リユースの「BuySell」ロールアップ戦略で3年後に売り上げを2倍以上に

着物やブランド品の出張訪問買い取りなどのリユース事業を手がけるBuySell Technologies＜7685＞が、M＆Aにアクセルを踏み込んでいる。

同社は連続的なM＆Aによるリユース市場でのロールアップ戦略（複数の中小企業を買収し、統合することで一つの大きな企業として成長を目指す手法）を推し進めることで、インオーガニックな成長（社内の経営資源に頼らないM＆Aなどによる成長）を目指しており、今後3年間で売上高を一気に2倍以上に引き上げる計画だ。

過去5年間に実施した5件のM＆Aによって、大きな成長が見込めるようになったため、さらなる事業拡大を目指して連続的なM＆Aを加速することにした。

リユース市場は、高齢化や環境意識の高まりなどから市場の拡大が予想されており、コメ兵ホールディングス＜2780＞やオークネット＜3964＞などの同業者もM＆Aに注力しているだけに、今後のM＆Aの進捗によっては、勢力図が大きく変化することもありそうだ。

既存領域の競争力強化が最優先

BuySellは、出張訪問買い取りのほか、店舗買い取りなどのリユース事業を展開しており、これら既存領域の競争力強化を最優先にM＆Aを実施する。

買い取りチャネルである出張訪問買い取りや、店舗買い取りの増強をはじめ、販売チャネルであるEC（電子商取引）販売や、オークション、催事などを強化するほか、着物やブランド品、時計、ジュエリー、骨董品などの取り扱い商材の拡充にもM＆Aを活用する。

さらに、リユース未着手領域への参入にもM＆Aを用いる。楽器や高級アパレル、絵画、ホビーなどの新たな商材の開発や、これらニッチで専門的な商材を扱うリユース企業をM＆Aの対象とするほか、海外販路や販売店舗、専門商材ECチャネルなども視野に入れる。

こうしたM＆Aに投じる金額については具体的な数字を明らかにしていないが、2019年の上場以来、この5年間に約200億円を投じ5社を子会社化した成果を踏まえ、2025年から2027年までの3年間は「さらなるスピード感で連続的M&A投資を実行する」としている。

買収先が業績に大きく寄与

その子会社化した5社のうち、2020年に傘下に収めたタイムレス（東京都港区）は、買い取り店舗「総合買取サロンタイムレス」や、ブランドバッグ・ジュエリー・時計などを取り扱うBtoBオークション「タイムレスオークション」を運営しており、買収時に54億円だった売上高は2024年12月期には147億円に拡大。

2022年に傘下に収めた買い取り店舗「Reuse Shop WAKABA」を展開するフォーナイン（東京都千代田区）も買収時に48億円だった売上高が2024年12月期に69億円に、さらに2024年4月に連結対象となった、むすび（横浜市）は2024年4月から12月までの9カ月の売上高が60億円となり、前年同期の44億円を大きく上回った。

2025年1月に連結対象となった、出張訪問買い取りサービス「買取 福ちゃん」を運営するREGATEや、骨董買い取り事業を運営する日晃堂などを傘下に持つレクストホールディングス（大阪市）の2024年12月期の売上高は179億円で、これが2025年12月期から加わることなる。

こうしたこれまでの買収企業の業績が寄与し、BuySellの2027年12月期は、売上高1400億円、営業利益110億円を見込む。これは2024年12月期の実績と比べ2.3倍の増収、2.3倍の営業増益となる。

これら数字には新規のM＆Aによる増収、増益効果は含めていないため、今後加速する連続的M＆Aが実現すれば、売り上げ、利益ともにさらに大な伸びとなる。

BuySell Technologiesの業績推移

リユース業界のロールアップが可能

BuySellが強みとしている出張訪問買い取りは、65歳以上人口の増加や、高齢化の進展に伴う不要品の処分ニーズの拡大などにより、市場の成長が見込まれている。

また店舗買い取りの市場規模は、約1兆3000億円とみられており、およそ1万9000店が買収対象になるという。中古の買取店舗では差別化要素が少ないため、連続的M＆Aの加速によってリユース業界のロールアップの実現が可能としている。

こうした状況を踏まえ、他のリユース企業もM＆Aを強化しており、コメ兵ホールディングスは2024年に、中古ブランド品買い取り、販売のECサイトを運営するRECLO（東京都品川区）、中古ブランド品の販売、買い取りのアールケイエンタープライズ（横浜市）、中古ブランド品買い取り、卸販売のRs-JAPAN（横浜市）の3社を傘下に収めた。

オークネットも2024年に、ブランド品買い取りサイト「ブランディア」を運営するデファクトスタンダード（東京都大田区）を子会社化している。

関連記事はこちら
・中古ブランド品売買の「コメ兵」企業買収を活発化　業界にも広がりが

文：M＆A Online記者 松本亮一

『ダイヤモンドMOOK M＆A年鑑2025』を100名様にプレゼント
発売にあたり、2025年2月28日までにご応募いただいた方を対象に抽選で100名様に『ダイヤモンドMOOK M＆A年鑑2025』をプレゼント。下記のバナーをクリックすると応募できます。SNSキャンペーンからも応募可能ですので、ぜひ皆様、ご参加ください！