![【建設業界のM&A】件数は2年ぶりに減少も、取引総額は2年ぶりに増加](http://imgc.eximg.jp/i=https%253A%252F%252Fs.eximg.jp%252Fexnews%252Ffeed%252Fmaonline%252F0b%252Fmaonline_mq_trends_in_construction_industry20240419%252Fmaonline_mq_trends_in_construction_industry20240419_1.jpg,zoom=600,quality=70,type=webp)
2023年度(2023年4月~2024年3月)の建設業を対象にしたM&A(適時開示ベース)は、件数が前年比13.2%減の33件(前年度は38件)で2年連続の減少となった。一方、取引総額は同16.5倍の655億9900万円と、2年ぶりの増加となった。
低調だった前年度の反動で取引総額は急増
国内M&A市場全体が成長する中、件数は過去5年間で2019年度の29件に次ぐ低い水準だった。取引総額は2450億600万円だった2021年度、1620億7600万円だった2019年度に比べるとはるかに低いが、前年度が39億8000万円と極めて低調だった反動で大幅増となっている。
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2022年度は取引総額を公開したM&A案件が7件だったのに対し、2023年度は13件と2倍近かった。それに加えて10億円を超える案件が2022年度はたった1件だったが、2023年度は8件あったことで、取引総額を押し上げている。
金額トップは唯一のTOB
金額トップは、大成建設がピーエス三菱に対して子会社化を目的に実施したTOB(株式公開買い付け)で、買付代金は最大で240億2800万円と公表。過半数をわずかに超える株式50.2%の取得を目指した。
2位は大林組が米国現地法人を通じて、水処理関連施設を主力とする大手建設会社の米国MWH US Acquisitions, Inc.(MWH、コロラド州)の株式90%を取得し、子会社化した案件。取引金額は約194億円。
3位は高島が地盤改良工事の岩水開発(岡山市)の全株式を取得し、完全子会社化した案件。取引金額は51億8000万円。地盤改良工事で培った施工機能を取り込み、高島が手がける壁材、基礎杭工法をはじめとする建材事業との相乗効果を見込む。
帝国データバンクによると、建設業界では2023年1-12月に倒産が前年比38.8%増の1671件に急増した。資材高が主な要因。悪化する経営環境に対応するためには規模拡大が急務で、2024年度は中小・中堅を中心に「売り手」側からのM&Aの動きが活発化しそうだ。大手も人手不足から「人を買うM&A」に積極的で、M&Aの件数、取引総額ともに増加するとみられる。
文:M&A Online
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