工藤康弘選手と並走し接触、選手が転倒した。
工藤選手は起き上がってトップを守り、順大は総合優勝を果たしたが、こうしたコースへの侵入行為は危険きわまりなく、いつの時代であっても決して許されるものではない。
また、沿道トラブルは、箱根駅伝以外でも発生している。2016年、元旦に群馬県で行われた「全日本実業団対抗駅伝」(ニューイヤー駅伝)で、競技中に犬がコース上に侵入し、コニカミノルタの選手が転倒した。
沿道で応援していた男性がつないでいたリードを手離したことが原因とされ、この事件で高崎署は、飼い主の男性を高崎市動物愛護条例(係留義務)違反の疑いで、高崎区検に書類送付した。
ここで紹介した事例では、いずれも“たすき”はつながっているが、応援の声を届けるつもりが選手のけがを招いたり、結果に悪影響をもたらすようなことがあっては元も子もない。

SNS投稿「誹謗中傷」にも注意

箱根駅伝は、公式ホームページで〈沿道で応援していただく皆様に、箱根駅伝は育てられてきました〉と沿道での応援を肯定的に位置づけたうえで、〈これからも、末永く愛される箱根駅伝でありたいと思っております。是非とも、応援マナーにご協力をお願いします〉と呼び掛けている。
同ホームページの「沿道応援時の注意事項」では、脚立に乗って応援することや、車両からの応援、ドローン・自撮り棒などの使用を禁止。コース沿道において、荷物を置いて場所取りすることも迷惑行為とされており、主催者によって荷物を撤去する場合があると警告している。
また、〈車道上での応援は危険です。必ず歩道から応援してください〉〈ペットをお連れの方は道路に出ないよう、ご配慮ください〉とも明記。
横断幕・旗・のぼり等をガードレールや橋などの公共物へくくりつける行為についても〈道路交通法等に違反します〉と厳しく注意を促している。
ホームページ上での注意喚起こそないが、近年ではアスリートに対するSNSでの誹謗中傷も社会問題になっている。
SNSなどに選手の誹謗中傷を書き込むことは、断じて許されない。たとえ応援に力が入ったゆえの“ヤジ”だったとしても、誹謗中傷と受け止められれば投稿者が侮辱罪や名誉毀損罪に問われる可能性もある。

沿道で、テレビ・ラジオで、SNSを片手に――応援の方法はさまざまだが、どんな形であっても、この日のために努力してきた選手たちの「背中を押す」応援を心掛けたいものだ。


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