
免税店運営のラオックスホールディングス<8202>が、インバウンド(訪日観光客)需要に依存していた事業構造を改め、持続的な成長が見込める体制の構築を進めている。
既存事業の収益性を高めるとともに、M&Aによって新たな事業や企業を取り込むことで実現を目指すとしており、これによって「衣、食、住、遊で質の高いサービスを追求する」という。
ライフスタイルカンパニーに
ラオックスは1930年に電気器具の行商から始まり、その後家電全般を扱う家電量販店に発展した。
2009年に総合免税店をオープンし、中国人観光客の需要を取り込み成長。2011年には中国での出店拡大を目指して中国の大手家電量販店の蘇寧電器集団の傘下に入った。
ところが消費マインドの低下やコロナ禍に伴うインバウンド需要の減少などで、2018年12月期から2021年12月期まで4期連続の営業赤字に陥った。
この間、希望退職の実施や、店舗の閉店のほか、レディース靴やバッグ、皮革製品の企画、販売を手がけるモード・エ・ジャコモなど子会社3社を売却するなどの対策を講じた。
その後インバウンド需要が回復したのに合わせ業績も回復し、2022年12月期に営業黒字に転換。2024年12月期まで黒字が継続している。
これまではインバウンド需要の取り込みに集中してきたことが同社の強みとなっていたが、コロナ禍の中ではこれが業績の足を引っ張る要因となった。
このため今後は「総花化した事業をライフスタイルカンパニーとして再度捉え直す」とし、免税店運営の「リテーリング事業」、物流事業を手がける「ロジスティック事業」、子会社のシャディが手がける「ギフト事業」、やはり子会社のバーニーズジャパンが手がける「アパレル事業」の4分野を中心に業容を拡大し、持続的な成長の実現に取り組むことにした。
リセール(中古品再販)事業を立ち上げ
リテーリング事業では、総合店型の品ぞろえから、より売り上げの獲得が見込める時計やジュエリー、贈答品、美容健康などの商品の品ぞろえを強化し、ロジスティック事業では、倉庫やトラックなどの基本的なインフラに投資し事業を拡大するほか、海外引越や店舗什器運送などで設置作業なども含めたサービスを強化する。
ギフト事業では高収益なスイーツを中心に日常使い商品をそろえ、アッパーミドル層(上位の中流階級)などの顧客を開拓し、アパレル事業では、アライアンス(提携)を通じたリセール(中古品再販)事業の早期立ち上げに取り組む。
一方、同社ではこうした既存事業の拡充と合わせて、M&Aによって事業の収益性を高めていく計画で、M&Aについては「積極的に検討する」としている。
これまでの取り組みを見ると、2018年にニッセンホールディングス傘下でギフト用品卸大手のシャディを、投資事業を手がけるL Capital TOKYOを介して子会社化。
さらに2023年にはセブン&アイ・ホールディングス傘下の高級衣料品や雑貨の「バーニーズニューヨーク」を運営するバーニーズジャパンを取得した実績がある。
両社はともに事業の一つの柱となっており、インバウンド一極集中からの脱却に一役買っていることが分かる。

M&AでROEを引き上げ
今後のM&Aの対象については、シャディやバーニーズジャパンのような将来の事業の柱となる企業はもちろん、他社との提携を模索しているアパレルのリセール事業や、海外引越などにかかわる新しいサービスを強化するロジスティック事業をはじめ、時計やジュエリー、スイーツなどの新しい商品に関する分野などが候補になりそうだ。
2027年12月期は、既存事業で売上高710億円(2024年12月比15.4%増)、営業利益16億円(同11.2倍)を予想する。これにM&A分が上積みされる見込みだが、具体的な数値目標は開示していない。
ただ、ROE(自己資本利益率=純利益を株主資本で割って100をかけた数)については目標数値を明示しており、既存事業だけの場合には6.1%に留まるのを、M&Aによって8.0%超に高めるとしている。
ラオックスでは「国境、言語、既成の価値観にとらわれず、世界中の人を笑顔にする価値あるものを見つけ出し発信する」としている。
ROEを高めるのに不可欠となる純利益の増加に貢献できる、価値あるもの見つけ出すのに、M&Aが一役買う場面があるかもしれない。

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