しかし、国は訴訟係属中の原告らには判決が確定するまで支給を行わないとする方針を示し、原告と支援する弁護士らは強く反発。3月24日、最高裁第三小法廷に意見書を、上野賢一郎厚労大臣宛てに要求書をそれぞれ提出した。
訴訟係属中の原告についても、判決が確定している原告らと同様に追加給付をただちに行うことなどを求めた。(ライター・榎園哲哉)
厚労省“独自”計算の追加給付始まる
国による一方的な生活保護基準の引き下げについて、司法の最終的な判断が示されたものの、解決には至っていない。問題の端緒は約13年前にさかのぼる。2012年末の衆院選で自民党は、当時、人気芸人の母親が生活保護を受給している(受給は適法だった)との報道を機に湧き起こっていた“バッシング”を受け、「生活保護費10%削減」を公約に掲げた。
これを受けて厚労省は2013~15年、3度にわたって食費など生活に直結する「生活扶助費」を平均6.5%引き下げた。それに基づき各自治体により保護変更決定処分が行われ、実際に多くの生活保護受給者の保護費が減額された。
全国の受給者およそ1000人と支援する弁護士らは、厚労省の行った引き下げが「生存権」を定めた憲法25条、同条に基づく生活保護法(8条等)に反していると訴え、2014年2月以降、全国29地裁で処分取り消しを求める訴訟を提起。10年以上にわたって「いのちのとりで裁判全国アクション」を戦ってきた。
そして、上告されていた愛知と大阪の2件の訴訟について、最高裁第三小法廷は昨年6月27日、保護変更決定処分の取り消しを命じる「原告勝訴」の判決を下した。
原告らは、保護費の額を処分前(2013年以前)の状態に戻し、全受給者(約200万人、2025年9月現在)に遡及支給することを求めていたが、厚労省は独自の計算によって半分ほどに圧縮した額の追加給付を決め、大阪訴訟の原告2人への支給(3月6日)を皮切りに、総額約2000億円の支給を開始している。
「局長通知」で訴訟係属中の原告への追加給付が先延ばしに
しかし、厚労省が新たな2つの“差別”を生じさせていると原告と代理人弁護士らは指摘する。第一の差別は、原告とその他の受給者の扱いの違いである。
昨年8月、最高裁判決を受けた厚労省は有識者らでつくる専門委員会を独自に立ち上げ、原告らへの追加給付のあり方について審議を重ね、対応を練ってきた。
その中で、当初国が引き下げの根拠としていた「デフレ調整(-4.78%)」(※①)に替え、「水準調整(-2.49%)」(※②)を持ち出し、その差額分を受給者・対象者(保護廃止者を含む約300万人)に追加給付(受給世帯平均約10万円)することを決めた。
※①4.78%の物価下落がありその分を引き下げたと主張、②低所得世帯の消費実態と比較し本来は2.49%を引き下げるべきだったと主張
また、原告らについてのみ「水準調整」分も補てんし、「特別給付金」(同約10万円)として支給することを決めた。
さらに、第二の差別は、勝訴判決が確定した原告と、訴訟係属中の原告との扱いの違いである。
「いのちのとりで裁判」では、29の地裁に提起された31件の訴訟(東京地裁に3件が提起されている)のうち、21件でいまだ判決が確定していない。
今年2月20日、全国の自治体等へ発出された厚労省社会・援護局長通知の中で、訴訟係属中の21件の原告に対しては、確定判決が出るまで追加給付を行わない方針が明らかにされた。
係属中の訴訟の原告らに対し、支給を先送りする通知を出したことに、全国の原告・代理人弁護士らが憤りの声を上げている。
「命のあるうちに解決してほしい」
生活保護受給者のおよそ8割は高齢者、障害者・傷病者で、原告の多くもそうした人たちだ。代理人弁護士らは、原告らの命があるうちに補償を行うべきだと声を上げている。意見書・要望書の提出後に都内で開かれた会見で、福岡訴訟弁護団の高木健康弁護士は、くしくも大阪府内で追加給付が始まった3月6日に亡くなった同訴訟原告団長の79歳の女性について紹介した。
「女性は10年間裁判を戦ってきた。厚労省が補償の支給を遅らせているために、裁判(福岡高裁)で勝ったにもかかわらず、支給を受けられないまま亡くなった。全国にそういう方がたくさんいる。
広島訴訟弁護団の浅利陽子弁護士も、提訴当初63人いた原告が39人に減ったとし、「原告には単身の高齢者が多い。できるだけ早期に解決していただきたい」と訴えた。
兵庫県在住の88歳の原告男性は、「全国でたくさんの人が苦しんでいる。命のあるうちに解決されることを願っている」と語った。
「誰も責任を取らないことがありえるのか」
判決が未確定の21訴訟のうち、最高裁に係属(係属予定含む)している10の訴訟(※)は、いつ判決が言い渡されるか見通しが立っていない状況だ。※福岡、京都、札幌、埼玉、広島、東京(うち1訴訟)、秋田、兵庫、佐賀、熊本
原告・代理人らが最高裁第三小法廷に提出した意見書では、①控訴審で一審原告が勝訴している事件の速やかな上告不受理決定、②控訴審で一審被告が勝訴している事件の速やかな上告受理決定と判決言い渡し、を求めている。
厚労大臣に宛てた要求書でも、「先行した大阪訴訟と愛知訴訟が最高裁で確定した以上、そのほかの訴訟の結論も明らか」として訴訟の早期終了を訴えている。
また、要求書では「すべての対象者が漏れなく給付を受け、不服申立ての機会を保障されるよう、制度構築と周知を徹底することが切実に求められている」と、パソコンやインターネット等に不慣れな高齢者らへの配慮も要望した。
さらに、「最高裁判決後の厚生労働省の対応は一貫して不誠実で、判決の意義を矮小化し、原告を愚弄するものであった」とも記す。
会見では、自らもかつて厚生省(当時)職員だった「いのちのとりで裁判全国アクション」共同代表の尾藤廣喜弁護士が、「生活保護基準引き下げに至った原因の調査・解明、再発防止策の策定が必要だ。(約2000億円の支給を伴う)これだけの事件で国の誰も責任を取らない、ということがありえるのか。
■榎園哲哉
1965年鹿児島県鹿児島市生まれ。私立大学を中退後、中央大学法学部通信教育課程を6年かけ卒業。東京タイムズ社、鹿児島新報社東京支社などでの勤務を経てフリーランスの編集記者・ライターとして独立。防衛ホーム新聞社(自衛隊専門紙発行)などで執筆、武道経験を生かし士道をテーマにした著書刊行も進めている。

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