突然の発表…名鉄の名駅再開発スケジュールが“未定”に

名鉄の名駅再開発の計画スケジュールが、12月12日に突然「未定」となりました。建設費の高騰・人材確保の難しさが理由とのことですが、都市開発の難しさが浮き彫りになりました。

(名古屋鉄道 髙﨑裕樹社長・12月12日)
「人材確保難のため計画に対応する施工体制の構築が困難である」

「愛知や中部地域に対する、経済的な悪影響などが出てくるのでは...の画像はこちら >>

12月12日(金)の午後、突然開かれた社長会見で伝えられたのは、名古屋鉄道が名鉄名古屋駅周辺で8800億円を投じる注目の再開発計画について。



この日、解体着工を「未定」とし、さらにはこれまで2027年度の建設着工、2033年度の1期目工事の竣工などが公表されていましたが、いずれも「未定」に。

「愛知や中部地域に対する、経済的な悪影響などが出てくるのでは」 名鉄の名駅再開発スケジュール“未定” 建設費の高騰や人材確保が難航 専門家に影響を聞く
CBC

工事費用が当初の見積もりの倍に…

名鉄の髙﨑社長は、背景に「建設工事に関わる社会情勢の急激な変化」があるとしました。

(髙﨑社長)
「想定外で大変驚いた」

再開発ビルの建設に向け、検討を進めていた施工候補のゼネコングループから突如、入札辞退の申し出があったということです。理由は、建設費や人件費の高騰などから、工事費用が当初の見積もりから倍に膨らんだと説明を受けたということです。

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この事態を受けて、名古屋の街の人は…

(街の人)
「ちょっと残念ですよね。名駅もまたいろいろできて、活性化するかと思っていたので」

「これが名古屋の顔だから、一番の中心の所がこんなふうでは、名古屋の経済がどうなっているんだという話ですよね。私も事業をしているが、コロナ禍の時から入札があっても不成立ということが結構ある」

「命ある頃にきれいになればいいけど大変だと思います」

百貨店本店の営業終了 予定通り来年2月28日

髙﨑社長はこの日の会見で「直ちに規模を縮小させるものではない」とした上で、「白紙にするわけではなく計画の再検討と見直しである」と強調しました。会見では2026年度中には「何らかの方向性を示したい」としましたが、グループの名鉄百貨店本店の営業終了については、来年2月28日と予定通り。

また、名鉄バスセンターや、名鉄グランドホテルなどの既存施設の営業については「未定」としました。

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東京や福岡の再開発計画は「白紙」「中止」

こうした都市部での再開発計画は、建設費の高騰などを背景に再検討する例は全国で相次いでいます。

2023年に閉館した東京の複合施設「中野サンプラザ」の再開発では、超高層ビルへの建て替えなどを計画していましたが、事業費が当初の倍に膨らむ見通しとなり、ことし6月「白紙」に。

またJR九州が福岡・博多駅に大型複合ビルを建設する計画でしたが、こちらも建設費の概算が倍に膨らむ上、工事費の上昇が見込まれることからことし9月に「中止」が発表されました。

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専門家「名古屋駅への将来への期待がかなり後退した」

そこで、専門家に聞きました。

(SBI金融経済研究所・難波了一主任研究員)
Q.全国的な再開発の苦境いつまで続く?
「そもそも日本全体で少子高齢化が進んでいるので、この大きな流れは名古屋の中でどうこうできることではない」

Q.名鉄の名駅再開発“未定”の影響は?
「名古屋駅への将来への期待がかなり後退したと。

それに伴って、名古屋ひいては愛知県や中部の地域に対する、経済的な悪影響などが出てくると考えられる」

「愛知や中部地域に対する、経済的な悪影響などが出てくるのでは」 名鉄の名駅再開発スケジュール“未定” 建設費の高騰や人材確保が難航 専門家に影響を聞く
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再開発計画について髙﨑社長は…

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ことし年頭のCBCテレビの番組に出演した、名鉄の髙﨑社長はこう話していました。

(髙﨑社長・ことし1月)
「当社は名駅再開発計画をしっかり推進していく。その計画を今作って、春に発表できるように準備中です。リニアがやってくる前に、まず名駅から栄にかけての都心街づくりを最優先で集中的に進めるべき」

また、12月2日には髙﨑社長を会長に経済界がスクラムを組み、名古屋市中心部の魅力向上に取り組む、政策提言の組織「NAGOYA都心会議」の設立総会を開いたばかりでした。

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このように、名古屋の街づくりの先頭にたってきた髙﨑社長はこの日、会見の最後…

(髙﨑社長)
「公共交通の利便性向上と魅力ある街づくり、地域づくり、これに取り組む姿勢は私の中で今後も決して揺らぐことはありません。これからも皆さまの力強いご支援を賜りますようお願い申し上げます」

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