ドライブしていると時々目にする、入るのにちょっと勇気がいりそうなクセの強い飲食店、通称「クセツヨ食堂」。そこには、チェーン店や行列店とはまた違う“個性的すぎる魅力”が満載!

今回やってきたのは、三重県桑名市にある旧東海道の宿場町「桑名宿」があった街道沿いにある、創業80年のクセツヨ食堂「八百勇(やおゆう)」。

「待てる人だけ来て」 鉄板1枚で16席をさばく 創業80年の...の画像はこちら >>

創業以来、80年不動の人気を誇る「八百勇ねぎ焼き」500円。ほぼ全員が注文する看板メニュー。粗めに切ったネギを生地の上にたっぷりのせ、紅ショウガと天かすをまぶす。しょう油を染み込ませ焼き色が付いたら食べごろ。

そして、ねぎ焼きに並ぶ勢いの人気メニューが、熱々の鉄板で焼いたフワッフワの玉子焼き500円。

「待てる人だけ来て」 鉄板1枚で16席をさばく 創業80年のお好み焼き店 常連客の“謎ルール”とは 三重・桑名市
CBC

「待てる人だけ来て」 鉄板1枚で16席をさばく 創業80年のお好み焼き店 常連客の“謎ルール”とは 三重・桑名市
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「待てる人だけ来て」鉄板1枚で店主が全て調理

そんな人気メニューを鉄板に向かって一人で焼いてるのが、店主の鈴木江里さん61歳。

(店主 鈴木江里さん)
「趣味で筋トレをやっています!30分休憩あればジム行きます!」

「待てる人だけ来て」 鉄板1枚で16席をさばく 創業80年のお好み焼き店 常連客の“謎ルール”とは 三重・桑名市
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趣味が「毎日の筋トレ」だというパワフルお姉さん。実はこの店、小さな鉄板が1枚あるのみ。江里さんはそこで、全ての焼き物メニューをたった一人で調理しています。

(江里さん)
Q.ほぼワンオペ?
「ほぼ一人。お待たせします。うちはお待たせしてしまう店です。待てる人だけ来ていただければ」

「待てる人だけ来て」 鉄板1枚で16席をさばく 創業80年のお好み焼き店 常連客の“謎ルール”とは 三重・桑名市
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常連客たちのマナーは…「1時間後に注文」!?

店内にある16席全てが埋まったとしても、鉄板は一枚だけ。どんなに客が増えても、小さな鉄板1つでこなさなければならない。

実際、満席のときに常連客を観察すると…

(常連客)「なに食べる?」
(江里さん)「ちょっと当分焼けやんけど、ええやろか?」
(常連客)「あるものでええんちゃう?」
(常連客)「えぇ!えぇ!焼く人の気持ちも考えなあかん」

「待てる人だけ来て」 鉄板1枚で16席をさばく 創業80年のお好み焼き店 常連客の“謎ルール”とは 三重・桑名市
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江里さんの負担になる鉄板メニューを避けて、まずは「おでん」で一杯。そこから、ひたすら「おでん」で時間をかせぎ、1時間後…

(常連客)「ほな、お好み焼き頼むわ!玉子とイカ焼きね」

1時間経って、ようやくここでお好み焼きを注文。江里さんの手が空いたのを見計らって注文するのが、常連客たちのマナー。

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常連客が待ち時間にDIY

週3回通う先代からの常連客 すーさんは、待ち時間の過ごし方もひと味違います。

(先代からの常連客 すーさん)
「のれん掛けを作った。雑だけど…。売っているのを利用して(アタッチメントを付けた)」

なんと、お好み焼きの待ち時間にお店の「のれん」を引っかける、アタッチメント付きの「のれん掛け」をDIYで作成。

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(すーさん)
「看板も要望があって」
Q.こういうお仕事をしている?
「設備関係の仕事を…」

駐車場案内の看板も設置。待ち時間を利用して、店のメンテナンスまでしていました。

(江里さん)
「(すーさんは)週に3回くらい来ます。きのうも来たし、きょうも来るし」

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「もう復活しないと思われていた店」

こんなに繁盛しているのに、なぜ小さな鉄板1つにこだわっているのか?実は…

(江里さん)
「私が働き始めたのは3年前なんです。もう復活しないと思われていた店」

いまから80年前に、江里さんの祖母が始めた八百勇。2代目で江里さんの伯母にあたる鈴子さんは、店の名物おばあちゃんとして91歳まで店に立っていました。

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(江里さん)
「亡くなったのは94歳で3年前です。

3年くらい店を閉めています。完全に閉店していました」

鈴子さんが91歳で店を離れてから亡くなるまでの3年間、八百勇は店を閉じ、その後、江里さんがのれんを引き継ぎ、店を復活。

(江里さん)
Q.なぜ復活させようと?
「実家だしね」

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復活決断も…レシピがない!

調理経験ゼロにもかかわらず、江里さんは八百勇の復活を決断。先代のころから通う常連客のすーさんは、復活の話を聞いたとき…

(すーさん)
「この人は何を言っとるのかなと思った。冗談で言っていると思ったけど、けっこう本気だった」

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しかし、ここである問題が浮上。八百勇は、80年前から小さな鉄板1枚で調理してきたため、レシピは祖母と伯母の頭の中にしかありませんでした。

(江里さん)
「閉店する直前は週末に手伝っていた。調理は全くしていなかった。切ったり洗ったりしかしていないので、まあまあ大変だった。一切焼いてなかったから」

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看板メニューは復活した!?

看板メニューである「ねぎ焼き」を復活できなければ、常連客に顔向けできない。

(江里さん)
「八百勇は根強いファンがいる店。常連さんの方が全部知っている。変なことできない」

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一体どうやって「ねぎ焼き」の味を復活させたのか?それは…

(妹 ひろみさん・ホール担当)
「土曜日はだいたい『ねぎ焼き』食べていた。学校から帰ると、おばあちゃんが『これ食べときな』って」

幼いころから食べてきた実家の味。

その記憶だけを頼りに、試行錯誤して「八百勇ねぎ焼き」復活にこぎつけたんです。

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「昔はしょっちゅう来とった!」かつての常連客が再び

さらに、江里さんのこだわりはメニュー以外にも…

(夫 昂司さん・皿洗い担当)
「再オープン前は、オシャレな店に改装するイメージもあった。『キレイに改装して流行る店に!』という案も出したんですが、全部却下(笑)」

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祖母の代から続く、鉄板1枚の町の小さなお好み焼き屋さん。江里さんがその姿をそのまま残したことで、長年通ったかつての常連客たちが戻ってきたのです。

(常連客)
「昔はしょっちゅう来とった!」
「オレも昔は来とった!」

「待てる人だけ来て」 鉄板1枚で16席をさばく 創業80年のお好み焼き店 常連客の“謎ルール”とは 三重・桑名市
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新メニュー開発で新たな客層も

“ねぎ焼き”と“小さな鉄板”と“常連客”を引き継いだ江里さん。次なる展開が、新メニューの開発です。

江里さん渾身の新メニューは、醤油の香ばしい香り漂う「牛すじ焼きそば」800円。

「待てる人だけ来て」 鉄板1枚で16席をさばく 創業80年のお好み焼き店 常連客の“謎ルール”とは 三重・桑名市
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そして、醤油ダレとホタテの相性抜群『くわな焼き』1200円。

(江里さん)
Q.桑名名物ハマグリは使わない?
「マズかった!マズくはないけど…売るほどのものじゃない。そして準備が大変」

「待てる人だけ来て」 鉄板1枚で16席をさばく 創業80年のお好み焼き店 常連客の“謎ルール”とは 三重・桑名市
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新メニューも加わって客層も広がり、きょうも八百勇は満席。

(江里さん)
Q.なんのためにやろうと?
「皆さんのため。めっちゃカッコええ(笑)」

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CBCテレビ「チャント!」2026年3月26日放送より

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