きのう愛知県犬山市で航空自衛隊の練習機が墜落した事故で、男性隊員2人の捜索活動が続いています。
事故があったのは、きのう午後3時すぎ。
(捜索に参加した人)
「それ(機体)らしきものが魚群探知機に映ったので、きっとこれだろうと。小さな部品が池に浮いていたり…悲しい事故なのかなと」

墜落した自衛隊機は宮崎県の航空自衛隊・新田原基地に所属するT-4練習機。きのう午後3時すぎに愛知県の小牧基地を離陸した直後、レーダーに映らなくなり、入鹿池付近に墜落しました。
(撮影していた人)
「見た感じは、いつも通り。排気ガスの色が違うとか、後ろの席の人が慌てている様子もない。何も異常はなかった」
旋回後に入鹿池を通過する飛行コースだった

搭乗していたのは井岡拓路1等空尉(31)と網谷奨太2等空尉(29)で、飛行前の点検で異常は確認されなかったということです。
(内倉浩昭 航空幕僚長)
「(飛行時間は)1等空尉が約1170時間。2等空尉が約480時間。1等空尉は節目となる1000時間を超えているので、ある程度の“ベテラン”または“中堅”パイロットという言い方はできるが、2等空尉については飛行時間から考えると“ベテラン”という言い方は通常していない」

墜落した自衛隊機は小牧基地から北に向かって離陸し、旋回して入鹿池付近を通過し宮崎県の基地に向かう計画でした。このルートには住宅地が広がっていて、周辺の自治体の人口も小牧市が約14万5000人、犬山市が約7万人にのぼります。また、現場のすぐ近くの観光施設・博物館明治村は事故当時、営業中でした。
(元・統合幕僚長 河野克俊さん)
「住宅街と観光地である明治村が、すぐ近くだった。その被害を考慮して何らかのコントロールを最大限の努力をして、被害が少ない方向に向かったと思う」
墜落現場は国内最大級の農業用ため池

2人の隊員の捜索はきのうから夜通しで行われていますが、発見には至っていません。現場では破損した機体の一部が複数見つかったほか、隊員のヘルメットなどの持ち物も見つかっているということです。
墜落現場の入鹿池は国内最大級の農業用のため池で、田植えのシーズンを前に油が広がらないよう吸着マットが設置されました。

この事故を受け、きょう午後に金子防衛大臣政務官が犬山市長を訪ね、状況を説明しました。
(犬山市 原欣伸 市長)
「(農家から)不安の声が多く届けられている。その状況を防衛省にお伝えした。防衛大臣からも『農業従事者に向き合う対応をする』とお答えいただいた」
信頼性が高い機体だが老朽化の指摘も

T-4練習機は操縦訓練などのほか、アクロバット飛行チーム・ブルーインパルスも、この機体を使っています。一方、これまでに3件死亡事故が起きていて、2000年7月には宮城県で2機が山に衝突し3人が死亡しました。
墜落した機体は36年前に製造されたものでしたが…。

(中京大学 国際学部 佐道明広 教授)
「かなり信頼性が高い機体になるが、老朽化も指摘されていた。老朽化が直接、墜落の原因と言えるかは分からない」
自衛隊が保有するT-4練習機は197機のうち、墜落した機体を含め約60機にフライトレコーダーが搭載されておらず、事故の原因究明は難航するとみられています。
















