
北海道を中心に注文住宅や不動産事業を手がけるロゴスホールディングス(HD)<205A>は、M&Aによって地方工務店を組織化する。
子会社のROOTLINK(札幌市)が行う工務店支援コンサル(営業支援ソフトの導入、運用支援、CADサービスの提供など)などを通じて、全国の住宅会社とアライアンスを推進し、M&A候補を探索する。
M&Aによって地方工務店を組織化することで「地域ナンバーワン工務店の集合体」を目指す。
自社開発工法やDX化が強みに
ロゴスHDは、総売上高の80%弱を占める注文住宅事業を中心に、北海道、東北、北関東、東海エリアで住宅販売事業を展開する。
住宅大手は性能や価格が全国一律の基準で決められることが多く「地方では性能と価格の両面で満足できる家を提供することが難しい」と分析する。
一方、地方の工務店は、地域に根差した家づくりのノウハウと顧客基盤を持っているものの、高齢化や後継者問題をはじめ、デジタル化や断熱対応などの課題を抱えているところが少なくない。
このため地方の工務店をグループ化し、経営を支援することで成長を目指すことにした。
同社は自社開発したMCB工法を保有しているほか、DX(デジタル・トランスフォーメーション=デジタル技術で生活やビジネスを変革する取り組み)によるコストダウンと生産性の向上を実現している。
MCB工法は、住宅の壁や床を箱型のモジュールに組み上げ、トラックで運び、基礎の上にクレーンで設置する工法で、工期を半分ほどに短縮でき、人手不足の解消にもつながるなどの特徴を持つ。
また、主要顧客である20~30歳代の若い層に適したデジタルマーケティングなどを活用した集客手法や、オンラインによる打ち合わせや点検などを取り入れており、これら強みを活用することで、地方工務店の集合体を構築する。
すでに2024年12月に、新潟県で注文住宅設計、施工事業を展開する坂井建設(新潟県長岡市)を子会社化しており、さらにM&Aを推進するほか、拠点の拡充などを進め、2030年5月期に引渡棟数を現在の1124棟(2025年5月期)から、5000棟への拡大を目指す。
M&Aコストの発生などで大幅減益に
ロゴスHDは1989年設立の豊栄建設、2003年設立のロゴスホームに加え、2022年に子会社化した栃木県の注文住宅会社のGALLERY HOUSEと、2024年にグループに加わった坂井建設の4社を中心に事業を展開している。
注文住宅のほかに総売上高の12%ほどの宅地販売、同9%ほどの分譲住宅で事業を展開しており、2025年5月期は売上高362億6900万円(前年度比14.4%増)、営業利益4億8700万円(同65.0%減)と2ケタ増収ながら、大幅な営業減益となった。
M&Aや拠点の拡充などによって増収を確保したものの、М&Aに伴う取得コストや、拠点拡充に伴う人件費や広告宣伝費が増加したことから減益を余儀なくされた。
2026年5月期は29.1%の増収、3.08倍の営業増益を見込む。

次の地方工務店のグループ化の時期は
住宅業界は、新設住宅着工戸数(持ち家)が年間20万戸強で安定的に推移しているものの、将来的には少子高齢化により市場の縮小が見込まれる。
近年は建築資材や人件費の上昇による住宅価格の上昇傾向が続き、加えて住宅ローン金利も上昇傾向にあるため、同社では「住宅取得に対する消費者マインドには慎重さがうかがえる」としている。
こうした状況の中、M&Aを積極的に進めていく計画で、坂井建設に次ぐ地方工務店のグループ化の実現はいつになるだろうか。
文:M&A Online記者 松本亮一
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