
衣料品をはじめ、服飾雑貨や電化製品、ホビー用品など幅広いリユース事業を展開するトレジャー・ファクトリー<3093>は、専門性の補完や地域の補完などのシナジーが見込めるリユース企業を対象にM&Aを実施する。
店舗数の増加や取り扱いアイテムの拡大などの取り組みと並行してM&Aを実施することで、高い成長を目指す。
同社は2027年2月期に2024年2月期比45.9%の増収と、同37.7%の経常増益を見込むが、この目標にはM&Aの影響は含めていないため、M&Aが実現すれば、上振れすることが予想される。
リユース業界は、物価高による節約志向の高まりや、持続可能な消費行動への意識変化などを背景に市場が拡大しており、これに伴ってリユース企業は各社ともM&Aなどの成長戦略を積極的に展開している。今後はM&Aの対象企業を巡る獲得競争が広まりそうだ。
スポーツ、アウトドア、楽器などがターゲットに
トレジャー・ファクトリーは、1995年に横浜市で創業。2010年にブランドバッグ・ファッションレンタル事業を、2014年にはブランド古着専門事業を譲り受けた。
さらに2016年に、ブランド古着の買い取り販売のカインドオルを子会社化し、翌2018年にゴルフ用品の買い取り販売のゴルフキッズ(現GKファクトリー)を、2020年にリユースショップや質店などのピックアップジャパンを子会社化し、業容を拡大してきた。
現在はリユース業界で大手の一角を占めており、2024年2月期のリユース事業の売上高構成比は衣料48%、服飾雑貨21%、電化製品10%、ホビー用品7%、生活雑貨5%、家具3%ほどとなっている。
今後見込めるM&Aでは、同社で取り扱いの少ないアイテムや、これまでに取り扱いがないアイテムなどに関わる企業が対象になりそう。
同社では、スポーツ、アウトドア、楽器などの取り扱いアイテムの拡大に取り組んでおり、こうした分野の企業が有力候補となる。
さらにラグジュアリー品(高級品)をはじめとする高単価品の拡充や、EC(電子商取引)の強化などにも前向きなため、この目標達成に貢献できる企業なども対象となりそうだ。
また同社の店舗は、ホームパージによると関東(160店)、近畿(29店)、中部(20店)に集中しており、東北(4店)や九州(4店)、中国・四国(1店)には事業拡大の余地があるため、こうした地域でのM&Aの可能性もある。

リユース業界で活発化するM&A
トレジャー・ファクトリーの業績は、コロナ禍の影響で減収減益に陥った2021年2月期以降は増収増益に転じており、2022年2月期から2024年2月期までの3年間は、毎年前年度比20%以上の増収となり、この間に経常利益は20倍近くに拡大している。
この増収増益基調は今後も続くと見ており、2027年2月期は売上高503億円(2024年2月期比45.9%増)、経常利益46億7000万円(同37.7%増)を見込む。
M&Aに関しては、「今後も積極的に実行する」としているが、不確定要素が多いため、M&Aによる収益や費用などの影響については、この2027年2月期の目標には含めておらず、M&A資金についても計画に盛り込んでいない。
リユース業界では市場の拡大を背景に、大手のコメ兵ホールディングス<2780>がM&Aを積極化させているほか、BuySell Technologies<7685>もインオーガニックな成長(社内の経営資源に頼らないM&Aなどによる成長)を目指している。
さらに、バリュエンスホールディングス<9270>は買い取り店舗以外のリユース品の仕入れネットワークの強化の手法としてM&Aを活用するほか、オークネット<3964>も今後3年間で2件のM&Aを計画するなど、各社ともM&Aを活発化させている。
シナジーが見込めるリユース企業のM&Aを模索するトレジャー・ファクトリーだが、M&A競争が広がる中、果たして思惑通りの企業を獲得することはできるだろうか。

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文:M&A Online記者 松本亮一
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