ウィル・スミス主演の『バッドボーイズ RIDE OR DIE』が6月21日(金)、全国公開される。2022年の米アカデミー賞授賞式で”ビンタ事件”を起こして以降、謹慎というか、活動を控えていたスミスだが、また快進撃が始まった。
『バッドボーイズ RIDE OR DIE』
この映画が全米で公開されたのは、6月7日(金)。週末3日間の興行収入は5600万ドル(約88億円)を超え、米レビューサイト「ロッテン・トマト」の観客スコアでは“97%が評価する”という高得点を獲得。業界紙も「スミスに対する観客の評価は下がっていない」と報じている。熱狂とともに迎え入れられた感じだ。
はみだし刑事のバディものといえば、日本でもTV放送開始から38年の『帰ってきた あぶない刑事』が5月、8年ぶりに公開され、大ヒットしたばかり。
こちらの『バッドボーイズ』は、バディ結成29年。第1作が1995年、第2作が2003年、そして前作となる第3作は、2020年に公開されている。かなりインターバルをおいた公開にもかかわらず、回を追うごとに動員数を増やしてきたのが、すごい。
マイアミの街を、高級車を駆ってハイスピードでドリフトしまくるシーン。いつものノリで、マイアミ市警のマイク(ウィル・スミス)とマーカス(マーティン・ローレンス)が帰ってくる。
独身を謳歌していたプレイボーイのマイクはついに結婚。ところが、その式場で祝辞を述べたマーカスが突然心臓発作で倒れてしまう。生死をさまよう彼の夢枕に、なんと、今は亡き上司のハワード警部(ジョー・パントリアーノ)が立ち、あるメッセージを残す……「お前たちに試練がやってくる。大きな選択を迫られるが、俺がついている」。
それがお告げだったのか、マイクとマーカスは、故ハワード警部に麻薬カルテルとの汚職疑惑がかけられていることを知る。無実の罪を着せられた上司のため、独自の捜査を始めたふたりは、巨大麻薬組織と謎の黒幕が引き起こした一大トラブルに巻き込まれ、容疑者として警察からも追われる身になってしまう……。気づけば周りは敵だらけなのだ!
そんななか、キーになるのがハワード警部を殺害し、連続殺人の罪で牢獄にいるアルマンド(ジェイコブ・スキピオ)だ。前作のラストでマイクの実の息子であることが明らかになっている。とはいえ、取扱い超注意の劇薬的存在。彼がからむ驚きの展開が、お楽しみ、なのです。
シリーズ第1作目からプロデューサーを務めているのは『トップガン』『パイレーツ・オブ・カリビアン』などを手掛けたジェリー・ブラッカイマー。大ヒットする映画はこう作る、というまさにツボを心得た仕事ぶりだ。
監督は、大好評だった前作に続き、モロッコ系ベルギー人のコンビ、アディル&ビラル。テンポの速いエネルギッシュなドローンワーク、スノーリーカムという俳優の体に装着されたカメラによるショットの採用など、アディル監督は「古典的なカメラワークでなく、思いつく限りファンキーなショットを撮ることを試みた」という。その甲斐あって、銃撃戦のシーンは、まるで観客が自ら拳銃を握って、大スクリーンでシューティングゲームをしているかのようだ。
つい、アクションシーンばかりを紹介してしまうが、この映画の魅力を倍加させているのは、実のところ色彩と音楽である。ウィル・スミスは「監督ふたりは、すべてに異なる感性をもたらしてくれる。キャラクター、アクション、そして色彩においても」と語る。
ベビーブルー、ターコイズブルー、そしてピンク。これはマイアミの夜の色。アディル監督は「私たちは色のコントラストが好きです。マイアミは本シリーズのキャラクターのひとつであり、マイアミに行けばその色彩が目に飛び込んできます。活気があり、私たちはそのエネルギーやマイアミのテイストを表現したいと考えていました。エキゾチックで、大好きです。」という。
そして、なんといっても音楽だ。前作も担当したブラック・アイド・ピーズが、ラテン界のスーパースターであるエル・アルファとベッキー・Gと組んで『トゥナイト』という曲をつくった。それが主題歌になっている。予告編を観ただけでも、この曲がいかにドラマにソウルフルなテンポを与えているかわかる。
すでにMVが公開されているが、貴重な映画の映像もかなりミックスされていて、豪華なつくりだ。
いまさらだが、タイトルの「RIDE OR DIE」は、彼らがバディを組んでから、ピンチの時に何度もふたりで唱えた合言葉「We ride together. We die together. Bad Boys for life.」(共に生き、共に死ぬ。一生悪友〈バッドボーイズ〉)から採られているそうだ。
マイアミ色のなかで展開される驚異的なアクションシーンと陽気なコメディの共存。これぞまさしくポップコーン・ムービー。いや、ウィル・スミスにいわせると「グルメなポップコーン」だそうである。
さらに美味しく楽しみたいなら、IMAXなどのラージフォーマットや、最高級のサウンドシステム、はたまた座席が動く4DXで鑑賞するという手もある。IMAX、Dolby Cinema、Dolby Atmos、ScreenX with Dolby Atoms、ScreenX、MX4D、4DX、ULTRA 4DX、すべてのスタイルが用意されている。
文=坂口英明(ぴあ編集部)