Text:石角友香 Photo:新保勇樹
a flood of circleの『20周年記念ツアー 日本武道館への道』が1月11日東京・新代田FEVERでゲストにSPARTA LOCALSを迎えてスタートした。4月28日(火)まで続く同ツアーは全20公演に上り、各地で9mm Parabellum Bullet、cinema staff、Nothing’s Carved In Stone、バックドロップシンデレラ、GLIM SPANKY、ヒトリエ、BIGMAMA、ドレスコーズ、山中さわお、PK shampoo、w.o.d.、SIX LOUNGE、My Hair is Bad、[Alexandros]という、フラッドとともに20年を駆け抜けてきた同輩をはじめ、ライブシーンの強者を迎える。
満員御礼のFEVERは開場BGMもなく、それがむしろオーディエンスの熱い気配を実感させる。先攻のSPARTA LOCALS。安部コウセイ(vo/g)がMCで話していたが対バンのメンツが発表されると「SNSで他のバンドは素敵ねとかの反応なのに、SPARTA LOCALSだけ知らないって書いてる人がいて。でも今から知れて良かったね」と痛快なスタンスを示すと、彼らのファン以外にもスルッと受容されていた。さすがである。コウセイと佐々木亮介の音楽性は違うけれど、両者ともに言葉に対する繊細さと大胆さにおいては共通するものが間違いなくあって、それは直線的にエモい感情に疑義を唱える表現者のユニークな感性として共振していた。どこかシュールで独特なバンドイメージを持たれるSPARTA LOCALSが、キレッキレのポストパンクをブチかます序盤。生音で体験すると楽器の抜き差し、アイデア豊富なリフ、何よりコウセイの存在感たっぷりなアクションと無垢な声の不思議なバランスに持っていかれる。代表曲「トーキョウバレリーナ」、タイトな中山昭仁(ds)のビート、蠢きつつ引き締まった安部光広(b)のフレーズに思わず「かっけえ……」と声が出た「UFOバンザイ」から「旧TOKYO」まで6曲をほぼノンストップで演奏。インディポップっぽさも取り込み、ファンクの足腰の強さも更新されてもはや踊るしかない。
コウセイ独特の「ア・フラッド・オブ・サークル、武道館をぶち抜け!」という鼓舞がフロアの共感を得ると、中盤にはロックミュージックの衝動と切なさが映像的に広がる名曲「ハート」で感情に訴える。
主役のフラッドのツアーとは言え、引き締まったポストパンクの熱が残るステージはここから空気を一変させるいい緊張感に満ちている。だが、いつも通りオープニングSEもなく、なんなら佐々木がひとりふらっとステージに現れる様子はオープンマイクで初見のオーディエンスに挑むぐらいフレッシュだ。フレッシュと言えばニューアルバム『夜空に架かる虹』はバンドの演奏を素材として佐々木がエディットした、バンドサウンドより「今なにがロックなのか?」を常に突き詰める彼がとった究極の形態だ。初の日本武道館のガイドになるようなバンドサウンドの集大成ではなく、今もロックは最前線で他の音楽と戦えるのか?を意識することは佐々木のソロ作との境界を滲ませる行為でもあるわけだが、今回のツアーは『夜空に架かる虹』のある種ぶっ飛んだ楽曲をライブでバンドサウンドとして新生させるプロセスでもある。
ツアー初日ということで、セットリストや曲順を伏せて届けることを了承いただき、上記のアルバムでのチャレンジの現状、馴染みのナンバーとの親和性、さらに初日ならではの気迫を軸にレポートしてみたい。いきなりオーディエンスのムードの話をして恐縮だが、キャパ300のレアチケットを獲得した猛者ばかりなわけだから、ステージに向けられる熱量は凄まじい。だが、そこはフラッドのライブ。
気になるアルバム新曲はアンコールを含め6曲披露されたが、本編では4曲のみ。14曲中4曲というのはニュー・アルバムに伴うツアーなら少ない気もするが、これが『日本武道館への道』ツアーであることを勘案すると腑に落ちる。少ないと言いつつ、アルバム新曲がどうライブアレンジされたのかというと、オリジナルではエレクトロスウィングのムードも感じ、SEも多用された「ASHMAN」は佐々木の矢継ぎ早に繰り出されるトーキングボーカル(もはやラップと言った方がしっくりくる)がライブでの求心力の肝だ。フラッドには珍しい跳ねるグルーヴを実現するアオキテツ(g)とHISAYO(b)のリフがめちゃくちゃ新鮮だ。佐々木の言葉数の多い曲で見せる特異性はブルースマンとラッパー、フォークシンガーのすべてがあって、ロックはそれらすべてを包摂するんだと彼の歌を聴くと実感させられる。また、ダンスミュージック的なメカニカルなSEが加味されていた8ビーター「マイ・モーターサイクル・ダイアリーズ」はライブでは曲そのものが持つ青春の疾走感がバンドサウンドで迫り、歌詞のメッセージが頭じゃなく全細胞が理解した。この曲の前後も一旦乗ったら降りられないジェットコースターのごとき心のスピード感と、バンドとファンが描いてきたストーリーが重なる震える構成なので、もし同じセットリストならこれから参加する人は素晴らしい体験になるだろう。
昨年11月の新宿歌舞伎町でのフリーライブでも改めて代表曲のキャッチーさやポピュラリティに、2020年代後半に鳴らされるロックンロールのリアリティを「ミッドナイト・クローラー」や「ベイビーブルーの星を探して」や「シーガル」に感じたのだが、この日もこれらの曲はライブの熱量と前向きなムードを加速させていた。また、全員が渡邊一丘(ds)のドラムセットに向き合うように円になり、ザクザク刻まれるリフとビートを鳴らすイントロでライブハウスが生き物の唸り声を上げるような歓声で溢れた「プシケ」への渇望も凄まじかった。
『日本武道館への道』と言えば、フリーライブで披露されたアルバムタイトル曲「夜空に架かる虹」がいつどんな流れで披露されるのかもファンは気になるところだろう。これがもう間違いなく狼煙といっていいタイミングで、このツアーから武道館への道を告げる瞬間、そして気負いのない自然さで鳴らされる時間は変な話、体から余計なものが抜け落ちる気分だった。歌詞で「5月6日、武道館、目を開けて夢を見ている」と、具体的な事実とスタンスとしての事実を並列する佐々木亮介というリリシストの覚悟と冴え。普通、歌詞に残さないだろうということをやってのける彼に対する信頼が、奇跡と言われる夜の虹を一緒に見ようという気持ちを増幅させるのだ。佐々木は「武道館来てね。きっと面白いから」と、言葉少なく、そこに最大の自信を窺わせていた。そして、SPARTA LOCALSの「ばかやろう」にシンパシーとリスペクトを送る場面もあったことを記しておく。
<ツアー情報>
『a flood of circle 20周年記念ツアー 日本武道館への道』
1月11日(日) 東京・新代田FEVER
ゲスト:SPARTA LOCALS
1月23日(金) 愛知・名古屋CLUB QUATTRO
ゲスト:9mm Parabellum Bullet
2月5日(木) 茨城・水戸LIGHT HOUSE
ゲスト:cinema staff
2月14日(土) 岩手・盛岡CLUB CHANGE WAVE
ゲスト:Nothing’s Carved In Stone
2月15日(日) 福島・郡山HIPSHOT JAPAN
ゲスト:Nothing’s Carved In Stone
2月19日(木) 栃木・宇都宮HEAVEN’S ROCK VJ-2
ゲスト:バックドロップシンデレラ
2月26日(木) 千葉・千葉LOOK
ゲスト:cinema staff
2月28日(土) 神奈川・横浜ベイホール
ゲスト:GLIM SPANKY
3月1日(日) 京都・京都磔磔
ゲスト:ヒトリエ
3月7日(土) 長野・長野CLUB JUNK BOX
ゲスト:GLIM SPANKY
3月8日(日) 新潟・新潟LOTS
ゲスト:BIGMAMA
3月13日(金) 大阪・心斎橋BIGCAT
ゲスト:ドレスコーズ
3月14日(土) 石川・金沢エイトホール
ゲスト:山中さわお&ELPIS
3月27日(金) 岐阜・岐阜ants
ゲスト:PK shampoo
4月3日(金) 北海道・札幌cube garden
ゲスト:w.o.d.
4月5日(日) 宮城・仙台darwin
ゲスト:w.o.d.
4月15日(水) 愛知・名古屋DIAMOND HALL
ゲスト:SIX LOUNGE
4月17日(金) 福岡・福岡BEAT STATION
ゲスト:SIX LOUNGE
4月24日(金)広島・CLUB QUATTRO
ゲスト:My Hair is Bad
4月28日(火) 東京・Zepp DiverCity TOKYO
ゲスト:[Alexandros]
◼︎チケット一般発売中
https://w.pia.jp/t/afloodofcircle-20thtour/(https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2563679&afid=P66)
<ライブ情報>
『“a flood of circle 20周年記念公演 LIVE AT 日本武道館”』
5月6日(水・祝) 東京・日本武道館
開場15:00 / 開演16:00
【チケット情報】
一般指定席:7,700円(税込)
学割指定席:5,500円(税込)
Tシャツ付き 一般指定席:11,000円(税込)
Tシャツ付き 学割指定席:8,800円(税込)
◼︎ぴあ特別先行:1月17日(土)12:00~2月11日(水・祝)23:59 http://afloodofcircle.com/budokan2026/(https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2564183&afid=P66)
関連サイト
『“a flood of circle 20周年記念公演 LIVE AT 日本武道館”』特設サイト
http://afloodofcircle.com/budokan2026/
a flood of circle オフィシャルサイト
http://www.afloodofcircle.com/

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