サンリオ「ハローキティ」や「ポムポムプリン」に次ぐ新キャラの獲得に本腰

ハローキティやポムポムプリンなどの人気キャラクターを抱えるサンリオ<8136>は、これらIP(知的財産)に次ぐ、新たなIPの獲得や、IPを活用できるゲームの開発能力の獲得にM&Aを活用する。

サンリオが2010年以降に適時開示したM&Aは、キャラクターラインセンス事業を手がける英国のMister Menを子会社化した1件(2011年)だけで、これまでM&Aとは縁遠かった。

ところが、2025年5月13日に公表した中期経営計画のアップデート版では、買収の方針や対象、金額などを新たに設定しており、今後M&A実施に本腰を入れる姿勢がうかがわれる。

IPの属性の幅がもっと必要と認識

サンリオは、ハローキティやポムポムプリンをはじめ、シナモロールやマイメロディ、クロミなど人気のキャラクターを多数保有しており、アニメやゲーム、テーマパークなどでこれらIPを展開しているのが強みだ。

一方で、過去に営業利益が大きく減少する不安定な状況に陥った経験があり、長期に渡る安定した成長を実現するための課題として「欧米での話題性が低い」「成長がストックしていかない」「IPの属性の幅がもっと必要」との認識を持つ。

このうち「IPの属性の幅がもっと必要」との課題に対しては、解決策の一つとしてM&Aを活用する計画で、自社で活用できる新しいIPを外部から調達することや、スポーツIPなどの属性拡大を視野にM&Aを検討するほか、IPを活用できる魅力的なゲーム開発能力を持つ企業への出資や、そうした国内外の企業の買収も検討する。

M&Aのターゲットは買収後でも高い収益性、資本効率を維持できる案件を優先的に検討するほか、M&A実施時の、のれん(買収先企業が持つブランド力などの目に見えない価値)の金額については上限の目安を設けるなどの方針を、中期経営計画のアップデート版に明記した。

また同社は2025年3期から2027年3期までの3年間にオーガニック(内部の経営資源)投資に300億円程度を充てる計画を進めており、アップデート版ではこの投資計画に、M&Aやマイノリティ出資(経営権を握らない出資)に500億円以上を投じる計画を追加した。

営業利益は3期連続の最高益更新へ

サンリオは2015年3月期に営業利益が減少に転じ、その後2020年3月期まで5期連続で営業減益が続き、2021年3月期にはコロナ禍の影響で、営業赤字に陥った。

2022年3月期に黒字に回復した後は好調に推移しており、直近の2025年3月期はハローキティ50周年関連の施策などで、売上高は1449億400万円(前年同比44.9%増)、営業利益は518億600万円(同92.2%増)と大幅な増収営業増益となった。

2026年3月期についてもマイメロディ50周年と、クロミ20周年の施策が好調推移すると見ており、売上高1622億円(同11.9%増)、営業利益600億円(同15.8%増)と2ケタの増収営業増益を予想する。

米国のトランプ政権の関税政策の影響は限定的と予想しており、計画が実現すれば4期連続の増収営業増益となり、営業利益は3期連続の最高益を更新する。

こうした状況を踏まえ2027年3月期の業績目標については、当初1350億円としていた売上高を1750億円に、400億円以上としていた営業利益を650億円以上に引き上げた。

今後もこうした安定した業績を継続するためにM&Aによる新IPの獲得をはじめとする施策を展開することにしており、思惑通りに進めば今後2年以内に新しいキャラクターがハローキティやポムポムプリンの仲間に加わることになる。

サンリオ「ハローキティ」や「ポムポムプリン」に次ぐ新キャラの獲得に本腰
サンリオの業績推移
下段は決算期で右端の27/3は2027年3月期、26/3は予想、27/3は計画

文:M&A Online記者 松本亮一

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