
M&A Onlineが大量保有データベースで2025年5月の大量保有報告書などの提出状況を調べたところ、工作機械大手の牧野フライス製作所の株式を、米国の大手金融機関であるゴールドマン・サックスが5.3%新規保有したことが分かった。
牧野フライス、MBKパートナーズによる買収で交渉中
ゴールドマン・サックスによる牧野フライス株の保有に関する報告義務発生日は2025年5月15日で、ゴールドマン・サックスは保有目的を「有価証券関連業務の一部としてのトレーディング・有価証券の借入等」としている。
牧野フライスについては、大手モーターメーカーのニデックが2025年4月4日から買収を目的に実施中だったTOB(株式公開買い付け)を同年5月8日に撤回した。
ニデックは牧野フライスが導入した買収防衛策の差し止めを求める仮処分を東京地裁に申請していたが、却下されたため買収を断念した。
その後、牧野フライスは5月27日に、アジア系投資ファンドのMBKパートナーズからの法的拘束力を有する買収提案を受けたと発表している。
ニデックが牧野フライスへのTOBを発表した2024年12月27日以降の牧野フライス株については、野村証券が2025年2月に5.17%を新規保有したあと、同年5月に1.72%を売却したほか、三井住友トラスト・アセットマネジメントが同年1月に1.02%を、2月に1.58%を、3月に1.97%を売却している。
イオンがツルハ株を7.13%買い増し
このほか5月は、前田建設工業、前田道路、前田製作所の3社が2021年に経営統合し誕生した建設業のインフロニア・ホールディングスが、子会社化を計画している同業の三井住友建設の株式の5.02%を、野村証券が新規保有した。
三井住友建設は国内の大型建築工事での損失計上により、財務体質の改善と早期の業績回復が急務となっている。インフロニアは三井住友建設が持つエンジニアリング力(設計、計画から施工管理までを効率的で安全に進める能力)を活用して、インフロニアが目指している脱請負実現のために、2025年7月上旬に三井住友建設へのTOB(株式公開買い付け)を始めることにしている。
また、スーパーのイオンはドラッグストア業界2位のツルハホールディングスの株式の7.13%買い増し、保有割合を26.65%に高めた。
イオンは傘下のドラッグストア最大手のウエルシアホールディングスとツルハの経営統合を目指しており、2025年5月26日に開催されたツルハの株主総会ではウエルシアとの経営統合の議案が可決されている。
ツルハ株については野村証券が7.31%売却し、保有割合を3.4%としたほか、オービス・インベストメント・マネジメント・リミテッドが1.11%を買い増し、保有割合を10.29%に高めた。
SMBC日興証券がクスリのアオキホールディングス株を新規保有
ドラッグストア業界では、このほかにもクスリのアオキホールディングス株をSMBC日興証券が新規に5.04%を保有したほか、コスモス薬品株をベイリー・ギフォード・アンド・カンパニーが1.29%買い増し保有割合を7.71%とし、JPモルガン・アセット・マネジメントが0.43%を売却し保有割合を5.51%とした。
さらにサツドラホールディングス株を三原色が1.02%買い増し保有割合を15.55%に、スギホールディングス株をオービス・インベストメント・マネジメント・リミテッドが1.01%売却し保有割合を4.66%とするなどの動きがあった。
2025年5月の大量保有報告などの提出件数は979件で、このうち保有割合を増やしたのは275件、新規保有は136件、保有割合を減らしたのは503件、契約の変更などは65件だった。
文:M&A Online記者 松本亮一
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