
今年は、水上恒司にとって快進撃の1年だ。WOWOWのドラマ「怪物」では安田顕とW主演、映画「九龍ジェネリックロマンス」では、吉岡里帆とW主演、10月3日公開の「火喰鳥を、喰う」と12月5日公開の「WIND BREAKER」でも単独主演と主演作が目白押し。そして、この秋放送のドラマプレミア23「シナントロープ」でもテレビ東京ドラマ初出演にして初主演を務める。飛ぶ鳥を落とす勢いの水上が、現代の若者たちを投影したリアルな人間模様を巧みな会話劇でエモーショナルに表現する姿は見逃せない。
葛藤を抱える姿に青春を感じた

街の小さなバーガーショップ“シナントロープ”を舞台にそこで働く8人の若者たちの人間模様を描くドラマプレミア23「シナントロープ」。ある日、シナントロープで不可解な強盗事件が発生したことをきっかけに静かだった日常が少しずつ歪み始める青春群像劇だ。恋愛と友情、絆と裏切り、運命と選択。一体何が真実で何が嘘なのか――。この台本を読んで水上恒司は、「シナントロープには他に例を見ない稀有なパワーがある」と濃密な物語に胸を張っていた。
「このドラマは青春群像劇です。青春というと、それぞれ思い浮かべるイメージは違うと思いますが、色で言うと青とか水色とか、清涼感ある爽やかなイメージじゃないですか。でも、今作ではそうではないところに青春っていうものを感じていまして。10代の頃って初めての経験をする時、その試練に悩むことがあると思うんです。例えば自分の行く先を決める進路とかもそうですよね。そういった葛藤を抱える姿を僕は青春だなって思うんですよね」

青春の定義は人それぞれ。「自分が思う青春の固定概念を取っ払ってこのドラマを観てほしい」という水上。原稿ではコンパクトにまとめたが、水上が語った青春についての解説は、この5倍は長いコメントだった。そして、「すみません、ちょっと長くなっちゃったんですけど、今回バイトメンバー8人が主要キャストです」と言葉を続けた。
「バイトを経験されたことがある方でしたら、おそらく皆さんもそうだと思うんですけども。一緒だったバイトメンバーと連絡を取り合ったり、いまだに仲良くしていたりってことはそんなにないですよね。このシナントロープの8人のバイトメンバーもそう。全然、関わり合わないと思うんですよ。それぞれの夢を追って、就職して、結婚して、子供が生まれて……。多分、皆それぞれ全然違う人生に歩んでいくと思うんです。でも、それぞれのタイミングで、『あの時のシナントロープの時間って楽しかったな』とか、『戻りたいな』、『大変だったな』って思い出すこともあるかもしれない。それぞれの日常の中で生まれてくる、そういう時間に至るまでの青春を描いているドラマです」
登場人物たちは、生きづらさの中に希望を見出していく健気さがある

物語は、シナントロープで働く8人の会話劇で展開していく。水上が演じるのは、主人公の冴えない大学生・都成剣之介。会話の中で分かったことは、人間よりもゾンビが怖くて、孔子の言葉を会話の中に盛り込むような青年ということ。つかみどころがないキャラクターにも思えるが一体、どんな役と捉えたのだろうか。
「今の水上恒司の生き方って、人によっては、憧れを抱いてくれたり、夢を与えられていたりするような立場であると思うので、共感性みたいなのは低いと思うんですよ。でも、都成は共感性が高い人間だと思います。だから、主人公というポジショニングにしたんでしょうね。僕の職業って誰しもがなれる職業ではないですから、僕の生き方に共感できる人は少ないと思うんですよ。でも、都成は大学もいいところに入ったけど、ろくに勉強についていけてないし、上手くいかないことがあって、卑屈だし、愚痴をこぼす人間。誰しも共感できる部分があるような人間味あふれるキャラクターになっています。都成はもちろん、シナントロープで働く登場人物8人はある種、リアリティを持って描かれています。悩みだったり、苦しみだったり、生きづらさだったり……。その中で希望を見出していきたいっていう健気さみたいなものがあるのがこの主人公たちのいいところです」

カッコいいヒーローではなく、駄目なところも多々ある人間らしさに溢れているのが都成というキャラクター。「主人公、主人公していないと思いますね」とキッパリ。
「主人公は8人全員。それぞれの心情の動きを見せていきますし、それぞれのことを追っています。でも、全部が全部、見せているものが本物だとやっぱり思わせたくないですし、思っても欲しくないです。物語が進んでも、都成がハッキリとどういう人間か分からないっていうこともあるかもしれない。でも、実世界でもそうじゃないですか。一緒に暮らしていても、何十年も付き添ってても、新しい面が見えたり、分からない部分があったり。都成もある種、そういったリアリティを含んでいると思います。そういった風にこう見せられる都成のポジションは稀有な存在ですよね」
人間というのは、多面体な生き物。見え方も捉え方も十人十色だ。水上が単純ではない都成というキャラクターをどう演じるのか楽しみなところだ。
「割と脚本通りにはやっています。っていうのも、それだけもう脚本に書かれているので。僕ら役者が考えろよっていう部分がたくさん散りばめられている脚本なんです。そんなことを対談取材で話していた時、山田杏奈ちゃんはちょっと困った顔していましたね。面白くなくなったら、俳優部のせいだなって思われそうですから。『できるか、お前ら?』って試されているような感じがするというか(笑)。それぐらい色々整っている作品です」
会話劇を作品として見せていくために計算したこと

完成度の高い脚本を前に挑戦状を叩きつけられた気分になっているという役者陣たち。それぞれのキャラクターの個性が光る会話劇は一体、どのように生み出されているのか、気になるところだ。
「8人もいますから、8人全員が何も言わず、間が持たないっていう状況ってなかなかできないと思うんですよ。そういう時に、それぞれアドリブをやっていますね。基本的に台本にないことはやっていないと言いましたけど、行間を埋めるアドリブはありますね」
同じ学校だったら、おそらく一緒に行動しないであろう個性的な8人の会話劇については、「リアリティが薄いと思います」と分析する水上。アドリブも含めて、すごく緻密な会話劇を繰り広げているが、これも計算された芝居のうち。
「会話劇って、作品として見せていくためにはリアリティだけでいくとホントにゴチャゴチャになっちゃうもの。それこそ、『うるさい、何を言ってるかわかんない』っていう風になったら元も子もないので、やっぱり立てるとこは立てる、聞く、受ける。話す。シナントロープにおいては、僕が割と喋るポジショニングで、あとは割とアベレージ、平均的なんですけど。リアリティに傾けすぎると間が持たなかったり、逆に間が伸びちゃったりするので、その塩梅は、役者の見せどころ。いかに面白く見せられるか、考えながらやっています」

シナントロープのメンバーを演じるのは、水上のほか、山田杏奈、坂東龍汰、影山優佳、望月歩、鳴海唯、萩原護、高橋侃。映画やドラマなど、多方面で活躍する若手の俳優が勢ぞろい。現場はどんな雰囲気の中、撮影が行われているのだろうか。
「それぞれがやりたいようにやって、立てるべきところを立てるっていうことを意識してやっていますね。割と伸び伸びと和やかな雰囲気ではありますが、ちゃんと緊張感を持って挑んでいます。やっぱりやるべきところ、出るところっていうのは、皆がそれぞれ意識しながらやっている、オンとオフのメリハリのある現場だと思います」
坂東龍汰との出会いは今後の自分に大きなものを与えてくれたと思う

若手俳優との共演で刺激を受けたエピソードを尋ねると、「それぞれについて話していくと長くなっちゃうので、ピックアップさせていただきます」と丁寧な前置きをしたうえで、明るいお調子者・木場幹太を演じる坂東龍汰の話に。
「僕が一番話しやすいのは、坂東さんですね。彼との出会いは、今後においても大きなものになっていくんじゃないかなと思います。坂東さんの逸材っていうのは、異質なところがあって刺激になりますし、僕もそんな役者さんにとって刺激を与えられる存在になれたらいいなって。これから他の作品でもぜひご一緒したい役者の一人です」
心優しい漫画家志望の田丸哲也を演じる望月歩とは、長崎で育ったという同県人。甲子園の熱戦が繰り広げられる時期にも絶賛、撮影中だ。水上は、甲子園を目指すほどの野球少年だった青春時代があり、甲子園で戦った長崎の母校を望月と応援していたそう。
「僕の母校が今年の夏の甲子園の開幕試合を務めていまして。その試合を撮影の合間の待ち時間に携帯で観ていました。モッチーもその試合に興味持ってくれて。『俺がちゃんと解説するから観るか』って誘って、一緒に観てましたね。その時、野球でやっちゃいけないプレーについて説明したり。試合の展開を予想して、こうなると思うって僕が言ったら、本当にそんな展開になっていったので、面白かったですね。野球の話のほかにも『あの店、美味しかったよ』って長崎の地元話で盛り上がりましたし、モッチーとは接点が多いことが判明しました」
実は今の体重は78kg! 好きなものを食べるのが一番いい

今回の役を演じるうえで何か発見はあったのかという質問には、「まだ完成を見ていないので僕は評価できないんですけど……」と一言説明してから、真剣に芝居の技術について語ってくれた。
「セリフってちゃんと相手に聞こえないといけないですよね。どんなセリフであろうと、モゴモゴって言っていいわけがないと僕は思っています。でも、生っぽくグチャグチャ言って、よく聞き取れなくても、伝わればいいっていう考え方もあって。クランクインの時から、監督が面白がってくれたのは、都成がボソボソしゃべるところ。『なんだここは……』ってつぶやくように言ってみたんです。まだどういう都成にしようかなって考えている時期に、監督がそれを面白いと言ってくれたので、そういう風にやってきたんですけど、そんな主人公あまり見たことがないですよね。もしこれが面白くなって、成立していたら、また僕の中で新しいお芝居の仕方、選択肢が増えたなって思いますね」

バーガーショップであるシナントロープは、赤と緑のネオンが目を引く店構え。こんなお店があったら行ってみたくなるが、セットではなく実在する場所で撮影しているそう。
「もちろんセットでも目を引くバーガーショップは作れると思いますが、役者として実際にある建物を使ってやるっていうのは、非常にその場所からパワーをいただけてありがたいですね。都内から聖地巡礼するには、ちょっと遠い場所にあります。ちなみに周りは、何もないです(笑)」
最後に日々の中でのホッとできる時間について質問すると、「眠っている時ですかね。確保できない時は、できないんですけど、最低でも5時間は眠りたいですね。本当は8時間は眠りたいんですけど…」と教えてくれた。水上といえば、プロフィールの趣味欄に筋トレと書かれていたことから、普段から筋トレは欠かさずやっているのか、聞いてみると……。
「デビュー当時から趣味がないので、趣味は“筋トレ”にしておこうって今に至ります(笑)。でも、最近スター名鑑のプロフィールに入れていた、趣味・筋トレを削除したばかりなんですよね。この前、ロケ先のホテルにたまたま体重計があったので、3年ぶりに体重計に乗ったんですよ。そしたら、僕、78キロもありました! 意外と重くて、ちょっとびっくりしましたね。定期的に毎年1回、筋トレに励むようにして体作りをするんですけど、多分、その時の筋肉が落ちていないんじゃないかな。人生最大の体重が80キロなんで、2キロ手前まであって、ちょっと怖いっすね。意外と筋肉があると燃費が悪いですよ。すごくストイックに見られるんですが、好きなものを何でも食べていいって言われたら、カップラーメンを食べます。え、ささ身や鳥の胸肉を食べてそうなイメージがありました?(笑)。いや、いつかは死ぬんで、好きなものを食べるのが1番いいんじゃないですか」

撮影/梁瀬玉実、取材・文/福田恵子
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<作品情報>
テレビ東京 ドラマプレミア23「シナントロープ」
テレ東系にて2025年10月6日(月)スタート
毎週月曜 夜11:06~11:55放送
TVerにてリアルタイム配信・見逃し配信
Prime Videoにて見放題独占配信
公式サイト:
https://www.tv-tokyo.co.jp/synanthrope/