高級レストランの「ひらまつ」外食・フードテック企業のM&A実施へ 2025年度から準備開始

高級レストランを中心にホテルや婚礼事業などを展開するひらまつ<2764>がM&Aの準備に入り、2028年から本格展開する方針を公表した。

2025年1月14日に適時開示した2025年4月から2031年3月までの6年間を対象とする中期経営計画「中期経営計画2030」の中で明らかにした。

2025年4月から2028年3月までの3年間を準備期間とし、その後の2031年3月までの3年間にM&Aを実施する計画だ。

同社はコロナ禍で苦戦を強いられたが、ホテル資産の売却によって借入金の返済を進め、金融機関との取引の正常化による成長投資が可能な状況になったことから、積極策に転じることにした。

30億円規模のM&Aを推進

ひらまつはM&Aの対象として外食やフードテック企業を中心に据えており、30億円規模のM&Aを進める計画だ。既存事業とのシナジー、ブランド毀損のリスクを考慮して既存ブランドとのバランスを図るほか、何年で投資を回収できるかを推測するEV/EBITDA倍率やのれん償却をポイントにするという。これまでに適時開示したM&Aの案件はなく、実現すれば初の案件となる。

「中期経営計画2030」では、2031年3月期に133億3100万円の売上高を目標に掲げており、既存事業によるオーガニック(自社の経営資源を活用した成長)な成長で、2025年3月期比27.6%の増収を目指すとしている。この数字にはM&Aによる売り上げは含まれていない。

ホテルの売却資金で借入金を返済

ひらまつは2024年7月に「THE HIRAMATSU HOTELS &RESORTS 宜野座(沖縄県宜野座村)」や「THE HIRAMATSU HOTELS &RESORTS 熱海(静岡県熱海市)」など国内6カ所のホテルを、国内ファンドのロードスターキャピタル<3482>に売却するとともに、同6ホテルの運営を受託した。

同社はコロナ禍の中、2020年3月期に営業赤字を陥り、4期連続の赤字に沈んでいたため、借入金の返済を一時停止していたが、ホテル資産の売却で得られた資金で借入金を返済することで、金融機関との取引を正常化した。

2024年3月期は営業損益が黒字に転換しており、売上高も2023年3月期過去最高を更新し、2024年3月期は2期連続で過去最高を更新した。

2025年3月期はホテル売却の影響もあり、売上高104億4100万円と24.7%減少するものの、営業利益は2億8000万円と5.2%の増加を見込む。

高級レストランの「ひらまつ」外食・フードテック企業のM&A実施へ 2025年度から準備開始
ひらまつの業績推移
2025/3は予想

海外展開にも注力

「中期経営計画2030」では、M&Aと並行して海外展開に乗り出す計画で、 2028年4月以降に台湾、香港、タイなどをはじめとする東アジアを中心にレストランを出店する。直営店のほか現地の企業や有力者と共同で運営することも検討する。

海外事業の売上高についてもM&A同様、数値は明らかにしていないが、グラフからの推定では20231年3月期に50億円ほどを見込んでいるものとみられる。

また、2026年4月以降に、東京都内に社員教育やラボ機能を持つ施設や旗艦店を出店するほか、製造工程を見直して、従来と同様の価値を提供しつつ収益を上げる新業態の開発などにも取り組む。

同社にとって今後6年間はM&Aをはじめ大きな変化の時期になりそうだ。

文:M&A Online記者 松本亮一

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