中華食堂「日高屋」に近づくM&A その理由は?

中華食堂「日高屋」を展開するハイデイ日高<7611>にM&Aが近づいている。

同社は2023年4月に策定した3カ年の中期経営計画を2024年4月に見直し、新たな重点施策としてM&Aに関する項目を追加した。

さらに2025年4月に再度見直しを行い、これまで無かったM&A投資枠を設定するなど着々と準備を進めているのだ。

M&Aの対象はシナジーの見込める企業で「同業異業種を問わず戦略的に提携、協力する」としている。どんな企業が候補になるのだろうか。

180億円の一部をM&Aなどに

ハイデイ日高は2023年2月に創業50周年を迎えたのを機に、2023年4月に3カ年(2024年2月期~2026年2月期)の中期経営計画「Hiday 500」を策定。

この中で重点施策として①店舗戦略、②採用の強化・人財育成、③DX推進戦略、④事業拡大・新商品開発・販路戦略、⑤ブランディングの強化、⑥サステナビリティの取り組み推進の六つの目標を掲げた。

2024年4月にはこの六つの重点施策を継続したうえで、新たな重点施策として「海外マーケット進出、アライアンス・M&A」を追加。

今後の成⾧が見込まれるアジア地域に進出するとともに、共通の価値観のもとにシナジーを最大限に発揮し収益拡大、成⾧につながるM&Aに取り組むとした。

2024年4月時点ではM&Aなどに関する資金は計画に盛り込んでいなかったが、2025年4月の中期経営計画の見直しでは、配当性向40%を目標にするとともに、機動的な自己株式の取得を実施するための資金とM&Aや海外投資などで、今後5年間(2026年2月期~2030年2月期)に180億円を予定している。

2期連続で過去最高を更新

ハイデイ日高がM&Aに前向きなのは、出店などによるオーガニックな成⾧(社内の経営資源を活用した成長)に加えてアライアンスやM&Aによる非連続な成長を遂げ、企業価値を高めるためだ。

同社はコロナ禍の影響で2021年2月期、2022年2月期に2期連増の減収、営業赤字に陥っていたが、その後回復し2025年2月期は売上高556億2900万円(前年度比14.1%増)となり、2期連続で過去最高を更新した。

さらに営業利益は食材価格や人件費などが上昇したものの、生産性向上に取り組み、営業利益は55億1400万円(同18.9%)と大幅に伸び、営業利益率は9.9%(前年度は9.5%)にまで高まった。

いずれも当初予想(売上高520億円、営業利益52億円)を大幅に上回っており、このタイミングで、戦略的な提携や協力によって新しい価値を創造し、2028年2月期に売上高675億円(2025年2月期比21.3%増)、営業利益67億5000万円(同22.4%増)、営業利益率10.0%を目指すことにしたのだ。

その日は近い?

M&A OnlineがM&Aデータベースで外食・フードサービス業界の適時開示M&A件数を調べたところ、外食・フードサービス企業が買い手となったM&Aの件数は、コロナ禍の影響で2020年から2023年までの4年間は年間15件前後で推移していたが、2024年は一気に26件に増加し、コロナ禍前の2019年(24件)を2件上回った。

26件中、同業の外食・フードサービス企業を買収したのは22件で、外食の新業態の獲得にM&Aを活用している姿が浮き彫りになった。

2025年もこの傾向は続いており、2025年1月から3月末までの3カ月間に外食・フードサービス企業が買い手となったM&Aは9件(うち同業者が対象となったM&Aは7件)に達しており、年間36件ペースで推移している。

ハイデイ日高は、これまでに適時開示したM&Aはなく、同社の有価証券報告書の沿革でも企業買収の実績はない。

中期経営計画に沿ってM&Aが実現すれば、同社初となる。外食・フードサービス業界の動向からも、その日が近いことがうかがえる。

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外食・フードサービス業界の適時開示M&A件数の推移

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文:M&A Online記者 松本亮一

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