「気づいたら10年もこんなイカれたことやってます」G-FREAK FACTORY主催『山人音楽祭』熱狂の初日を最速レポート
『山人音楽祭2025』集合写真(2025年9月20日(土) 群馬・日本トーターグリーンドーム前橋) (Photo:HayachiN)

Text:蜂須賀ちなみ(赤城)、荒金良介(榛名)、吉羽さおり(妙義/赤城・ENTH、10-FEET)
Photo:HayachiN(赤城)、半田安政(榛名)、タマイシンゴ(妙義)



今年、記念すべき10周年を迎えたG-FREAK FACTORY主催フェス『山人音楽祭 2025』が、彼らの地元・群馬県、日本トーターグリーンドーム前橋で開幕した。パンク、ハードコア系バンドからミクスチャーロック、スカ、レゲエに、弾き語りやMCバトルなど、山人音楽祭ならではのラインナップで、9月20日(土)、21日(日)の2日間で全38組のアーティストが出演。

熱いステージを繰り広げる。観客の歓声に迎えられ、まずステージに立ったのはおなじみ山人音楽祭の歴史と並走してきた“キング・オブ・前説”NAIKA MC。「めでたく10年目を迎えた山人音楽祭へようこそ!」と高らかに観客に挨拶をすると、激アツなフリースタイルラップで狼煙をあげた。



ENTH
11:10~ 赤城STAGE

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1日目のトップバッターは、2019年からの出演で今年初めて赤城STAGEに立つENTH。着火剤になれればと一番手を担う思いを語ったダト・ダト・カイキ・カイキ(vo/b)の「ENTHが開幕一発目ってことは、トップから爆上げってことじゃないですか!?」という言葉を合図に、Naoki(g/cho)は高いジャンプを決め、1曲目「SLEEPWALK」からtakumi(ds/cho)による重量感たっぷりのビートがフロアをビリビリと震わせていく。「ムーンレイカー」でシンガロングを起こし、重厚なギターリフとビートがフロアを縦横無尽に爆走する「BLESS」で早くも観客はもみくちゃだ。「俺たちは名古屋のバンド。だからこうして地元でがっつり活動してこんなにいい景色を見せてくれるG-FREAK FACTORYは、同じローカルバンドとして尊敬します」と、そのリスペクトを音に変え、後半は極太なミクスチャー「”EN”」「SCUM DOGS FART」から、変幻自在のビートとギターの刻みで止まることなくステップを踏ませる「Gentleman Kill」などを連投。豪快なスラッガーぶりで山人の観客を沸かせていった。



KOTORI
11:50~ 榛名STAGE

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『山人音楽祭 2025』初日・榛名STAGEのトップを飾ったのはKOTORIだ。「かかって来いやー!」とフロアから男性の野太い声が響き、すでに観客も臨戦体制と言えるだろう。ライブ自体は「秘密」で幕を開け、初っ端から観客はノリノリで踊り始める。それから「Masterpiece」を放ち、会場の温度は急上昇。「オイ!オイ!」と無数の拳が突き上がり、榛名STAGEは完全にKOTORIの空気に染まっていた。


「時代を超えてゆけ~♪」と熱く歌い上げる「1995」、激しいドラミングを配した「GOLD」と繋いだ後、「最高だ! G-FREAK FACTORY呼んでくれて、ありがとうございます。あんなに力強いロックを鳴らす先輩を知らないです」と横山優也(vo/g)は告げ、スローテンポからスピードアップする「RED」をプレイ。残り2曲となり、「みんなの歌!」と叫ぶと、「素晴らしい世界」を放ち、榛名STAGEを大合唱のに包み込む。そして、最後に披露した新曲「SKY」がこれまた素晴らしかった。ジミー・イート・ワールドを遅くしたようなエモーショナルなメロディを存分に振りまき、多くの観客の心を根こそぎ奪い去る熱演で幕を閉じた。



Age Factory
12:20~ 赤城STAGE

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『山人音楽祭』に何度も出演しているAge Factoryは、意外にもメインの赤城STAGEに出演するのは今年が初めてだ。地を揺らすバンドサウンドは、「赤城初登場、遅すぎたのでは?」と思わせられるほど強烈。清水英介(vo/g)は「超誇らしくプレイしてます」と充実感を噛みしめた。彼らのライブは「GOLD」からスタート。メンバーは相当気合いが入っているようで、高い熱量と集中力を保ちながら掻き鳴らされる、ヒリヒリとしたサウンドがたまらなかった。「みんな超音楽ラバーだと思うので。ロック好きだと思うので」と観客を信頼しながら、「最後の一秒まで、みんなでこのイベント成功させましょう」と伝えたAge Factory。「俺たちの街には何もなかった。

だから自分たちで作り出した」――そんな言葉でG-FREAK FACTORYとの魂の共鳴・敬意を表現したあとに鳴らした「海に星が燃える」は特に素晴らしかった。赤城山を象った真紅のベール、激しく点滅する照明を背負ったオルタナティブロックは、観客の胸に焼きついたことだろう。



SKA FREAKS
13:00~ 榛名STAGE

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キャリア22年を誇る滋賀発のSKA FREAKSは、今年『山人音楽祭 2025』に初めて出演。けれど、初めてとは思えないほど、終始とんでもない盛り上がりを記録。「Egoistic Feeling」から場内をスカダンスに導き、ライブハウスさながらの熱気が渦巻く。「Today」、「一期一会」、「From This Room」と畳みかけ、一人残らずダンスさせ、バンドの底力を遺憾なく発揮。ホーンを含む6人体制による荒々しいスカパンクのパワーに圧倒されるばかりであった。バンドは観客とのコール&レスポンスでがっちり心を通わせた後、「lift Me Up!」をドロップ。ウォー!ウォー!の大合唱で観客を一つに束ねる手腕もさすが。「山人10周年おめでとうございます! 群馬でG-FREAK FACTORYが守ってきたからフェスがある。僕らも滋賀県でフェスをやっていて、滋賀を背負って闘っている、そういう曲」とSyusaku(vo)が前置きして、「if my life」へ。情熱迸る男臭い歌メロにより、大勢の観客のハートを射抜いていた。ラストスパートは「carry out」、「Maybe」、「Disgusting Garbage」で締め括り、現場叩き上げのライブ・バンドらしい剛腕パフォーマンスで観客を踊り狂わせた。



DJダイノジ(大谷)
13:00~ 妙義STAGE

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3つのステージのうち、唯一屋外となる妙義STAGE。雨も心配された曇天模様のこの日だったが、このところの猛暑からは一転して気持ちのいい秋の風がそよいでいる。初日、この妙義STAGEの幕開けは、DJダイノジ。この日は大谷ノブ彦ひとりでのステージとなった。「山人音楽祭10周年おめでとう。10年ってすごいよね。俺たちもロックDJをやって20年。それをこの30分に凝縮したい」という言葉から、各地のロックフェスを盛り上げてきたテッパン曲を叩き込んでいく。のっけから大合唱を起こすELLEGARDEN「Make a Wish」からHEY-SMITH「Living In My Skin」、さらにTHE OFFSPRING「What Happened to You?」で歌わせていったかと思うと、「バンドマン、地球でいちばんかっこいい!」とDragon Ashの二連打でフェスのクライマックス状態へと運んでいく。群馬といえば温泉だとC&K「入浴」では観客同士で背中を流し合う動きで身を清めたら、東京スカパラダイスオーケストラ「Dale Dale!~ダレ・ダレ!~feat.チバユウスケ」で観客が笑顔でダンスする。平和で祝祭的な空間が広がる妙義STAGE。子どもの姿も多く、思い思いに駆けたり、跳ね回る空間は屋外ならではだ。



SHANK
13:30~ 赤城STAGE

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SHANKが赤城STAGEでライブを始めれば、スタンディングエリア前方はぐちゃぐちゃに。軽快なアンサンブル、楽器好きのツボをつくメンバーのプレイ、開放的なメロディに誘われて、観客は拳を突き上げ、飛び跳ね、ダイブした。

ギリギリまで曲を詰め込んだセットリストは時間ぴったりで終わる完璧な構成で、さすが、ライブバンドの面目躍如。加えて今日のSHANKは、いつもよりさらに素直で衝動的だった。MCでは庵原将平(vo/b)がその理由を明かした。「昨日大阪でFACTのツアーに出て、朝イチで新幹線を乗り継いで、本当に寝てなくて。全盛期のピンク・レディーのようなスケジュールをこなしておりまして。我々ナチュラルハイになっておりますので、ついてきてください」。多少の無理も厭わないほど、SHANKにとって「山人音楽祭」は“出たいフェス”であり、G-FREAK FACTORYとの絆は固いということだろう。そしてフロアの熱狂が、「山人音楽祭」にSHANKが不可欠であることを証明していた。



かりゆし58
14:10~ 榛名STAGE

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「この時間のステージを預からせてもらいます」と前川真悟(vo/b)による丁寧な挨拶を経て、かりゆし58は「電照菊」で演奏スタート。観客は手を左右に揺らし、心地いいサウンドに身を委ねる。「女の人が笑っていれば、世界は良くなります。と言いながら・・・人生で一番泣かせたかあちゃんの歌」と告げた後、「アンマー」を披露。会場には自然とハンドクラップが広がっていく。

この曲が多くの人に愛されている理由がよくわかる景色で、ここに集まった人たちも例外ではないだろう。歌詞と演奏を笑顔で楽んでいる人たちばかりであった。
 そして、「オリーブ」ではG-FREAK FACTORYの茂木(vo)が登場し、長めのパートを気持ちを込めて歌い上げていく。最後は前川とハモる場面もあり、会場は大いに沸いた。「山人音楽祭に来てくれてありがとう、兄弟!」と茂木は呼びかけ、両者の絆を物語るシーンだった。そんなピースフルな空気を「アイアムを」で膨らませると、「音楽は今日も生きてます、あなたのおかげです」とMCを挟み、「オワリはじまり」を最後にプレイ。「かけがえのない時間を胸に刻み込んだかい♪」の歌詞が、胸に沁み込んだのは言うまでもない。かりゆし58が音楽を奏でる時間こそ、かけがいのない時間なのだ。観客の表情がそれを物語っていた。



上州弾語組合
14:10~ 妙義STAGE

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転換時から雨が降り出した妙義STAGEに登場するのは山人音楽祭ならではのアクト、群馬で活動する音楽家たちによる上州弾語組合。2日間にわたっての出演となるが、初日は清水明夫(g)、KIE Anderson、garb(ds)、16号。(g)、横山ナオ、上原梅弦(三味線)の6人が登場。雨脚が強くなり、ステージ前にカッパ姿の観客が詰めかけるなか会場にまず響きわたったのは、上原梅弦による三味線の音色。

6人による合奏での「じょんがら節」が雨音と溶け合っていくのは情緒的だ。続いての横山ナオは雨のなか駆けつけた観客の顔を見て「泣きそうです」と語り、会場の空気を和らげるように「今、帰るよ」を歌い上げた。また16号。は、悲しみのなかでもその傍らにあった相棒であるギター、音楽について綴った「それでもギターを」をエモーショナルに紡ぐ。そしてパワフルでリズミカルな歌声で会場を明るくしたのはKIE Andarsonによる「to legend」だ。6人の数珠つなぎの歌に空も明るさを増していって、ドラマーgarbによる「Tiedye」とラスト清水明夫「おかえりmy self」ではメンバーのコーラスや手拍子が加わって、軽やかなゴスペルのように観客を包んでいく。雨も上がって音楽とともに観客の顔も上向いていく、優しく、ドラマティックなステージとなった。



ROTTENGRAFFTY
14:40~ 赤城STAGE

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「山人音楽祭」常連となりつつあるROTTENGRAFFTYだが、もちろん、経験に甘えてヌルいライブをすることはない。彼らはハードナンバーで畳みかけながら、「京都のローカルヤンキー」と自称。親しみを込めて観客を「群馬のローカルヤンキーども」と呼び、「今からお前ら、ぶち殺しにいくんで。死にたくなかったら殺す気でかかってこい!」と宣戦布告した。ROTTENGRAFFTYとG-FREAK FACTORYは、「地元でフェスを主催」という共通点を持つ。MCではN∀OKI(vo)が「山人、10周年おめでとう!」と伝え、「自分のことのように嬉しい」と同志を祝福した。そして、かつて「いつか京都大作戦みたいなフェスができたら」と共に語り合ったのだと回想。「一生続きますように。互いに。まだまだ旅は続くぞ!」と披露された「マンダーラ」では歌詞が変えられ、G-FREAK FACTORYに向けた言葉が歌われた。ステージから光が溢れるなか、ラストには「自分を信じろ」という叫びが響く。2組の絆と生き様が、リスナーを奮い立たせるメッセージに変わった瞬間だった。



TOTALFAT
15:20~ 榛名STAGE

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今日は曇りでやっと涼しくなってきたけれど、このバンドがいることを忘れてはならない。再び灼熱のエネルギーで榛名STAGEを燃やし尽くしたのはTOTALFATである。「やっと来たぜ、山人ー!」とShun(vo/b)が叫び、いざスタートを切った途端にドラムのトラブル。再び仕切り直す形で「夏のトカゲ」が始まると、一瞬でお祭り騒ぎの景色を作り、曲の後半ではタオル回しで会場の一体感をグンと高めていった。そこに「夏ノ大蜥蜴」をぶっ込めば、まさに火に油を注ぐ大フィーバーぶりだ。「New Shit」を経て、今年出た25周年記念アルバム『FUTURES IN SHILHOUETTE』収録の「The Silhouette」をプレイ。「置き去りにしていた夢たち もう一度迎えに行こうか♪」という熱い歌詞に胸を激しく突かれた。続く「PARTY PARTY」でお祭り気分をさらに盛り上げ、早くも残り1曲となった。
「コロナで中止になった山人音楽祭のラインナップに入っていたけど・・・念願の初出演です。G-FREAK FACTORYと今年一緒にツアーに回って、ステージ上から今年こそよろしく!と初めて言われて、なんて粋なんだろう」とShunはMCを挟み、ラスト曲「Place to Try」では歌詞を大声で歌い上げる観客たち。終始お祭り感をキープする圧巻のパフォーマンスだった。



能登半島応援企画『MAKE A PROMISE TO NOTO』
Tokyo Tanaka×バカビリー×高橋ちえ
15:20~ 妙義STAGE

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記念すべき10年目を迎えた山人音楽祭のスペシャルなプログラムとなったのは、『MAKE A PROMISE TO NOTO』と題した能登半島応援企画だ。G-FREAK FACTORY・茂木洋晃とは災害の支援を通じ古くから親交のある石川県金沢市出身で防災士でもあるバカビリーと東日本大震災時はFM岩手のスタジオにいたというナビゲーター高橋ちえとで、2024年1月1日に発生した能登半島地震の被災地のリアルな現状について、とくに1年以上を経た今もなお復旧と復興との間にあるという七尾市での状況や、災害への意識についてのトークが行われた。実際に石川県に暮らし活動を続けているからこその歯に衣着せぬ話に観客は耳を傾けた。トークの後は、長く復興支援を続けるTokyo Tanaka(MAN WITH A MISSION)とギターに山人にゆかりの深いシンガーソングライター岩崎有希を迎えてのセッションを開催。MWAMの曲をはじめ、SUPER BUTTER DOG「サヨナラCOLOR」、また茂木も登場してコロナ禍に岩崎が一緒にやりませんかと持ってきた曲だという「野営」を岩崎と茂木とで披露。ラストは今なお深い傷を抱える地をMONGOL800「ひめゆりの詩」に重ねて、Tokyo Tanakaは何度も観客のシンガロングを煽りながら平和の願いを紡ぎ上げていった。



氣志團
15:50~ 赤城STAGE

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「山人音楽祭、念願叶ってついに初出演です! ずっと出たかったよー!」1997年結成、G-FREAK FACTORYの“タメ”である氣志團。彼らは、音楽と持ち前のチャームで観客をあっという間に魅了。バイクに乗って現れた綾小路 翔がリズミカルにエンジン音を吹かせたオープニング、手押し車に乗った星グランマニエが速弾きを披露した「スウィンギン・ニッポン」、「さあ、みんなで一緒に踊ろう!」と呼びかけた「萌え萌えROCK’N’ROLL」、「One Night Carnivalと「One Night Jamboree」のコンボなど、楽しい瞬間ばかりのライブだった。MCでは綾小路が「マジでバンド続けてきてよかった!」と喜びを爆発させた。ミリオンヒットを叩き出すロックバンドに憧れてデビューするも、CDが売れない時代に突入、それでも自分の道を進み、気づけば30周年目前――同じ時代を生きたG-FREAKに誘われたのが嬉しかったという。そんなMCのあとに披露された魂のバラード「友よ」には、G-FREAKへの――そして音楽を通じて心を通わせた目の前の人たちへの想いが確かに込められていた。



花冷え。
16:30~ 榛名STAGE

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榛名ステージの5番手は、ガールズ・ラウド/ミクスチャーの新鋭・花冷え。が務めた。彼女たちは海外フェス/ツアーを精力的に回っており、世界中で熱狂的なファンを開拓している。今日は『山人音楽祭 2025』初出場ということもあり、気合の入り具合が半端ではなかった。というのも、ド頭から代表曲であり、アンセム・ソングとも言える「お先に失礼します。」を投下。いきなり観客全員をヘドバン地獄に誘うと、もはや花冷え。の独壇場と化す。「ぶっちぎり東京」でフロアをさらに過熱させると、「今年こそギャル~初夏ver.~」をプレイ。必殺のパーティー・チューンを見舞い、観客は歌って踊って飛び跳ねるなど、タガが外れた盛り上がりを記録。「初めて出たのに大変図々しいんですけど・・・。願いは一つ、いつかこの場所に戻って、赤城STAGEに出たい!」とユキナ(vo)はダルマの片目を塗り潰して宣言。後半に向けて、さらにテンションを高め、凄まじい攻めっぷりを見せつけた。「Spicy Queen」、「我甘党」とキラーチューンを連発。「残り2曲、ウチらと死ぬ気で遊んでくれますか?」と呼びかけ、「TOUSOU」でフロアをぐっちゃぐちゃに掻き回し、最後の「Today’s Good Day & So Epic」においては巨大なサークル・ピット&ジャンプ大会が勃発。観客を片時も休ませない猛攻撃ぶりで、山人に途轍もなく深い爪痕を残した。



高木ブー
16:45~ 妙義STAGE

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初日の妙義STAGEのトリを飾るのは、山人音楽祭(だけではないが)の観客にも演者にも愛される、高木ブー。会場にはたくさんの人が集まり、また「ブーさん!」と声をかける観客で熱く迎えられた。それもそのはず、昨年も出演予定だったが、ライブのリハーサルに行く途中にケガをしてしまい、残念ながら出演キャンセルとなってしまった経緯がある。今年はそのリベンジになる。が、ステージに登場したご本人はいつも通り、「今回は久しぶりでね。懐かしい人にもお会いしました」と言いながら大らかな笑みを浮かべて「マウナロア」から深みある低音と聴かせてくれる。バンドメンバーと共に、このステージではハワイアンだけでなくラテンのスタンダードナンバー「キサス・キサス・キサス」や、今年が昭和100年にあたるということで昭和の歌謡曲をと松山千春の「恋」など、親しみのある曲でも盛り上げた。「今度は、昭和特集もできればいいな。練習しておきます」と語る御年92歳。「今ドリフターズはふたりしかいないので、応援してください。100歳まで頑張りますから」というブーさんに、観客は大きな歓声を送った。



The BONEZ
17:00~ 赤城STAGE

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昨年の初出演を経て、2年連続出演となったThe BONEZ。フロアを覗き込み、「いけっか、山人!」と投げかけるJESSE(vo/g)の不敵な笑みからは、勝手知ったる「山人音楽祭」への信頼が伝わってきた。そしてKOKI(g)の掻きむしるようなギターカッティングが観客を煽り、T$UYO$HI(b)、ZAX(ds)による最強のリズム隊が放つ、強靭かつ刺激的なサウンド。聴く人の心臓を直接叩くビート、唸りを上げるベースラインで赤城STAGEに集まった人の心を高揚させた。「セキュリティがこんだけいるんだから、お前ら、飛べるやつは来いや!」。そう言ったからには、まずこちらが本気を出すのが流儀だろうと言わんばかりに、攻めのサウンドが鳴らされる。「New Original」ではJESSEがフロアに下りて、巨大サークルの中央へ歩みを進めた。直後、JESSEのスクリームをきっかけに、観客が一斉に駆け出す。The BONEZから作り出される地獄のように激しく凶悪な――同時に、天国のように愛と笑顔に満ちた光景だった。



locofrank
17:40~ 榛名STAGE

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「派手に行こうぜー!」と木下正行(vo/b)が叫び、榛名STAGEのトリ前に出演したlocofrank。バンドの名刺とも言える「START」からエンジン全開で、観客によるクラウドサーフは止まらない。「Mountain range」に入ってもキレッキレの演奏を叩きつけ、場内は凄まじい活気を帯びていく。間髪入れずに「Hate to lose」に繋ぎ、グルーヴィーなサウンドで観客を揺らす。激しさと良質なメロディが同居した「share」、新曲「CHOICE」も観客に好リアクションで迎えられ、バンドの勢いが増すばかりである。後半、「Grab again」、「reason」と容赦なく畳みかけるが、観客も疲れを1ミリも見せずに暴れ回っている。locofrrankの圧倒的なライブ力に誰もがエナジーを注入されているよう。「Reborn」では「シンギン!」と呼びかけ、会場に大合唱の渦を作り上げる。それからラストに「See you」をプレイ。曲名のイメージと相反し、メロコア・マナーで突っ走り続ける彼ら。再びクラウドサーフは止まることなく、暴動に近い熱狂ぶりですべての観客をキッズ化させたのであった。



10-FEET
18:10~ 赤城STAGE

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アリーナもスタンド席も埋まった会場に登場したのは、G-FREAK FACTORYの盟友である 10-FEET。「山人音楽祭、はじめるぞ!」というNAOKI(b/vo)の声で「ハローフィクサー」からスタートしたライブは、爆発的なパワーを持った「helm'N bass」や「第ゼロ感」でアクセルを踏み込んでいくボルテージの高さや、重厚にしてしなやかな3人のアンサンブルで畳み掛ける迫力はもちろん、この日、この山人音楽祭だからこそ出てくる言葉や、その重みがある、エモーショナルなステージとなった。ハイライトは「RIVER」、そしてそこに続いた茂木洋晃(G-FREAK FACTORY)をゲストに迎えた「アンテナラスト」だ。「RIVER」でのサビ前でTAKUMAは、「俺が絶対に助けたるから」と叫んだが、これはTAKUMAが友だちに言われていちばん嬉しかった言葉だという。そしてこの言葉を衒いなく真っ直ぐに伝えてくれるのが、付き合いの長い茂木であり、この日赤城STAGEに出演したN∀OKI(ROTTENGRAFFTY)だと語った。ちなみに「RIVER」で歌われる《「僕がついている」とまた泣いた》はN∀OKIの言葉から来ているという。サラリといった言葉でも、お互いが信頼感も歴史もある関係値だからこそ泣けるほど重みある言葉になる。彼らの内で交わされる純度の高いエネルギーのやりとりをそのまま見せるようなステージは、眩しく、そして心をガッチリと掴む最高のライブとなった。



HAWAIIAN6
18:50~ 榛名STAGE

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「いい景色の最後だ、いつも通りやるぞ!」とHATANO(ds)がぎっしり埋まった会場に呼びかける。榛名STAGEの堂々たるトリを飾ったのはHAWAIIAN6だ。「MAGIC」を皮切りに「BURN」に移ると、ヘヴィなリフを用いた疾走感溢れるナンバーに会場は興奮とるつぼと化す。YUTA(vo/g)が人差し指を掲げると、すかさず「I BELIEVE」へ。曲の高揚感に後押しされ、観客も人差し指を掲げてジャンプしていた。「山人、素晴らしいな。俺たちの前にlocofrankが出て、(天気を指して)土砂降りになって・・・。ソーシャル・ディスタンスが終わり、今は自由だぜ! 全部置いてけ!」と叫び、「STAR FALLS ON OUR HANDS TONIGHT」、「HAZE」、「BRAND NEW DAWN」と進み、汗だくの熱気が場を支配する。まだまだこんなものでは終わらない。次の「RAINBOW,RAINBOW」では隣同士で肩を組み、輪になって騒ぐ観客たち。HAWAIIAN6のライブではお馴染みの光景ではあるけれど、何度観てもこれほどハッピーな空間は他にないだろう。「今日をめいっぱい燃えようぜ! 死ぬまで青春しよう! 終わらない青春の歌!」と告げ、「ETENAL WISH,TWINKEL STAR」をプレイ。会場内にはキッズエリアも設けられており、お父さんに肩車された男の子が拳を振ってノッているではないか。親子でHAWAIIAN6の音楽を楽しむ姿に見惚れながら、最後の「PROMISE」まで全力疾走で駆け抜けた彼ら。榛名STAGEを祝祭空間に塗り替え、世代を貫く普遍性を見せつけたHAWAIIAN6の演奏にただただ感動してしまった。



G-FREAK FACTORY
19:20~ 赤城STAGE

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キーボードのメロディをきっかけとしジャムセッションが、G-FREAK FACTORYのライブの始まりと、初日の終わりが近づいていることを報せる。主催者としての威厳を懸けたバンドの凄まじい演奏に、観客は活力をもらいながら、1年が経ち、また「山人音楽祭」に帰ってきたことを実感していたに違いない。会場の外には、もっと快適なフェスや、音楽以外の魅力的なものがあるかもしれない――茂木洋晃(vo)はそう前置きしながら、「気づいたら10年もこんなイカれたことやってます。付き合ってくれてありがとう」と、「山人音楽祭」を選んだファンに伝えた。彼らは毎年このステージで、無事開催できたことに対する感謝を語っている。当たり前なことは何一つない、有り難いことばかりだと身をもって実感しているからだ。
「来年の山人まで、その声を聞かせろ!」とシンガロングで希望を繋いだのは「Too oLD To KNoW」。続く「ダディ・ダーリン」は能登に向けて歌われた。昨年の「山人」開催日に能登での水害の情報をキャッチできなかった後悔、ここグリーンドームで得た「一人ひとりの力は小さくても、みんなが集まればこんなに大きなことができる」という実感、ずっと根底にある「戦後80年経ったが、今は戦前かもしれない」というシビアな現実――すべての想いを込めて、茂木が半ば叫ぶように歌うなか、観客も声の限り歌うことで想いをともにした。
本編ラストは、「群馬ロックフェスティバル」初回開催時にも演奏された「EVEN」。アンコールでは、昨年のリベンジとして、高木ブーと出演者20名以上を招き入れ、「いい湯だな」を歌った。初日はトラブルなく大成功だったが、締めは「8時だョ!全員集合」へのリスペクトを込めたオマージュで。「ダメだこりゃ! 明日行ってみよう!」という言葉が爽快に響いた。



<公演情報>
『山人音楽祭2025』



2025年9月20日(土) 群馬・日本トーターグリーンドーム前橋



セットリスト

<赤城>
■ENTH
01.SLEEPWALK
02.ムーンレイカー
03.”TH”
04.A FLY
05.BLESS
06.”EN”
07.SCUM DOGS FART
08.Urge
09.Gentleman Kill
10.TEARS
11.Will
12.Get Started Together



■Age Factory
01.GOLD
02.Party night in summer dream
03.See you in my dream
04.向日葵
05.Blood in blue
06.Dance all night my friends
07.HIGH WAY BEACH
08.Shadow
09.海に星が燃える
10.ロードショー



■SHANK
01.Surface
02.Hope
03.Life is...
04.620
05.Good Night Darling
06.Departure
07.Love and Hate
08.High Tide
09.Wall Ride
10.Honesty
11.Weather is Beautiful
12.Wake Up Call
13.Set the fire
14.submarine



■ROTTENGRAFFTY
01.零戦SOUNDSYSTEM
02.夢幻獄
03.D.A.N.C.E.
04.THIS WORLD
05.マンダーラ
06.響都グラフティー
07.金色グラフティ―
08.秋桜
09.暁アイデンティティ



■氣志團
01.Axel Call
02.喧嘩上等
03.房総魂
04.スウィンギン・ニッポン
05.萌え萌えROCK’N’ROLL
06.汚れなきクソ野郎ども
07.友よ
08.One Night Carnival
09.One Night Jamboree



■The BONEZ
01.We are The BONEZ
02.Numb
03.Love song
04.Rusted Car
05.New Original
06.You and I
07.Thread & Needle
08.SUNTOWN



■10-FEET
01.ハローフィクサー
02.helm'N bass
03.第ゼロ感
04.RIVER
05.アンテナラスト feat. 茂木洋晃(G-FREAK FACTORY)
06.その向こうへ
07.ヒトリセカイ
08.goes on



■G-FREAK FACTORY
01.jam(YAMA)
02.YAMA
03.REAL SIGN
04.Unscramble
05.アメイロ
06.Too oLD To KNoW
07.ダディ・ダーリン
08.EVEN
EN1.GOOD OLD SHINY DAYS
EN2.いい湯だな



<榛名>
■KOTORI
01.秘密
02.Masterpiece
03.1995
04.GOLD
05.RED
06.素晴らしい世界
07.SKY



■SKA FREAKS
01.Egoistic Feeling
02.Today
03.一期一会
04.From This Room
05.lift Me Up!
06.#1
07.Requiem
08.if my life
09.carry out
10.Maybe
11.Disgusting Garbage



■かりゆし58
01.電照菊
02.アンマー
03.オリーブ
04.アイアムを
05.オワリはじまり



■TOTALFAT
01.夏のトカゲ
02.夏ノ大蜥蜴
03.New Shit
04.The Silhouette
05.PARTY PARTY
06.Place to Try



■花冷え。
01.お先に失礼します。
02.ぶっちぎり東京
03.今年こそギャル~初夏ver.~
04.Spicy Queen
05.我甘党
06.TOUSOU
07.Today’s Good Day & So Epic



■locofrank
01.START
02.Mountain range
03.Hate to lose
04.share
05.CHOICE
06.Grab again
07.reason
08.Reborn
09.See you



■HAWAIIAN6
01.MAGIC
02.BURN
03.I BELIEVE
04.STAR FALLS ON OUR HANDS TONIGHT
05.HAZE
06.BRAND NEW DAWN
07.RAINBOW,RAINBOW
08.ETERNAL WISH,TWINKLE STAR
09.PROMISE



<妙義>
■上州弾語組合
01.じょんがら節
02.今、帰るよ
03.それでもギターを
04.to legend
05.Tiedye
06.おかえりmy self



■能登半島応援企画『MAKE A PROMISE TO NOTO』
Tokyo Tanaka×バカビリー×高橋ちえ
01.Whisper of the fake(MAN WITH A MISSON)
02.サヨナラCOLOR(Super Butter Dog)
03.野営(岩崎有季)
04.ひめゆりの詩(MONGOL800)



■高木ブー
01.マウナロア
02.ブルーメモリー
03.涙そうそう~カノホナピリカイ
04.キサス・キサス・キサス
05.恋
06.ブルーハワイ~ビヨンドザリーフ



関連リンク

ENTH
https://enth-nagoya.com/



KOTORI
https://kotori-band.com/



Age Factory
https://agefactory.biz/



SKA FREAKS
http://skafreaks.net/



DJダイノジ
https://dienoji.jp/



SHANK
https://www.shankofficial.com/



かりゆし58
https://kariyushi58.com/



上州弾語組合
https://www.instagram.com/hikigatarikumiai



ROTTENGRAFFTY
https://rotten-g.com/



TOTALFAT
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氣志團
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花冷え。
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高木ブー
https://izawaoffice.jp/artist/takagi.php



The BONEZ
https://thebonez.com/



locofrank
https://locofrank.net/



10-FEET
https://10-feet.kyoto/



HAWAIIAN6
https://ikkinotdead.com/



G-FREAK FACTORY
https://g-freakfactory.com/

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