この件について、東京都国分寺市議会議員を3期10年務めた経歴があり、公職選挙法や政治資金規正法など「議員法務」に詳しい三葛敦志(みかつら あつし)弁護士は、「本来、刑事事件として立件することが難しい件であり、書類送検されるのは異例のこと」と指摘する。
選挙ポスター代に対する規制は「ゆるい」…その理由
なぜ、「選挙ポスター代の水増し」を刑事事件として立件するのが難しいのか。現行制度上、地方自治体の議会の議員・長の選挙における選挙ポスターの作成にかかる費用については、カネのかからない選挙を指向する「公営選挙の原則」の下、いわゆる「公費負担」となっている(公職選挙法264条3項参照。国政選挙もほぼ同じ仕組み)。
これを受け、ポスター代の全体の上限額について、自治体ごとの人口規模等に応じた計算式が定められている。しかし、どのようなポスターとするかについての規制は特に設けられていない。なぜか。
三葛弁護士:「そのような規制が、政治活動の自由や契約の自由と抵触するおそれがあるからと考えられます。
ポスターをどのような内容や品質、場合によっては貼り換え頻度をどうするのか(戦略的に貼り換えを行う候補者はいます)、といったことは、本来、政治活動の自由に属する事項であり、各候補者陣営の判断に委ねられるべきことです。
加えて、ポスター作成を担当する業者と候補者の間で、ポスターの内容・デザイン、単価、発注枚数等について、どのような契約を結ぶかは、契約自由の原則の範囲内です。
極端な話、公費負担の範囲内に納めなくてはいけないわけでもありません。また、得票数が少ない場合には、公費負担がなされず、候補者陣営の負担となることもあります。
むしろ、捜査機関から『お前のポスターは高いようだから調べさせろ』というのは、選挙介入の糸口になりかねず、自由な政治活動・選挙運動を阻害しかねません」
印刷にかかるコストは枚数が多いほど逓減するため、1枚あたりの単価と連動しないという事情も見過ごせないという。
三葛弁護士:「名刺やチラシ、ポスターの印刷を業者に注文した経験のある人ならばピンとくると思いますが、印刷代金は小ロットだと割高、大ロットだと割安になり、単価に換算した場合には差がかなり大きくなります。
一方、選挙の公営掲示板の枚数、つまりポスター印刷枚数は、自治体によりかなり異なります。そのため、それらの事情を無視した単価の横比較にはあまり意味がありません。
枚数の割に金額が割高だからといって、一概に『ポスターが高すぎる』などと評するのは困難なのです。そのため立件が難しいのです」
N国党立花氏らが書類送検に至った理由
では、なぜ、本件の尼崎市議選における水増し請求の事案が立件されたのか。三葛弁護士:「N国党の立花孝志氏は、過去に、自身のYouTubeチャンネルで、次のように、水増し請求をほのめかす発言をしたとの報道があります(※)。
『別会社作って、選挙するたびに国から金が入る。ポスターを10万円で作っても40万円とか請求できるんですよ。めっちゃ儲かるんですよ』(2019年)
『今回の選挙もなぜやってるか。金儲けです。儲かるんですよ』(2023年)
これらは、意図的に水増し請求していたことをいわば堂々と自白しているに等しいものです。そうなると、単なる『金額の適正性』の問題を超え、犯罪である詐欺行為の疑いがあるということになります。
本件で、ポスター代がどの程度高額だったのかはいまだ明らかではなく、今後の捜査の推移や報道を見守るしかありませんが、このような発言も考慮に入れると、捜査機関としては見過ごすことができない額だった可能性が考えられます。
※TBS NEWS DIG「『選挙って儲かるんですよ』の裏側 ポスター代を水増し請求 “選挙ハック”の実態【報道特集】」2025年5月10日
ポスター代が所定の上限額まで公費により賄われ、かつ、よほどのことがない限り「水増し請求」として立件されないとなると、候補者の側も業者の側も、総額を抑えるというインセンティブがはたらきにくくなる。
三葛弁護士:「だからといって、公費負担の制度を廃止してすべてを自己負担とすると、より多くのお金を持っている候補者が有利になり、公職選挙法の理念の否定になりかねません。
選挙ポスターに費用の明示を義務付けるという方法も考えられなくはありませんが、昨今の時流では『ポスターにお金をかけないこと』が有権者に対するPRになりポスターの活用の萎縮をもたらしかねません。戦略的に「貼らない」選択をして公費負担ゼロを公言する候補者が当選するという本末転倒な状況もありえます。
結果として、有権者が候補者の情報や政策等に触れる機会が減り、有権者の『知る権利』が害されるおそれすらあります」
金額の適正性は情報公開によるチェックで
では、水増し請求を抑止するためには、どのような事前・事後の方策が考えられるか。三葛弁護士:「まず、最低限、事後のチェックは現行法でも行うことができます。
選挙ポスターに対する公費負担としてある候補者がいくらを請求し支出されたか、情報公開請求により知ることは可能です。
また、候補者は、『選挙運動費用収支報告書』を領収書等の写しとともに選挙管理委員会へ提出することが義務付けられています。選挙ポスター代も当然、報告の対象です。公費負担がなされるから計上しないということにはなりません。
したがって、情報公開請求や選挙運動費用収支報告書の確認により、選挙ポスター代が不相当に多額ではないかチェックすることで、あからさまな水増し請求について住民監査請求や、極端な場合には刑事責任の追及を行うことは可能です。
また、ときどきマスメディアが、ポスター等の公費負担を上限額で請求した候補者についてやり玉に挙げ報道することもあります。
一方、事前に歯止めをかけるしくみについては、有効に機能していないと指摘する。
三葛弁護士:「公費負担の内容ごとに、人口規模等に応じた上限額の計算式はあります。しかし、その算出根拠は適切であるかどうかわかりにくく、なぜその金額であるのか、さらなる透明化・説明責任をはかる余地があると思います。
また、物価の変動等の諸事情を考慮して基準額を毎年見直す、単一の計算式ではなく自治体ごとの事情を反映させる、など、一工夫加えることも必要ではないかと思います。ただ、なかなか大変なため、割り切りも必要にはなります」
ポスター代の公費負担は国民が支払う税金を原資として行われる以上、価格が適正であることが求められる。ましてや水増しにより私腹を肥やすなどはもってのほかである。
選挙活動の自由や国民の知る権利といった憲法上の権利の保障に目を配りつつ、上限額の設定方法の精緻化と明確化を行うなど、コストを下げる一定程度のインセンティブを候補者側と業者側の双方に与えるという、現実的な対応が求められているといえる。

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