2023年9月に総務省が公表した調査によると、公営墓地を管理する全国765の自治体のうち、実に58.2%にあたる445自治体が無縁墳墓を抱えていると回答。
かつて「お墓は先祖代々守るもの」という意識が当然だった時代は終わりを告げつつある。本記事では、無縁墓の現状を追った。(ライター:岩田いく実)
全国に広がる無縁墓
最高裁は無縁墓について「葬られた死者を弔うべき縁故者等がいなくなった墓のある土地」(昭和38年7月30日・最高裁判所第三小法廷決定)と規定している。管理する家族がいなくなり、放置されている墓のことだ。公営墓地の場合、無縁墓が発生すると管理費が支払われない問題に直面する。やむを得ず撤去する場合は官報への掲載と墓所への立て札による1年間の公示を経て、申し出がなければ無縁墓と認定される手続きを踏んだ後に行うこととなる。
ただし、一基の撤去に数十万円の費用がかかるとされているため、放置されたままのケースも少なくない。
厚生労働省「令和6年度衛生行政報告例」によれば、2024年度に全国で行われた「墓じまい」件数は17万6105件、10年前と比較すると約2倍に達している。行政が無縁墓として強制撤去した件数も全国で3006件だった。
費用や手続きの困難さから強制撤去に踏み切れず、長年放置されたままの無縁墓が無数に存在していると推測される。
管理できない墓はなぜ増える?少子化や価値観の変化
無縁墓が増え続ける背景には複合的な要因がある。厚生労働省の人口動態統計速報(2026年2月公表)によると、2025年の日本の出生数は約70万6000人にとどまり、2年連続で80万人を大きく下回った。一方、年間の死亡者数は約160万6000人に達している。
出生数の2倍を超える勢いで死者が増え続けており、お墓を継ぐことのできる子や孫がいない世帯が着実に増加している。
さらに、高度経済成長期以降に加速した人口の地方流出も根深い問題として横たわる。生まれ育った地域にそのまま住み続けている人は減り、先祖の墓が遠い故郷にあるという人は少なくなく、一度も住んだことのない土地に墓がある子孫にとって、それはやがて「負の遺産」となる。
価値観の変化も無視できない。核家族化が進むなかで、「家やお墓を継ぐ」という意識は若い世代を中心に希薄化しており、「子どもに負担をかけたくない」という想いから積極的に墓じまいを選択する家庭も増えている。
香川県高松市が2022年に実施した市民意識調査では、将来的なお墓の承継について「子どもはいるが守ってくれるとは思わない」「子どもがいないため困難」という回答が合わせて4割近くに達したという。
豪雪が管理を阻む地域も
全国共通の問題ではあるが、北陸・東北・北海道など豪雪地帯では、気候という特有の障壁が墓の管理をさらに困難にしている。冬期間は積雪によって墓地へのアクセスが険しくなる墓地もある。雪の重みや凍結・融解の繰り返しによって外柵が損傷するケースも珍しくない。
墓じまいや無縁改葬(※)の工事作業についても、雪が積もる冬季は墓石の解体作業が難しくなるため、実施できる期間が春から秋に限定される。
※墓地管理者や墓地経営者が所定の手続きを経て、遺骨を別の場所へ移して整理すること
管理できる季節の短さが重なり、荒廃が急速に進みやすい。こうした地域的な事情は、無縁墓問題への対応を全国一律には語れないことを示している。豪雪地帯では墓の承継意識の低下を後押しし、無縁化のスピードを速める要因にもなっている。
金沢・野田山墓地:能登地震で中断も無縁改葬を継続
石川県金沢市が管理する野田山墓地も、こうした全国的な潮流と無縁ではない。同墓地では、承継手続きが行われず所有者不明のまま放置された無縁墓について、法定の無縁改葬手続きを経た上で墓石の撤去と埋蔵遺骨の移転を計画的に実施している。これまで第4ブロックの無縁改葬が完了しており、現在は第5ブロックの事業を継続中だ。
ただし、2024年1月の能登半島地震の影響により、作業は一時中断を余儀なくされた。被災地支援や行政全体のリソース配分の問題もあり、再開後も慎重な進捗(しんちょく)管理が求められている状況だ。市民からのお墓に関する相談も増加傾向にある。
金沢市によると、正確な統計こそ取っていないものの「墓じまい」に関する問い合わせが増えているという。このほか、金沢市に納骨されている遺骨を別の場所に移すための「改葬手続き」や、墓地使用権の名義を変更する「承継手続き」についての相談も寄せられている。
市営墓地全体の課題として、近年は返還数(墓じまい等)が新規貸付数を上回る状況が続いており、市民の葬送に対する多様化する考え方に対して市営墓地が十分に対応できているのかが問われている。
行政が負担する「無縁墓の後始末」
総務省は調査結果をふまえ、厚生労働省に対して縁故者情報の事前把握に関する事例整理や、無縁改葬後の墓石取り扱いに関する指針の整備・提供など、地方自治体への支援強化を求めた。その後、対応は少しずつ進みつつある。しかし制度整備はいまだ途上であり、各自治体が独自の判断で対応しているのが現状だ。国立社会保障・人口問題研究所『日本の将来推計人口(令和5年推計)』によれば、総人口は50年後に現在の7割に減少し、65歳以上人口は約4割に達すると推計されており、高水準の死亡数が長期にわたって続く「多死社会」の到来は避けられない見通しだ。
無縁墓の撤去・整理にかかる費用は、多くの場合、墓地の管理者や自治体が負担する。
供養の形が変わっても、故人を想う心まで無縁になるわけではない
これまで日本社会を支えてきた「縁故者が継承し、物理的な墓石を維持する」という運用モデルは、少子化と人口移動の加速によって維持不可能な段階に達しつつある。近年はこうした動きを受け、墓のあり方を見直す動きも加速している。樹木葬や合祀墓(ごうしぼ)、海洋散骨といった新たな選択肢への移行も見られており、墓の管理負担から解放された形で「供養」を継続するための現実的な模索も活発化している。
供養の形が変わっても、死者を想う心までが無縁になるわけではない。親族間で権利や費用の整理を行い、当事者が健在なうちに「墓じまい」という終止符を打つこと。それが、多死社会を生きる個人に課せられていく新たな課題ではないか。
■岩田いく実
損害保険会社、法テラス、一般民事系法律事務所に勤務後、ライターに転身。パラリーガル経験を活かし、年間60人を超える弁護士・税理士を取材。相続や離婚、不動産売却、債務整理、損害保険などのテーマを中心に執筆。第一法規『弁護士のメンタルヘルスケアの心得』で記事執筆、自主出版に『ルポ豊田商事』がある。

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