『舟を編む』『月』の石井裕也監督が、心打たれた実話を基に作りあげた映画『人はなぜラブレターを書くのか』が、いよいよ4月17日(金)に全国公開される。主演は初タッグの綾瀬はるか。
『人はなぜラブレターを書くのか』
2000年3月8日に日比谷線・中目黒駅で脱線事故が起き、5人の尊い命が奪われた。そのひとりが、麻布高校に通い、放課後はボクシングに打ち込む17歳の青年、富久信介さんだった。それから20年の歳月が流れたある日、信介さんが通っていたボクシングジムに、彼へのメッセージが届く。そこには、家族も知り得なかった当時の彼の姿が書かれていて……。
スポーツ報知の「事故で亡くなったボクサー富久信介さんへ“20年後のラブレター”」という記事でこの実話を知り、心動かされた石井裕也監督が、遺族や関係者、そして手紙の送り主の協力を得て、監督の創作を加えた一篇の物語にした。
手紙を書いた寺田ナズナ(綾瀬はるか)が主人公。夫(妻夫木聡)と高校生の娘(西川愛莉)と暮らし、趣味をかねた畑仕事をするかたわら、古民家カフェを営む主婦だ。その日常と、17歳のときのナズナの姿(當真あみ)が並行して描かれる。
その頃、ナズナは、いつも同じ列車の同じドアから乗ってくる男子高校生(細田佳央太)にドキドキしていた。車内で辛い目に遭ったときに助けてくれた彼。
それから24年の歳月が流れ、すれちがったふたりをつなげる出来事が起こる。これまでの人生を振り返りながら信介に書いたナズナの手紙が、ある理由で、ボクシングジムに届けられてしまったのだ。
このことであらためて見直された彼の存在。突然命を奪われた17歳の少年は何を考え、どんな風に生きていたか。両親は、ナズナからの手紙を読み、武骨でシャイだった息子に恋心を抱いた女性がいたことを知る。慈しみ、育てた息子が事故で奪われた無念を心に持ち続けていた両親にとって、はじめてきく、ちょっとうれしい息子の青春の一頁だった。両親役は佐藤浩市と原日出子。無口だが、真情あふれる佐藤の演技が心をうつ。
もうひとり。2004年にボクシングの世界チャンピオンになった、川嶋勝重も彼の短かかった人生で大きな意味を持つ存在として描かれる。実際に信介があこがれ、尊敬していた同じ大橋ジムのボクサーだ。彼らの友情は、川嶋が世界タイトル戦で身につけるトランクスに富久信介のイニシャル「S.T」を縫い込んだ、という実話などで描かれる。『あゝ、荒野』のボクサー役で日本アカデミー賞 最優秀主演男優賞に輝いた菅田将暉が、圧倒的な存在感で演じ、この世界タイトルマッチの再現シーンも、圧巻。
さらに、ナズナ自身の家族にも大きな転機が訪れ──。
いくつもの人間模様。巡り会うこと、その巡り合わせのふしぎ。人生のなかで出会った大切な人やものを想う気持ちの尊さ。そんなことを改めて考えさせてくれる映画だ。
Official髭男dismが歌う主題歌「エルダーフラワー」が刺さる人も多いはず。自分だけの推し曲が旋回する人もいるかもしれない。
文=坂口英明(ぴあ編集部)
【ぴあ水先案内から】
笠井信輔さん(フリーアナウンサー)
「……犠牲者がつないでいた縁が、20年を経る間にどんなふうに実を結んでいったのか。それはもう本当に感動・感涙の一言。……」
笠井信輔さんの水先案内をもっと見る(https://lp.p.pia.jp/article/pilotage/461628/index.html)
(C)2026 映画「人はなぜラブレターを書くのか」製作委員会

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