全国の道に特化したバラエティ番組『道との遭遇』では、道マニアがイチオシの道をご紹介。
今回は、珍しい道や変わった標識などを求めて全国を巡る、道マニア歴20年の石井良依さん(23)と高野山真言宗功徳院・住職の松島龍戒さん(55)が、東京や埼玉にある“奇妙な道”を巡ります。
(石井さん)
「今回巡る道は、ずっと前々から気になっている、東京と埼玉の奇道。なぜそうなっているのかわからない不思議な道。今回はその謎を解明していきたい」
2人が向かった先は、東京都練馬区の「都道441(通称:富士街道)」の南側に位置する“奇道”。石川さんは、初めてその道を見つけたとき、一目で“異常”だとわかったといいます。

目的地に到着した2人が目にしたのは、信号機で入口をふさがれた“ナゾ”の一方通行道路。
道のど真ん中に「信号」と「ポール」
(石井さん)「信号が通せんぼして車が入れないようになっているんです」
(松島さん)「普通の信号ですよ」
(石井さん)「道のど真ん中に信号とポールが立っていて…」
(松島さん)「なんでここに立っているんですかね」

車は入れないにも関わらず、一方通行の出口となる反対側には「止まれ」の路面標示が。舗装は新しいまま保たれているようです。
(石井さん)
「車が通れないのに、歩道と車道が分かれている。やはり本来は車が通るべき道だった」
「止まれ」の路面表示のそばには、侵入できないようにガードレールも置かれ、「進入禁止」の標識はカバーで覆われ見えないように。ほぼ完成した道路に見えますが、なぜか通れないようになっているのか。


地元住民に取材すると、この道はかつて狭いあぜ道で、昔から通学路として使われていたそう。自転車やバイクなども多かったため児童の安全のため住民が土地を寄付し、平成8年に道路が拡幅され、平成30年に現在の車道が完成しました。
道マニアの視点から見ても非常に珍しい道ということですが…
不思議なのは、かつてあぜ道の幅に合わせて設置されていた信号機が、道路拡幅後の6年経った今でも撤去されていないこと。
開通を待ち続ける“奇道”
この謎について、地元住民に聞いてみると、富士街道の拡幅工事に合わせて信号機の撤去が予定されていたものの、車が通ることへの不安が相次ぎ計画が難航しているとのことです。

そのため、標識は隠されガードレールで塞がれたまま、この道路は今でも開通の時を待ち続けているのです。
(松島さん)「石井さんのような道マニアの立場からしたら、あのままでいる方がうれしいんじゃないですか?」
(石井さん)「ネタとしては面白いですけど、決められた役割を果たせないのは、悲しいことだと思います。ここまで長年振り回されてきて、どうして自分はこの世に…」
(松島さん)「生まれてきてしまったんだろうって…。なんか涙が出てきました。そういう人情ものに弱いんですよね。切ない。いつまで待たされるんだろうって」

東京都によると、工事はあと5年ほどかかる見込みで、その暁には信号機が撤去され、新たな交差点として生まれ変わる予定です。
2024年6月11日(火)午後11時56分放送 CBCテレビ「道との遭遇」より