「家賃の値上げが嫌なら出て行け」大家に言われたら? 高騰続き、相談件数は前年比2倍に…“もしも”の場合の対処法【弁護士解説】
2月20日に総務省が発表した1月の全国消費者物価指数(CPI)のうち「民営家賃」は前年同月比0.7%上昇と、前月の0.6%上昇から伸びが拡大し、1998年3月の0.8%上昇以来の高水準となった。同省によると、都区部(東京23区)の影響が大きいという。

また、東京都消費生活総合センターでは、近年、家賃の値上げに関する相談が増加している。朝日新聞の報道によれば、2023年度は約300件だった相談件数が、2024年度は約500件に増加。さらに2025年度は、4月から12月までの速報値で700件を上回り、前年同期の約2倍のペースで推移している。
昨年11月に東京都住宅政策本部が公表した資料でも、賃貸住宅の家賃引き上げに関する消費者相談は2023年度に677件であったのが2024年度には1366件と、約2倍に増えたと報告されている。

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消費者からの相談件数の推移(東京都住宅政策本部の資料から転載)

物価高騰の影響は、数年遅れて家賃に反映されるといわれる。とりわけ東京都内の家賃上昇は、これから進学や就職を機に上京し、住まいを探す人にとって深刻な問題となり得る。
一方、すでにアパートやマンションを借りて住んでいる人(借主)にとっても、いつ大家(貸主)から家賃の値上げを通告されるかわからないという不安がつきまとう状況だ。

これまで通りの家賃を支払い続ければOK

もし借主が貸主から突然、「来月から家賃を○○円上げる」「値上げが嫌なら出て行け」と言われた場合、法的には従う義務があるのだろうか。
民法に詳しい池辺瞬弁護士によると、「契約」とは原則として、一度成立したら当事者双方を拘束し、いずれの当事者も後から一方的に条件を変更することはできないものだ。これはアパートやマンションの「賃貸借契約」でも同じことである。
そのため、たとえ大家であっても、借主の同意を得ずに一方的に家賃を増額することはできない。
ただし、当事者双方の合意があるなら条件の変更も可能であるため、家賃の増額または減額について、当事者間で話し合うことはできる。
もし話し合いがまとまらない場合には、借主・貸主の双方とも、裁判所に調停を申し立てて、第三者を交えた話し合いによる解決を図ることも可能だ。
なお、借主が家賃の増額を受け入れないと、退去を求めたり、訴訟をちらつかせたりする貸主もいる。
しかし、裁判所が増額を命じない限り、合意した双方の契約内容は変更されない。そして、仮に訴訟提起された場合でも、契約内容どおりに義務を履行していれば退去を強いられることはない。
そのため、大家が「家賃を上げる」と言い出しても、借主としては「裁判所により増額が命じられるまでは、増額には応じない」という旨を伝えて、これまで通りの家賃を支払えば、値上げを拒否することが可能だ(借地借家法32条)。
逆に、大家が賃料増額を求める裁判所の手続きを申し立て、最終的に裁判所から家賃の増額を命じられた場合には、借主は家賃の増額に応じる必要がある。
「なお、大家との話し合いがまとまらない間も、これまで通りの金額の家賃は、必ず支払うようにしてください。大家が受け取らない場合は『供託』をすることができます。
これまで通りの金額の家賃を支払わない(家賃を全く支払わない)と、これを理由に退去を求められる可能性が非常に高いことにご注意ください」(池辺弁護士)


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