
2025年4月1日にジェクシードから社名を変更したAIストーム<3719>は、新社名が示す通りAI(人工知能)ビジネスを核とした事業構造に変革する。
主力であるERP(経営資源を統合的に管理するシステム)コンサルティング事業で培った知見を活用してAIソリューションを提供するほか、既存事業にAIを導入した新しいビジネスモデルの構築や、M&Aなどを積極的に活用したAI関連の新ビジネス領域への参入を実現する。
こうした取り組みで、3年後の2027年12月期に売上高80億円(2024年12月期比5.62倍)、営業利益12億円(同9.16倍)を目指す。
実用性の高いAIを提供
総務省がまとめた2023年の情報通信白書のAI動向によると、日本のAIシステムの市場規模は、2022年に4000億円ほどだったのが、2027年には1兆1000億円ほどにまで拡大する見込み。
またAIストームが市場予測に用いている米国のコンサルティング会社であるマッキンゼーの調査によると、日本のAIシステム市場規模は2023年におよそ7000億円だったのが、2028年には2兆5000億円ほどに拡大し、世界の生成AI市場では2023年に670億ドルだったのが2032年には1兆3000億ドルほどに成長するという。
こうしたAIの成長に合わせて事業内容を大きく変えようというのが同社の取り組みで、製造、物流、流通、小売、金融、サービスなど向けにERP事業を展開してきた強みを活かして、顧客企業にとって使いやすい実用性の高いAIの提供や、高度な最新AI技術と既存システムとの橋渡しなどを行う。
すでに物流業界向けに画像認識AIを活用したトラック運行管理サービスを提供しており、こうした業務特化型のAI化ソリューションを提供する。
M&AでAI人材を確保
M&Aに関しては人材戦略の面での活用を見込んでおり、AI技術者の積極採用や、AIコンサルタントの社内教育などと並んで、M&Aを通じた人材確保を目指す。
また、IT人材教育ノウハウを活かし、AI人材を中心とするDX(デジタル技術で生活やビジネスを変革する取り組み)人材育成を事業化する計画を進めており、これらAI事業の展開に関しても、AI分野の専門家や関連企業との連携を深める計画だ。
同社が2008年以降に適時開示したM&Aは4件で、2008年にベンチャーキャピタルの夢真キャピタルの子会社化と、システム開発のシンフォニーマックスの子会社化を実施。
このあと2011年にジャパンシステムとアワーズから、ソフトウエア受託開発と派遣事業を取得し、2020年に教育事業のXYEEDを子会社化した実績がある。
資本業務提携も積極化
同社は1964年の設立で、1995年にシステムコンサルティング業務を始めたほか、2023年にEV(電気自動車)事業とデジタルサイネージ事業を開始。
さらに同年に台湾の液晶パネルメーカーと、日本でのディスプレイ販売事業で業務提携、2024年に台湾のLED(発光ダイオード)メーカーと、日本でのディスプレイ販売事業で業務提携した。
2024年12月期の売上高は14億2200万円(前年度は6億7100万円)と、大幅な増加となった。ITコンサルティング事業をはじめ、新規のデジタルサイネージ事業が順調に推移したため、前年度の2倍以上に伸びた。
同期の営業利益は1億3100万円(前年度は100万円)で、こちらも大幅に増加した。
2025年12月期についても既存事業領域に隣接した事業領域への事業拡大を進め、積極的に資本業務提携やM&Aを進めるとしており、2025年12月期の売上高は16億円(前年度比12.5%増)、営業利益1億7000万円(同29.7%増)と2期連続の増収増益を見込む。

文:M&A Online記者 松本亮一
【M&A Online 無料会員登録のご案内】
6000本超のM&A関連コラム読み放題!! M&Aデータベースが使い放題!!
登録無料、会員登録はここをクリック