不動産中堅の「アンビションDXHD」不動産DX加速に向け、生成AI事業者を傘下に

不動産中堅のアンビションDXホールディングス(HD)<3300>は2025年7月に、生成AI(人工知能)を活用した事業を展開するLiVrA(横浜市)を子会社化した。

不動産DX(デジタル・トランスフォーメーション=デジタル技術で生活やビジネスを変革する取り組み)事業を加速する取り組みの一環で、これによってAI技術開発力を飛躍的に高め「生成AI領域での競争優位性を確立する」としている。

リアルとデジタルが融合した事業基盤を構築

アンビションDXHDは東京都心部で、20代~30代の単身者を対象にした住居用不動産のサブリース(転賃貸)事業を中心に、開発や販売、仲介、保険など幅広く手がけており、これら事業を通じて得られた不動産のビッグデータを活用し、不動産RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション=ソフトウエアロボットによる業務の自動化)や、IoT(モノのインターネット)スマートホーム、自動接客システムなどの不動産DXを展開している。

生成AIの活用を経営の最重要戦略と位置づけており、テキストや画像、音声生成で、高いAI技術を持つLiVrAをグループ化したことで、革新的なサービスの創出をはじめ、顧客基盤の拡大(日本語圏外への展開)、開発期間短縮による早期の収益化、アナログデータの利活用などを進め、DX戦略を推進する。

同社は自らを「賃貸から売買、関連領域まで全ての不動産業務のDXを一気通貫で推進し、リアルとデジタルが融合した事業基盤を構築しているのが強み」分析としており、従来型の不動産会社と比較して、顧客体験の向上や社内業務が効率化されているとする。

こうした取り組みが奏功し、2025年6月期の売上高は523億7200万円(前年度比24.5%増)、営業利益は39億4600万円(同44.8%増)と大幅な増収営業増益となっており、2026年6月期も22.5%の増収、21.6%の営業増益を予想する。

M&Aによる非連続成長を

不動産業界は、大都市圏を中心とした不動産への堅調な需要が続いており、とくに東京都心部の収益不動産には国内外の投資マネーが流入し、取引件数が増加している。

また同社によると、東京都内の単身世帯数は増加傾向にあるという。

こうした状況を踏まえ、成長戦略の一つとして、M&Aによる非連続成長を目標に掲げており、不動産関連やDX関連企業を積極的に取得する計画だ。

LiVrAの子会社化はこの計画の一環で、今後も不動産DXにつながる候補企業の探索を続ける。

DXを盛り込んだ社名に変更

M&Aに関しては、これまでも前向きで、2010年にジョイント・ルームピア(現 アンビション・エージェンシー)を子会社化したのに続き、2015年に神奈川県で賃貸仲介店舗を運営するVALORを、2017年に投資用マンションの開発、販売を行うヴェリタス・インベストメントを傘下に収め、マンションの開発から販売、サブリース、賃貸仲介までを幅広く行える体制を整えた。

2023年に新電力、ガス、ウオーターサーバーなどを販売するDRAFTを、2024年には内装、原状回復工事を行うフレンドワークスと、不動産賃貸管理のDRSなど3社を相次いで子会社化した。

同社は2021年に、不動産DX事業に注力することを示すために、社名にDXを盛り込み、アンビションDXホールディングスに変更した。

M&Aがらみの生成AIを活用した不動産DXの推進はまだまだ続くとみて良さそうだ。

不動産中堅の「アンビションDXHD」不動産DX加速に向け、生成AI事業者を傘下に
アンビションDXホールディングスの沿革

文:M&A Online記者 松本亮一

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