未来を拓く新たな命の誕生。その減少が止まりません。



(高市早苗総理 ことし10月)
「日本の最大の問題は人口減少であるとの認識に立ち、子ども・子育て政策を含む人口減少対策を検討していく体制を構築します」

この1年で90万人減 深刻な課題“人口減少” 少子化対策は何...の画像はこちら >>

高市総理も所信表明演説で、国の深刻な課題と位置づけた「人口減少」。
去年生まれた赤ちゃんは68万6173人と過去最低に。一方、亡くなった人は160万5378人と、過去最多。日本の人口はこの1年で差し引き90万人も減りました。人口減少問題にどう対処すべきか、出口は見えていません。

この1年で90万人減 深刻な課題“人口減少” 少子化対策は何のため? 専門家「国や社会のためではなく“個人の理想子ども数”を産めるための支援」
CBC

人口がV字回復した「奇跡の村」へ

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手がかりを求め、訪ねたのは長野県の南部、下條村。

(30代村民)
Q.かつて何て呼ばれていたか知っている?
「奇跡の村」

この村はかつて、人口のV字回復を果たし、「奇跡の村」と呼ばれました。1991年に3800人近くまで落ち込んでいた人口を、2005年には約4200人まで盛り返したのです。

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先進的な“子育て支援”を実施

取り組んだのは、徹底的な子育て支援。12年前取材した時も…

医療費は、高校卒業まで無料。保育料は、最大半額(2018年度から無料)。給食費の4割を村が負担し(現在は無料)、家賃が格安の村営住宅を年におよそ1棟ペースで11棟建設しました(1997年~2008年)。

当時としては先進的な取り組みを行い、若い世代を外から呼びこむ形で人口増加を進めたのです。

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村営住宅に住む家族

2年前から村営住宅に住む、橘田萌さん。夫と子ども2人の4人暮らしで、その家賃は2LDKで3万4000円です。



(橘田萌さん 44歳)
「前は飯田市にいたが、同じ間取りでも6万円以上していた。だいぶお安い。若い世代に力を入れてくれていて、いいなと思う」

(娘・彩愛ちゃん 3歳)
Q.下條村は好き?
「はい!」

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第3子が生まれると50万円 充実の支援策に…「3人目産もうかなとなった」

いまは保育料も給食費も無料。第2子(8万円)、第3子以上(50万円)と現金支給もあり、入学祝いに商品券(小学校3万円分・中学校6万円分)や高校の通学費の補助(年間3万円)もしています。

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(30代村民・子ども2人)
「だいぶありがたい。(元々)2人は欲しかったが、3人目は手厚いから考えますよね」

(30代村民・子ども3人)
「いろいろ支援してくれるので、3人目産もうかなとなった」

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合計特殊出生率は全国平均を大きく上回るも…人口は減少続く

子育て支援に村の力を集中させた下條村。去年の合計特殊出生率は「1.64」と、全国平均を大きく上回っています。しかし、人口そのものは20年近く減り続けています。

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(80代村民)
「(当時は)村営住宅を10棟くらい作って、子どもも大勢いたけれど、今は生まれるよりも亡くなっていく人が多い。空き家は多くなったし、小学校もほとんどが1クラス。時代の流れというか…どうしようもない」

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人口減少も…「元気のある村づくりへ方向転換」

周りの自治体も人口が減り続け、どこも似たような子育て支援を行う中、移住者を呼び込む「人の奪い合い」は限界に来ています。それでも…

(下條村・金田憲治村長)
「何もしていなかったら、もっと下がり具合は大きかった。今の人口は約3300人だが、もう2000人台になっていた。村にとっては1つ大きな成功だった」

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人口減少のペースを少しでも緩やかにしようと、村はことし、約2億8000万円をかけて、17年ぶりに新しい村営住宅を建設しました。今の下條村が目指すのは…

(金田村長)
「ある一定の若者がいないと、村にとって元気がなかなか生まれないので、(生まれる)子どもの数は落ちないようにやっていきたい。

ただ、人口はまだまだ減っていく。これを止めることはとても無理。減っても元気のある村づくりへ方向転換していく」

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専門家が考える“人口減少”と“少子化対策”とは

人口減少の問題をどう捉えるのか。専門家は…

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(人口学者・茂木良平さん)
「人口減少は止まらないものとして捉えるしかない。子どもを産むことで社会の存続を助けようとか、人口減少を止めるために子どもを産もうといった、国のため・社会のためという目的ではなくて、少子化対策は“個人の理想子ども数を産めるための支援”と発信していくべき」

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「理想の子どもの数」は?

そこで「理想の子どもの数」を聞いてみると。

(40代・子ども1人)
「3人くらいいると楽しいし良いかなと思うが、仕事を考えると1人が精一杯」

(40代・子ども2人)
「3人は金銭的にも難しい。1人だと寂しいから2人かな」

(30代・子ども1人)
「理想は3人とか2人。1人産んでみて、すごくお金がかかると分かった。頑張れて2人なんじゃないかな」

国の調査では、夫婦が理想とする子どもの数は「2.25人」。しかし、実際に生まれる子どもの数(合計特殊出生率)は「1.15」。理想には程遠いのが今の日本です。

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