新型コロナの感染者が増加傾向にあります。特に猛威を振るっているのがオミクロン株から派生した「ニンバス」です。
名古屋市中川区の加藤クリニックをけさ訪ねました。
(大石邦彦アンカーマン)
「『かぜ症状・発熱の方』は別室で、隔離した状態で検査。まだここまで徹底しているんですね」

きょう午前、38度台の発熱があり受診に訪れたという70代の男性。
(70代の男性)
Q.「もしかしたらコロナかな」と思った?
「思っていない。コロナにかかったことがないから分からない」
Q.体調はそこまできつくないですか?
「ないです」
男性は”倦怠感や喉の痛みはない”と言いますが、抗原検査の結果は…
(加藤クリニック 加藤政隆院長)
「赤い線が出たのでコロナ陽性です。コロナの薬いる?大丈夫そう?」
(70代男性)
「大丈夫」
(加藤院長)
「熱の薬を出すので、涼しい部屋で水分をよくとって養生して」

8月に入って増える新型コロナ感染者
新型コロナの変異株「ニンバス」は、喉の痛みがクローズアップされていますが、男性のように喉の痛みがなく、発熱症状だけの方もいらっしゃるようです。
(加藤院長)
Q.8月に入って何人陽性?
「8月はきのう時点で約30人。7月は13人ですので、圧倒的に増えていると言える」
Q.そんなに喉が痛くなくても「ニンバス」の可能性がある?
「おっしゃるとおりです」

また、60代の男性はおととい発熱し、コロナとインフルエンザの検査では陰性だったということですが、38度台の高熱がなかなかおさまらなかったため、きょう再受診。
(60代男性)
「頓服を4錠もらって飲んだ。いっときは良かったけど、すぐまた…」
検査の結果は、コロナ陽性。
(加藤院長)
「ゾコーバという薬を出します。初日は3錠で、あとは1錠ずつ飲んで」
コロナの症状が重症化するリスクが高い患者に処方している「ゾコーバ」は、ウイルスの増殖を抑える保険適用の薬です。価格は3割負担で1万5000円です。
抗ウイルス薬「ゾコーバ」どんな効果?
一方こちらは、同じく中川区の大島薬局。加藤院長が処方した抗ウイルス薬「ゾコーバ」については、服用しない場合と比べると解熱など症状が1日程度早く回復すると薬剤師の大橋さんは話します。
(大島薬局 薬剤師 大橋弘治さん)
「コロナにかかっている期間が1週間くらいなので、早く治せる薬です」
Q.その差は薬剤師から見てどう?
「1日2日と思うかもしれないが、コロナの後にもう一度受診され、まだ喉が痛い・咳がずっと出ている、声が上手く出ないなど、ひどい炎症の期間を少し短くすることによって、後遺症が少し減る感じはする」
大島薬局で扱う2種類の抗ウイルス薬「ゾコーバ」と「ラゲブリオ」。いまのところ「在庫はある」ということです。
薬局では慢性的な“薬不足”
しかしここ数年、風邪薬などの薬不足は続いているといいます。
半年前、インフルエンザが流行した際の取材では、棚には「入庫困難」の札が多くかけられていました。きょうは、その札はかけられていませんでしたが…
(大橋さん)
Q.薬不足は解消された?
「まだ変わらずです。少しましになったものもあるが、ないものは変わらず足りていない状態」
Q.どんな薬が足りない?
「咳止め。入ってきていないので、ほとんど使っていない状態」
Q.咳止めを処方するときはどうする?
「他の咳止めで対応しています」
Q.やりくりできている?
「なんとか今のところギリギリ…」
さらに、大島薬局に薬を納めている医薬品卸売業者の男性は…
(医薬品卸売業者)
「これから冬に向けて、またコロナの波が来ると、ますます薬が足りなくなるので在庫を貯めていきたいですが、なかなか貯まらない状況」
慢性的な薬不足の中、さらに感染が拡大すれば、必要な人に薬が届かなくなる可能性も考えられます。それを防ぐためには?
(薬剤師 大橋さん)
「自分で健康を守っていくことですね」
「熱中症に気をつけながらマスク着用を」
愛知県内では、先週1医療機関あたりの感染者数が、1年ぶりに10人を超え、5週連続で増加しています。では、感染のピークはいつになるのでしょうか?
(加藤クリニック 加藤院長)
「今後ひと月くらいじゃないでしょうか。夏で人がたくさん集まって、いろんなイベントがあって、人が接する機会が多くて、しかもマスクをしていない状況で、数字を見る限りでは今後まだ増え続ける印象はある。重症化する人は高齢者、基礎疾患がある人。十分注意してほしい」
私たちができる対策について加藤院長は「人ごみに行く場合などは、熱中症に気をつけながら、マスク着用を徹底してほしい」ということや…
(加藤院長)
「ワクチンを打っていただく。
名古屋市では、ことし10月15日から65歳以上の人と、60~64歳の基礎疾患のある人については、各自治体の定期接種が始まる予定です。摂取は、強制ではなくワクチンの効果や副反応について、自分で納得した上で摂取を検討するよう呼びかけています。