
たこ焼チェーン「築地銀だこ」を展開するホットランド<3196>がM&Aを加速させている。
同社は2025年1月20日に、とんかつ店などを展開するよし平(和歌山県田辺市)を子会社化する。
2024年7月に3年ぶりのM&Aとなった、焼き肉店運営のショウエイ(名古屋市)の子会社化に次ぐもので、この間はわずか半年ほどだ。
飲食業界は原材料や人件費、エネルギー価格の上昇などによる経営環境の悪化から倒産件数が増加している一方、コロナ禍の影響が薄まり、業績が回復傾向にある企業も多く、大手による外食企業の買収が増える傾向にある。
こうした地合の中、築地銀だこは今後さらに触手を拡げることになるだろうか。
急成長の主食事業のノウハウを活用
ホットランドは、傘下のホットランドネクステージ(東京都中央区)を通じて、和歌山県内に「厚切り とんかつ よし平」6店舗と、「天ぷら海鮮 よし平」1店舗を運営するよし平の全株式を取得する。
よし平の2024年2月期は、売上高7億1700万円(前年度比3.8%減)、営業利益5800万円(同2.2倍)の減収営業増益だった。
ホットランドネクステージは、てんぷら店の「日本橋からり」や、定食店の「野郎めし」 などの主食業態事業を展開しており、サウナや宿泊施設、飲食店などを備えた滞在型アウトドアレジャー施設の運営なども手がけている。
ホットランドネクステージが手がける主食業態事業は急速に成長しており、蓄積したノウハウや経営資源を活かして「よし平」を支援し、事業を拡大するとしている。
好業績がM&Aを後押し
M&A Onlineが適時開示情報を基に、外食・フードサービス業界を対象にしたM&Aの状況を調べたところ、このところ新ブランドや新業態の開拓をはじめインバウンド(訪日観光客)需要の取り込みや、海外事業の拡大などを狙いにしたM&Aが増加している。
ホットランドは2018年に、お好み焼き店「ごっつい」を経営するアイテムを子会社化したあと、2020年に飲食店舗設計・デザインのファンインターナショナルを子会社化、2021年にもつやき専門店「日本再生酒場」「もつやき処い志井」などの事業を取得するなど、M&Aで業容を拡大してきたが、コロナ禍の影響の大きかった2022年、2023年はM&Aが影を潜めていた。

ホットランドはM&Aに関して、ホットランドグループの事業構成を補完できる、5~20店舗を展開する外食企業を対象にしており、買収後は同グループの資金力や出店開発力を活かして、50~100店舗の展開を目指すとの方針を掲げている。
同社の2024年12月期は売上高450億円(前年度比16.2%増)、営業利益28億円(同25.3%増)の増収営業増益の見込み。
2023年12月期の20.4%の増収、28.2%の営業増益に続き、売り上げ、利益とも2期連続の2ケタの伸びとなる。
こうした好業績は事業拡大につながるM&Aの後押しになりそうだ。
文:M&A Online記者 松本亮一
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