
1月25日に霞町音楽堂で開催された、ジャズピアニスト、キース・ジャレットによる伝説の名盤「ザ・ケルン・コンサート」全曲再現コンサートは、満員の聴衆の中感動と興奮の中で行われ、大きな話題を読んだことが記憶に新しい。
「ザ・ケルン・コンサート」とは、ジャズ・ピアニスト、キース・ジャレットが1975年1月24日にドイツのケルンで行ったソロ・コンサートのライブ録音で、これまでに400万枚以上のセールスを記録したジャズ史上屈指の名盤だ。
今回行われたコンサートでは、この伝説の名演を忠実に採譜し、キース・ジャレット本人も公認した楽譜を使用。50年前の伝説の一夜をリアルに再現しようと試みたのだ。この難題に挑んだのは、新進気鋭のピアニスト山口ちなみ。楽譜があれば何でも再現できるというクラシックジャンルのピアニストがジャズに挑む“異種格闘技戦”といった趣だ。
楽譜に寄せられたキース・ジャレットによる“「ザ・ケルン・コンサート」へのまえがき”とされる文章には、「信じがたいほどこの楽譜は音楽に近づいている。そこでついに私はこの監修版楽譜出版を決意した」と書かれている。これはまさに今回使用する楽譜の完成度の高さを象徴している言葉だろう。
1月25日の再現コンサートにおいては、「感動で涙が止まらなかった」という参加者の言葉とともに、演奏を終えたピアニスト山口ちなみの言葉が心に残る。
「即興を再現するというテーマを前に、本番が近づく中で様々なことを考え、時にナーバスになりながらも、ひたすら練習を重ねたのです。結果的にたくさんの方が聴きたいと言って来てくださった本番は暖かな雰囲気の中で演奏に集中させていただくことができました。
これは周囲の想像以上に大変な挑戦だったに違いない。
さて朗報!この「ザ・ケルン・コンサート」全曲再現コンサートの追加公演が決定したのだ。1975年1月24日のケルンにタイムスリップしてみるのはいかが?
誕生50周年「ザ・ケルン・コンサート」全曲演奏会(追加公演)
3月14日(金) 19:00開演
霞町音楽堂
●山口ちなみ(ピアノ)
和歌山県新宮市出身。
大阪芸術大学演奏学科を首席で卒業。卒業時に学長賞を受賞。武蔵野音楽大学大学院博士前期課程器楽専攻ヴィルトゥオーソコース修了。在学中にソリストオーディションに合格し、武蔵野音楽大学管弦楽団と国内及びドイツにて共演。
読売新人演奏会、関西新人演奏会、若い音楽家達の飛翔、むさしのフレッシュコンサート、和歌山県新人演奏会等に出演。第9回かがりの里音楽コンクール第1位、第21回日本クラシック音楽コンクール第5位(1~3位なし)、第14回北関東ピアノコンクール第1位受賞。
ピアノを丹羽節、中村勝樹、重松聡、伴奏法を三ッ石潤司、室内楽をC.ドルの各氏に師事。
マスタークラスなどでK.ゲキチ、J.L.プラッツ、J.ダムガード、P.クーイデルの各氏から指導を受ける。2017年には紀尾井ホール、2018年には東京文化会館小ホールにてリサイタルを行う他、室内楽では読売日本交響楽団のメンバーによるカルテット等と多数共演。