南海トラフ巨大地震の発生確率や、被害想定が見直された2025年も残り数日。大掃除をしたり、家族が集まったりする年末年始は「防災」を見直すチャンスです。

手軽にできる“チェックポイント”をまとめました。

南海トラフ巨大地震 最大死者は「冬の深夜」

南海トラフ沿いでは今後30年以内にマグニチュード8から9の巨大地震が「60から90%程度以上」の確率で起きると予測されています。最大震度は7。太平洋沿岸の広い地域で10メートル以上の大津波が来ることが想定され、死者は最大で29万8000人にのぼる想定です。

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新たな被害想定は、最新の地形データで再計算されたものです。東海3県で最大震度7を観測するのは44市区町村に。また、高さ1メートルの津波の最短到達時間は多くの自治体で早まっていて、名古屋市では7分早まり「1時間35分」に。

年末年始に「ついで防災」 “大掃除”や“年賀状”も活用できる…自宅や防災バッグをチェック 南海トラフ巨大地震で最大死者は“冬の深夜”発生時
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もはや「いつ起きてもおかしくない」南海トラフ巨大地震。死者が最大になる想定は、在宅者の多い「冬の深夜」に発生するケースです。

年末年始は見直しのチャンス 冬場の備えは?

普段からの「備え」のおさらいです。自宅の耐震性の確認はもちろん「家具の固定」や、「ガラスの飛散防止」など対策はできていますか?発災後に “生き延びる”ための備蓄は「1週間分が目安」です。家族の安否確認方法や、避難先や避難経路などの確認もお願いします。さらに、冬場に追加したいポイントが…。

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愛知県知立市や近隣の女性たちで結成された「防災ママ かきつばた」のメンバー、原田友紀さんに聞きました。



避難所ではなく、自宅での避難を想定しているという原田さん。“防災バッグ”の中身は最小限で、衣替えのタイミングで入れ替えるとのこと。特に冬場に注目したいのが【寒さ対策】と【感染症対策】です。

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防災バッグのチェックポイント ※「防災ママ」原田さんによる

【寒さ対策】として冬場に入れるのは、カイロ・アルミシート・靴下(起毛)・機能性下着・ブランケット。「かさばるので薄くて暖かいものをチョイス」しているそうです。また「いま被災したら…」とのイメージがつくので、本格的に寒くなる年末年始の見直しはオススメとのこと。原田さん自身は毎年、モノを足すというより、家族みんなで備えの再確認をしているといいます。

【感染症対策】は季節を問わず準備していて、マスク・消毒液・除菌シート・スリッパ。スリッパは感染症対策はもちろん、避難所での寒さ対策としても効果があるそうです。

さらに、大掃除や買い出しでも、見直しておきたいポイントが!

大掃除での“要チェック”ポイント

南海トラフ巨大地震で最大死者が「冬の深夜」に想定されるのは、在宅率が高いうえ、火事のおそれがあるから。大掃除では【家具の固定など】はもちろん【出火リスクを減らす】ことも大切です。

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大掃除でのチェックポイント ※「防災ママ」原田さんによる

【家具の固定など】は「大きな家具や家電が優先」。固定していても、日々の振動や木材の伸縮でゆるむことがあり、「ゆるみがないかの確認」も重要。

また、本棚などが倒れにくくなるよう「重いものは下、軽いものは上」にするほか、家具などが倒れて避難経路をふさがないよう「配置の見直し」もお忘れなく。

【出火リスクを減らす】には「ストーブの周りに燃えやすいものを置かない」のが基本。「コンセントの掃除」や「不要なプラグは抜く」、さらに「コンロの油汚れもキレイに」。大掃除のついでにチェックしておきましょう。

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原田さん宅の備蓄 水や非常用トイレも20日分ほどあり

余った年賀状が1枚あれば…こんな活用も

原田さんは2人の子どもにも防災バッグを用意しています。中身はそれぞれ持ち運べる“最低限の量”。自ら背負って逃げるためです。

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子どもたちの防災バッグの中、保険証や医療受給者証などのコピーが入った「個人情報ファイル」にはすぐできる工夫が…。入っていたのは、原田さん一家の「年賀状」。これが災害時にはぐれてしまったときに、ママやパパを探すために使う「家族カード」に。

年賀状には、家族の名前、生年月日、血液型のほか、パパママの携帯番号も記入してあります。「家族を探すとき、スマホで写真を見せて探していると、電池を使ってしまいます。

年賀状ならすぐに取り出せるし、スマホの電池がなくなる心配もない」と話します。

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余った年賀状が“家族カード”に

長男・悠杜くんの写真の横には「犬アレルギー」との文字も。これなら、どの家庭でも手軽に作れそうです。

大掃除や家族が集まる年末年始。この機会に、できることから備えの見直しや、話し合いをしてみていただきたいと思います。

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