急成長した菓子・パン資材販売の「cotta」その要因と今後の戦略は

製菓店や製パン店に乾燥剤や食材、道具などの資材を販売するcotta<3359>の売上高が1年で1.5倍に急拡大した。

2022年9月期から2024年9月期までの3年間は、売上高が80億円台で推移していたが、2025年9月期は一気に100億円の大台を超え136億円強に達した。

その要因は何なのか。

M&Aで一気に成長軌道へ

cottaは、本社所在地の大分県津久見市に大規模な石灰鉱山があったことから、1998年に石灰から作られる乾燥剤を製菓店に小ロットで通信販売する事業を手がけるタイセイを設立したのが始まり。

2006年に一般消費者からプロまでをターゲットにしたEC(電子商取引)サイトcottaをスタートし、2020年に社名を現在のcottaに変更した。

現在は乾燥剤のほか包装材や容器、装飾用品をはじめ、薄力粉やバター、チーズなどの食材、クッキー型やパン作りの型などの道具。さらに調理器具やまな板、食器といったキッチン雑貨などを幅広く手がける。

2022年9月期に約88億円だった売上高は、翌年の2023年9月期は約86億円、2024年9月期は約89億円と3年連続80億円台で推移した。

これが2025年9月期に一気に100億円を突破した。

この背景にはシステムエンジニアリングサービスなどのIT事業を展開するTERAZの子会社化(2024年10月)と、理美容室向けにシャンプーやカラー剤などの美容商材の通信販売を手がけるワークスの子会社化(2024年11月)がある。

ワークスは20万件を超える顧客基盤と200万点の在庫を保有する多品種の品ぞろえが強みで、cottaにとっては製菓・製パン向け商品以外の取り扱いは初めてとなる。

一方、TERAZが手がけるIT事業も、cottaにとっては新しい分野で、IT事業そのものの成長に加え、製菓・製パン向け販売事業や、美容関連用品事業などのEC(電子商取引)化やDX(デジタルトランスフォーメーション)化を加速する。

cottaは両社の子会社に伴い、セグメントを「菓子・パン資材、雑貨事業」、「人材ソリューション事業」、「美容関連用品事業」の3区分に変更した。

これまで手がけてきた菓子・パン資材、雑貨事業の売上高は89億3100万円で、前年比ほぼ横ばいだった。

これに対し、美容関連用品事業の売上高は34億100万円、人材ソリューション事業の売上高は11億6300万円となり、両事業で約45億円を上積みできたことから、1.5倍の急成長となった。

急成長した菓子・パン資材販売の「cotta」その要因と今後の戦略は
cottaのセグメント別 売上高構成比

2025年9月期の売上高は136億7500万円(前年度比52.8%増)、営業利益は7億7200万円(同61.6%増)で、2026年9月期は10.5%の増収、5.2%の営業増益と、2期連続の増収営業増益を見込む。

急成長した菓子・パン資材販売の「cotta」その要因と今後の戦略は
cottaの業績推移

BtoB軸にクロスセル狙う

M&Aで急成長した状況を踏まえ、cottaでは今後も持続的な企業成長と事業ポートフォリオの拡大を目的に、戦略的なM&Aを推進する計画だ。

M&Aの候補先としては、ワークスのようにBtoBの商材を提供している企業のほか、物流やマーケティング領域など、既存事業で培った経営ノウハウを活用できる企業を対象とする。

さらに、製菓・製パン、美容などの既存事業と、業務内容や顧客層が近く、領域間でのクロスセル(関連商品の併売)が期待できる企業も探索する。

財政面からは、のれん償却後も営業利益の貢献が見込まれることや、買収金額を5年以内に回収できることも判断基準に加える。

主力事業の底堅さが武器に

cottaは製菓・製パン事業者向け資材の小ロット、多品種対応を強みに、これまで事業を拡げてきた。

製菓・製パンの原材料市場は、2023年に前年度比5.4%増の1兆2200億円ほどに達し、2030年には2023年度比19.2%増の1兆4600億円ほどに拡大すると見る。

cottaの急成長は、主力の菓子・パン資材市場の底堅さを土台に、M&Aで成長の軸を広げた点にある。

今後は事業間の連携を深め、クロスセルやDXを通じて収益力をどこまで高められるかが、持続成長に向けたカギとなる。

文:M&A Online記者 松本亮一

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