
VOISING所属の2.5次元歌い手グループ「クロノヴァ」が、夏のワンマンライブ『Chrono▷
Reverse Summer One Man Live 2025「VOLT-EX」』をZepp DiverCity(TOKYO)にて2025年8月16日(土)に開催。ライブレポートが到着しました。

クロノヴァ史上最大規模で行われた本公演は、圧倒的な熱量と完成度の高いパフォーマンスで会場のファンを魅了し、大盛況のうちに幕を閉じました。
1stワンマンとなったKT Zepp Yokohama公演(2024年12月)に続く今回のライブでは、彼らが掲げる「さいたまスーパーアリーナ公演」への第一歩を、さらに大きく踏み出す一夜となりました。ステージ上で魅せる“対立と結束”のドラマを強みにするクロノヴァ。本公演でもその独自性を余すことなく体現し、観客の心を強く惹きつけました。本公演第2部の模様について、ライター・ヒガキユウカ氏によるライブレポートをお届けします。
『Chrono▷Reverse Summer One Man Live 2025「VOLT-EX」』ライブ写真















『Chrono▷Reverse Summer One Man Live 2025「VOLT-EX」』ライブレポート(2部)
2024年3月にデビュー、それから1年経たずKT Zepp Yokohamaで1stワンマンライブを開催し、目標に掲げるさいたまスーパーアリーナへの一歩を踏み出したクロノヴァの6人。群雄割拠の歌い手グループ界隈において、彼らは既存のグループにはない個性を持っている。特筆すべきは、メンバーが「白組」「黒組」に分かれていることだ。
それぞれをかなめ、ARKHE(アルケー)というWリーダーが率いており、ときに対立し、ときに6人で結束(る、そんなドラマを生み出せる点がクロノヴァならではの強みだ。今回Zepp DiverCity (TOKYO) で開催された2ndライブも、クロノヴァの「対立」と「結束」が伝わってくる内容だった。
大まかなセトリ構成は、全体曲から始まってソロ曲、白・黒組の曲、そしてまた全体曲に戻ってくるという流れ。さらに全体曲でのダンスフォーメーションでは各組が前後列や上手・下手に分かれたり、再度入り混じったりして、視覚面でも表現に厚みをもたらしていた。本稿ではそんな2ndライブのうち、第2部の模様をレポートする。
会場に入ると、待ちきれないクロノメイト(クロノヴァファンの総称)たちのペンライトがすでに6色に光っている。ステージには紗幕が設置されていて、「これを使ってどんな演出が行われるのか」と期待に胸がふくらんだ。
定刻を迎えると、紗幕にオープニングムービーが映し出される。何やらゲージの数値がたまっていき、100%を迎えた瞬間、紗幕の向こうにかなめ、甘夢れむ、しゃるろ、ARKHE、しの、うるみやのシルエットが見え歓声が上がった。メンバー紹介パートではムービーの画面半分が透明化し、紗幕越しに本人も見えるというユニークな演出。メンバーは各々、客席に手を振ったり、衣装のジャケットを脱いでみせるなど、思い思いのアピールで挨拶した。
ライブの先陣を切ったのは、リード曲「VOLT-EX」。複雑なフォーメーション変化を盛り込んだダンスを息ぴったりにこなしつつも、ふとした瞬間の仕草や、歌い方の癖には良い意味で粗削りな部分が残っている。筆者が彼らのリアルライブに参加するのは今回が初めてだったが、このタイミングで観られてよかったと早くも痛感した。
センターでラップをバッチリキメるれむ。胸に手を当てて一語一語を丁寧に歌うしの。総じてステージングスキルが高く、特に緩急あるダンス表現が光るARKHE。
「この曲はステージの上の俺たちだけのためじゃなく、過去を呪うお前たち全員がその過去を断ち切るための曲だ」(かなめ)の曲振りで始まったのは、和の雰囲気と重低音が合わさった「残夢散」。目まぐるしく変化する歌割りの中、サビで6人の歌声がひとつになった瞬間の力強さがたまらない。「LONGONIA」では、冒頭の笛の音が鳴った瞬間にもう歓声が上がった。こちらは中華なアクセントを散りばめた楽曲で、6人のダンスにはカンフー風のポーズも見られた。
全体曲をたたみかけオープニングを華々しくぶち上げた後は、ソロパートへ。トップバッター・しゃるろは足でリズムを取りながら、「shine」のさわやかな鍵盤の音に乗って、優しい歌い出し。間奏で片手の側転を披露したり、<この手を取って>では恭しくひざをついて手を差し出したりと、アウトロの最後の一音の瞬間まで観客を惹きつけ続けた。続いて、魔法陣のような映像演出で召喚された黒組リーダー・ARKHE。
椅子を使ったパフォーマンスが印象的だったのは、白組リーダーのかなめ。「fake idea」の切ないボーカルの合間、<君の心だよ>を<お前の心だよ>とアレンジして観客の心を掴みつつ、ラスサビは椅子に腰かけて歌い上げた。続いて登場したしのはまず、「半年前と比べてこの曲に対しての向き合い方は変わったけど、変わらない思いもあるということを、伝えたいと思います」と話した。スタンドマイクを両手で握って「Core」を歌う様子は何かを祈るようにも見え、落ちサビの<それでも君を愛してるよ>というセリフアレンジや、歌い終わりに音程を上げるアレンジが印象的だった。
「宵闇のMagic」を持ってきたれむは糖度高めのキュートな声質で一気に会場を支配したかと思えば、腰を回すセクシーな振り付けや低音ラップパートでスリリングな表情も見せる。人差し指を口にあてて「またね」と退場すると、ソロパートのトリを務めるうるみやが登場。うるみやは規格外にアツいパフォーマンスで「Destination」を展開し、生シャウトをいきなり2連発、さらには服を脱ぎ捨て上裸姿に。紗幕のふちが燃える演出の中、鍛え抜かれた肉体で疾走感のあるロックチューンを歌い上げ、強烈なインパクトを残した。
熱狂そのままに、全員が再集合して披露されたのは新曲「propaganda」。それぞれ荒々しく椅子に座った6人は、クロノヴァ史上最も治安の悪いラップ曲を不敵に歌い上げる。
2ndライブとしてはここで一度完結したが、シリアスな曲調が多かった本編とは打って変わって、アンコールの3曲は夏らしいお祭りソングで構成されていた。メンバーもフェスを意識し、それぞれにアレンジを加えたライブTシャツ姿で再登場。みんな並んでの肩組みや黒組の大ジャンプ、観客とともに全員でタオルをぶん回しての一体感など、こちらも心躍るポイントが盛りだくさんだった。
また、曲中、紗幕にリリックモーションが投影され、メンバーのフィジカル感と映像演出が共存しているものも面白い取り組みだった。 YouTubeを主戦場とし、普段はイラストやLive2Dの姿で見ることの多い彼らだからこそ、次元の狭間に立っているような見せ方がよくマッチしていた。今後彼らのステージは名実ともにもっと大規模になっていくはずだし、その先で見られるであろうパフォーマンスや演出面の進化も、楽しみでたまらない。
文:ヒガキユウカ
『Chrono▷Reverse Summer One Man Live 2025「VOLT-EX」』セットリスト(2部)
01.VOLT-EX
02.Order×Chaos
03.残夢散
04.LONGONIA
05.shine(しゃるろソロ)
06.EX RANK(ARKHEソロ)
07.fake idea(かなめソロ)
08.Core(しのソロ)
09.宵闇のMagic(甘夢れむソロ)
10.Destination(うるみやソロ)
11.propaganda
12.On Fire(白組曲)
13.Endsville(黒組曲)
14.Antitype
15.HEXAGRAM
【アンコール】
16.アラブリマスカ
17.MEGA FUN!!
18.CHERRY SUMMER