プロ野球・広島東洋カープの羽月隆太郎選手(25)が、日本国内で違法薬物を使用した疑いで、1月27日、広島県警に逮捕された。
報道によれば、昨年12月16日頃、警察は関係者からの通報を受けて、羽月選手を警察署に任意同行。
尿検査で陽性反応があり、その後の鑑定で指定薬物と判明したという。県警は27日午後、羽月選手の自宅など関係先を家宅捜索し、逮捕に踏み切った。
一方、警察の調べに対し羽月選手は「指定薬物のエトミデートを使った覚えはありません」と容疑を否認している。
羽月選手が意図的に摂取したのか、それとも成分を知らずに摂取(過失や混入)した・させられたのかなど、実際の摂取の有無や経緯が今後の争点になるだろう。

歩く姿はまるで「ゾンビ」…エトミデートの作用

羽月選手が使用したと疑われているのは、指定薬物の「エトミデート」。
海外では鎮静剤や医療用麻酔薬として使用される物質だが、近年、国内外で電子タバコのリキッドに加工され、「合法」「安全」といった誤った情報とともに販売されている。
実際には、使用すると手足のしびれ、ふらつき、意識障害などの症状が出て、使用後に歩く姿が「ゾンビ」のように見えることから、「ゾンビタバコ」とも呼ばれている。
もともとは沖縄県などが乱用拡大の中心といわれていたが、昨年12月10日には、東京都内で2000万円相当のゾンビタバコをタイから密輸したとして59歳の男が逮捕されるなど、全国的なまん延が警戒されている。

薬物事件、今後の流れ

薬物事件では、証拠隠滅の恐れから逮捕後の身柄拘束が長期化しやすい。警察による逮捕後、検察の勾留請求が認められると、10日から最大20日間、身柄が拘束される。
羽月選手は容疑を否認しているため、今後慎重に捜査が進められ、捜査結果によっては不起訴になる可能性も考えられる。しかし、起訴された場合には、刑事裁判にかけられ、有罪判決が出れば実刑または執行猶予となる。
指定薬物の所持・使用の法定刑は、医薬品医療機器等法違反による「3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金(これらの併科もありうる)」だ。
広島カープは1月28日にコメントを発表。

「当球団に所属する選手が今回このような事件を起こし、ファンの皆様に多大なるご心配とご迷惑をおかけしておりますことを、深くお詫び申し上げます」と謝罪した。
今後の対応については「現在、事実関係につきましては確認を進めており、捜査機関に全面的に協力してまいります。当球団といたしましては本件を厳粛に受け止め、事実が判明次第、適切に対応してまいります」としている。
羽月選手は昨季、自己最多の74試合に出場し、同じくキャリアハイの打率・295、盗塁数はチームトップの17を記録するなど、活躍を見せていた矢先の出来事だった。
起訴され有罪になった場合には、今後の選手生命に致命的な影響が及ぶのは避けられないかもしれない。

依存と再起に向けた支援

羽月選手が何者かにより知らない間に薬物を服用させられたのか、みずから薬物を使用したのか、仮にそうだったとして常習性があったのか、どのように入手したのかなど、詳細はまだ何もわかっていない。
ただ、一般論として確実に言えることは、薬物には強い依存性があり、一度使用を開始すると自力での中止が困難になるということである。薬物使用については刑罰だけでは根本的な解決にならず、治療や支援体制がなければ再犯のリスクが高いことも指摘される。
また、刑事処分後は、専門機関での治療、家族や周囲のサポート体制を整えることが、依存からの回復と社会復帰に不可欠とされている。
社会では今なお、軽い気持ちで薬物に手を出す例が後を絶たない。薬物の危険性に関する教育と啓発活動の徹底が、改めて問われることになりそうだ。


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