日本製鉄は、耐火物製造子会社の黒崎播磨をTOB(株式公開買い付け)で完全子会社化する。国内の鉄鋼市場が縮小する中、海外展開や鉄源工程(製鉄プロセスで高炉・製鋼などの耐火物を使用する工程)で一体的なマネジメント体制を築き、競争力を強化することが必要と判断した。

完全子会社化によって技術情報の共有などに関する制約を取り除き、海外事業でのリソース活用の拡大や電気炉向け耐火物開発の加速化が可能になると見込んでいる。

買付価格は1株につき4200円で、公表前営業日の終値3450円に対して21.74%のプレミアムを加えた。買付予定数は1804万4731株で、下限は所有割合20.25%にあたる681万9196株。買付代金は約758億円。TOBは2026年2月上旬に開始する予定。公開買付代理人は野村証券。

黒崎播磨はTOBに賛同し、株主に応募を推奨している。TOB成立後、同社は東証プライム市場への上場が廃止となる。

黒崎播磨は1918年に耐火煉瓦の製造販売を目的に黒崎窯業として設立。2000年にハリマセラミックとの合併を経て、現在の社名となった。1949年に東証に上場(2022年4月に東証プライム市場に移行)。日本製鉄は現在、黒崎播磨株の46.42%(間接所有分を合わせて46.47%)を所有し、同社を連結子会社としている。

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