
2月の日経平均株価は月間で2417円下げ、月末終値は3万7155円と5カ月ぶりの安値となった。米トランプ大統領が関税政策を一段と強化する姿勢を打ち出したことなどで株式市場が大きく揺さぶられた。
英IFP、資生堂株を5.2%取得
アクティビストによる新規取得銘柄として最も注目されたのが資生堂だ。2月19日、英国投資ファンドのインディペンデント・フランチャイズ・パートナーズ(IFP)が資生堂の株式を5.2%取得したとする大量保有報告書を関東財務局に提出した。
取得資金は580億円。保有目的は「純投資及び状況に応じて重要提案行為を行うこともあり得る」としている。
資生堂は中国事業の不振に加え、日用品事業の切り離しに象徴されるプレミアム路線を推し進めた結果、ボリュームゾーンの中低価格ブランドの弱体化を招くなど、苦境が続いている。昨年は約1500人の早期退職の募集も実施した。株価は現在、2700円台でコロナ禍前から3分の1以上下落している。
同社が2月10日に発表した2024年12月期決算は売上高1.8%増の9905億8600万円、営業利益73.1%減の75億7500万円、最終赤字108億円。最終損益は60億円の黒字を見込んでいたが、4年ぶりの赤字に転落した。
少なくとも2020年以降、IFPが大量保有報告書を提出した形跡は見当たらず、本格的な日本株投資は今回の資生堂が最初とみられる。買い増しを進めるのかを含め、IFPが大株主として今後どういった経営改善策を迫ることになるのか、要ウオッチだ。
京浜急行には旧村上系シティ
京浜急行電鉄の株式をめぐっては旧村上ファンド系の投資会社、シティインデックスイレブンス(東京都渋谷区)が5.11%を取得(共同保有分を含む)したことが分かった。取得資金は167億円。
シティは2月中、愛知製鋼の株式を買い増したとする報告書を2度提出し、保有比率を9.67%まで高めた。シティによる新規取得が判明した昨年9月、愛知製鋼の株価は3700円前後だったが、この2月末には株主還元策に期待が集まり、一時7950円の上場来高値をつけた。
1月にシティによる新規保有が判明した王子ホールディングス、古河機械金属の両銘柄については動きが見られなかった。
また、旧村上系の別の投資会社であるエスグラントコーポレーション(東京都渋谷区)はクレハの株式を1.05%買い増し、保有割合を15.46%とした。
オアシス、太陽HDを8%取得
化学メーカーの太陽ホールディングスの株式8%を新規取得したのは香港投資ファンドのオアシス・マネジメント。株主価値を守るため、重要提案行為を行うことがあるとしている。
オアシスはエレベーター大手のフジテックの株式を一気に9.47%買い増し、保有割合を29.37%に高めた。大半を市場外で取得した。フジテックでは2022年から23年にかけて、筆頭株主のオアシスと創業家出身の内山高一前会長の対立が激化し、内山氏が退任に追い込まれた。
英国投資ファンドのアセット・バリュー・インベスターズはわかもと製薬の株式6.14%を新規取得した。わかもと製薬は胃腸薬「強力わかもと」で知られる。
香港ファンドの動きが活発化
5%を超える新規取得の対象銘柄はこのほか、飲食店向け情報サービスのシンクロ・サービス、システム開発のNCD(旧日本コンピュータ・ダイナミクス)、ネット広告代理店のデジタルホールディングス。
米投資ファンドのカナメ・キャピタルは、創業家によるMBO(経営陣による買収)が2月初めに始まった中古車情報サイト大手のプロトコーポレーションの株式を1.01%買い増して保有割合を8.34%とした。カナメはこのMBOに強い懸念があるとして「公開質問状」を同社に送った。
◎2月:アクティビストによる主な保有状況(直近に提出の大量保有報告書に基づく。赤字は新規保有。※保有割合が低下)

文:M&A Online
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