宝塚月組によるミュージカル・キネマ『今夜、ロマンス劇場で』と、ジャズ・オマージュ『FULL SWING!』の東京公演が、2月25日(金)から東京宝塚劇場で開幕する。
この2作品は、昨年8月に退団した前トップコンビ、珠城りょうと美園さくらの後を受け、新トップコンビに就任した月城かなとと海乃美月の本拠地お披露目公演として、1月1日に宝塚大劇場で幕を開けた。
『今夜、ロマンス劇場で』は、2018年に綾瀬はるかと坂口健太郎の主演で公開された同名映画の舞台化で、脚本・演出を手がけるのは、これまでにも『フットルース』『Shall we ダンス?』『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』『幕末太陽傳』など、映画原作の作品を数々ヒットさせてきた小柳奈穂子。月城の主演作を担当するのは、昨年10月の博多座公演『川霧の橋』から2作連続となる。
月城が演じるのは、映画監督を夢見て撮影所で助監督として働く牧野健司。彼は、ロマンス劇場という古い映画館の映写室で見つけたモノクロ映画のヒロイン美雪に思いを寄せているが、ある日、その美雪がスクリーンから突然飛び出してきた。お転婆姫の役そのままに自分をしもべ扱いし、カラフルな現実の世界に興味津々の美雪に振り回されながらも、彼女への純粋で一途な愛を貫き通す誠実な青年を、月城が好演。美雪役の海乃も、これまでになくストレートに意志や感情を表現するお姫様役を生き生きと演じている。
このほか、銀幕の大スター俊藤龍之介を存在感たっぷりに演じる鳳月杏、映画の登場人物で隣国の王子大蛇丸役の暁千星、健司の助監督仲間、山中伸太郎役の風間柚乃らが、それぞれ個性を生かして、周囲をしっかり固めている。
併演の『FULL SWING!』は、ベテラン三木章雄の作・演出で、お披露目公演にふさわしく、明るくバラエティ豊かなショーだ。フランク・シナトラのメドレーや、“月”に因んだナンバーなど、様々なジャズのリズムに乗せ、歌とダンスがスタイリッシュに、情熱的に繰り広げられる。
3月27日(日)の千秋楽には、全国の映画館でライブ中継が行なわれ、タカラヅカ・オン・デマンドでライブ配信も予定されている。
取材・文:原田順子