夫にとっては寝耳に水、アッと驚く為五郎。
妻は、夫の知らない間に、夫名義で多額の借金をしていたことが発覚したのです。夫は途方に暮れることになりました。
本記事では、配偶者が勝手に作った借金の責任をどこまで負うべきか、その「判断基準」について解説します。
※この記事は、飯野たから氏・神木正裕氏著、梅田幸子氏監修の書籍『男の離婚読本(第6版)』(自由国民社)より一部抜粋・構成。
妻のサラ金からの借金が発覚
梶原昇さん(仮名)は市役所の戸籍係。奥さんの麻子さん(仮名)との間に、小学2年生の俊と翔という双子の子供がいます(ともに仮名)。結婚以来、夕食は必ず家で食べ、月に3度は休日に家族で出かけるという梶原家は、幸せを絵に描いたような一家でした。しかし、ここに来て、麻子さんがサラ金から多額の借金をしていることが発覚したのです。***
事の起こりは、1年ほど前。麻子さんが親戚の法事で上京した時、偶然、女子高時代の友人に会ったのです。18年振りでした。
麻子さんが、高校1年まで通った東京のお嬢様学校の同級生だった彼女は、青年実業家と結婚したとかで、ブランド物の服やバッグで着飾っています。
バーゲンでブラウス1枚買うのにも、家計のやりくりで苦労する麻子さんは、その恵まれた暮らし振りが羨ましく、そして嫉妬を感じたのです。しかも、彼女の口から名前が出る旧友の夫たちは、大学教授や弁護士、医者、大手商社勤務とエリートばかり。
昇さんの仕事を聞かれた麻子さんは「夫は江戸時代から続く旧家の跡取りで近く政界にも出馬する予定よ」などと、ついデマカセを言ってしまったのです。
この時、本当のことを話しておけば、家庭が壊れることもありませんでした。しかし、夫が田舎の市役所勤めで、しかもノンキャリアだとは、友人への対抗心もあって言えなかったのです。
麻子さんは、その日、彼女と改めて東京で会う約束をしました。家に戻った麻子さんは、それまでコツコツ貯めていた貯金を下ろし、ブランド物のスーツやバッグ、それに装飾品を買い、約束の日が近づくと、地元では高級のエステにも行ったのです。
旧友たちとの出会いが一度で済めば、さほど大きな問題にはならなかったと思います。ところが、再会した旧友たちは喜んでくれ、何かある度に麻子さんにも声がかかるようになったのです。
「行っておいでよ。子供たちも手がかからなくなったし、君だって月に1度や2度、息抜きしなくちゃ」
昇さんは、快く東京行きを許しました。まさか麻子さんが、旧友たちと会うために分不相応の買物をしているとは思わなかったからです。
そして3か月前、たまたま早帰りした昇さんは、自宅の郵便受けにサラ金の督促状を見つけたのです。
「あなた、ごめんなさい」
問い詰められた麻子さんは、それまでの一部始終を話しました。怒鳴られ、1度くらい叩かれるかも知れませんが、夫は、きっと私の気持ちをわかってくれるだろうと、甘く考えていたのです。
しかし、昇さんは彼女の浪費を許すことはできませんでした。第一、旧友たちに見栄を張りたかったという麻子さんの気持ちなど、わかりたくもなかったのです。
たしかに、出世や金とは無縁です。ただ、少なくとも自分は、家族のために一生懸命頑張ってきたという自負が、昇さんにはありました。それなのに、麻子さんからダメ亭主と決めつけられたようなものです。腹も立ちましたが、それ以上に、情けなくなりました。
「出てけ! お前とは離婚だ!」
話を聞き終わると、昇さんはそう言い放ったのです。麻子さんは泣いて謝りましたが、昇さんは絶対にクビを縦に振りませんでした。
その後、彼女の母親や兄弟が代わる代わる謝罪にくるなどして、何度か話合いが持たれましたが、昇さんはどうしても彼女を許す気にはなれなかったのです。もちろん、麻子さんとは、もう二度と寄りを戻す気はありません。
***
麻子さんとの離婚を決意した昇さんですが、ただ一つ困っていることがあります。
それは、麻子さんの借金です。彼女がサラ金やカード会社からした借入れやクレジットの総額は500万円を超えています。しかも、その多くは、昇さんを勝手に連帯保証人にしたり、昇さんのカードを無断で使ったものなのです。
「女房が勝手にやったことで、自分は知らない。請求なら、女房にしてくれ」
「ダンナが、奥さんの借金返すのは常識だろう」
電話口や家の玄関先で、毎日のように取立屋と押し問答です。なにしろ、麻子さんには、収入も資産もありません。そのため、サラ金業者などの貸主は、いくら無関係だと主張しても、昇さんに返せと要求してくるのです。
中にはタチの悪い業者がいて、自宅だけでなく、役所にまで取り立てに押しかけてくるので、昇さんはホトホト参っています。
しかも、昇さんが離婚調停を起こすと、麻子さんは離婚には同意しましたが、子供の引取りと別居中の生活費を払えと主張してきたのです。
昇さんは、子供を引き渡す気もありませんし、もちろん生活費を払う気もありません。
解説/夫婦は、それぞれの収入や資力により生活費を分担する
昇さんは子供を引き渡したくなければ、浪費をする母親は子供の監護者として相応(ふさわ)しくないと主張することです。しかし、子供は2人とも10歳に満たない児童ですし、また母親の実家で育てられると思われるので、裁判所がどう判断するかは微妙です。
ところで、夫婦は、その資産や収入そのほか一切の事情を考慮に入れて夫婦生活に必要な生活費用(婚姻費用という)を分担することになっています。(民法760条)。
この生活費は、具体的に言うと、日常の衣料費、食料費(妥当な範囲の外食代や飲み代も入る)、家賃や住宅ローン、光熱費、電化製品や家具等の購入費、娯楽費(度を超すレジャー費やギャンブル代は除く)、医療費(子供の出産費も入る)、子の養育費や教育費、交際費などです(日常家事費用ともいう、具体的な範囲や金額は、社会的地位や職業、収入や資産、生活レベルにより異なる)。
分担の仕方は、まず収入割合により、夫婦の収入を合わせても生活費に足りない場合は資産を分担の基準にします。なお、夫の収入のみで暮らす専業主婦の場合は生活費を分担していないようにもみえますが、これは金銭的に評価されないだけで家事労働や育児など生活に欠かせない仕事をすることで分担しているのです。
もっとも、この分担方法は夫婦仲が円満な場合には問題になりません。1つの財布で暮らそうが、2つの財布で暮らそうが、また分担割合をどうしようが、それは個々の夫婦の勝手だからです。
しかし、夫婦仲が破綻し、別居というような事態が起こると、この生活費の分担が問題になります。夫婦は互いに扶助義務があり、相手に自分と同一水準の生活をさせる義務があるのです。
そして、請求を受けたら必要な生活費を原則として払わなければなりません。とくに、夫側に別居原因があったり、妻が無収入やパート収入のみで経済的に苦しい場合は、裁判でも妻の請求が認められるケースが多いでしょう。
なお、離婚を前提に別居した場合も、請求を受けている側(たとえば夫)は離婚成立まで相手方(妻)の生活費の負担を免れないと考えられます。ただし、生活費を請求する側に離婚原因や同居できなくなった原因がある場合には、この請求が認められないこともあります(最高裁・昭和39年9月17日判決)。
梶原さん夫妻の場合、別居は麻子さんの浪費が原因なのですから、昇さんは彼女に生活費を渡さず拒絶してみるのも案です。
日常の暮らしに必要な出費について、夫婦は連帯して責任を負う
夫婦は一般的に、生活必需品を買ったり、あるいは支払いをする場合、一々相手の承諾などとりません。いわゆる日常家事に関する行為については、夫婦は互いに代理権を持つと考えられているからです。判例も「夫婦は各自平等に日常家事を管理する権限を有し、それに必要な限りで互いに一種の法定代理権を有する。これにより、夫婦一方の法律行為は夫婦双方に効果を生ずる」としています(最高裁昭和44年12月18日判決)。
そして、夫婦は互いに、相手が独断でした日常家事に関する法律行為(たとえば夕食のおかずを買うなど)から生じた債務(代金の支払義務)については、連帯責任を負うことになっています(民法761条)。
妻がスーパーで夕食のおかずを買い、その代金をツケにしたという場合、スーパーは夫婦のどちらに代金請求をしてもかまわないのです。夫は、妻が勝手にした買物だから自分に責任はないと主張できません。
ただし、これは、あくまでも日常家事債務についてだけです。いくら夫婦でも、家庭の収入や生活レベルとバランスの取れない分不相応な買物(たとえば高価な毛皮やブランド物のバッグなど)とか、浪費やギャンブルのための借金まで連帯責任を負うわけではありません。
このような支出に関して、支払義務を負うのは契約上の連帯保証人になっている場合だけです。連帯保証人でもないのに、中には「夫婦なら払うのが当たり前だ」と強引な取り立てをしてくる債権者もいますが、日常家事債務でなければ、たとえ夫婦でも、支払義務はありません。
余談ですが、取り立てがしつこい場合は、最寄りの警察や監督行政庁(サラ金など消費者金融業者の監督業務は金融庁、地方財務局か都道府県主管課、クレジット会社は経済産業省など)に、刑事告訴や行政処分の申立てをしてください。
また、消費者庁や消費生活センターや弁護士会などの専門家に相談することもお勧めします。
なお、よく問題になるのは、夫婦の一方(たとえば妻)が、勝手に相手(夫)のカードを使って買物をしたり、連帯保証人にしてしまう場合です。この場合も、夫は原則として責任を負いません。
ただ、妻が借金をした貸主から確認の電話を受けて連帯保証人になるのを追認したり、また日常的に自分のカードを妻に使わせている場合などは責任を免れないと思います。
昇さんの場合、麻子さんの買物や借金は日常家事債務と無関係ですので、当然支払義務はありません。請求や取立てをするサラ金やカード会社など債権者に、その旨を主張してください。
ただ、家を飛び出した麻子さんは、昇さん名義のカードや家族カードを今も所持している可能性が高いので、これ以上債務を増やさないよう、至急解約手続きを取ることも合わせてお勧めします。
なお、平成22年6月から施行された改正貸金業法により、今日では、専業主婦は夫の同意(承諾)なしに貸金業者からの借入れができなくなりました。具体的には、夫が同意すると専業主婦である妻に借入れの限度額(極度額)が通知され、妻の借入れが可能になるわけです。
また、昇さんの職場にまで押しかける業者がいるようですが、この行為は貸金業法21条の取り立て規制に違反している可能性があります。
具体的には、①午後9時から翌日午前8時までの夜間の取り立て(訪問だけでなく電話なども禁止)、②債務者が申し出た時間以外の取り立て、③職場など自宅以外への取り立て、④自宅や職場から退去するよう求めても退去しない、などの行為が規制されていて、もちろん債務者以外の者に返済を迫ることも違法です。
違反者には、2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(併科もある)が科されます(雇っている法人も1億円以下の罰金)。このような悪質な取り立てを受けたら、すぐ110番すべきです。

![[のどぬ~るぬれマスク] 【Amazon.co.jp限定】 【まとめ買い】 昼夜兼用立体 ハーブ&ユーカリの香り 3セット×4個(おまけ付き)](https://m.media-amazon.com/images/I/51Q-T7qhTGL._SL500_.jpg)
![[のどぬ~るぬれマスク] 【Amazon.co.jp限定】 【まとめ買い】 就寝立体タイプ 無香料 3セット×4個(おまけ付き)](https://m.media-amazon.com/images/I/51pV-1+GeGL._SL500_.jpg)
![[コロンブス] キレイな状態をキープ 長時間撥水 アメダス 防水・防汚スプレー420mL](https://m.media-amazon.com/images/I/31RInZEF7ZL._SL500_.jpg)







![名探偵コナン 106 絵コンテカードセット付き特装版 ([特装版コミック])](https://m.media-amazon.com/images/I/01MKUOLsA5L._SL500_.gif)