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第96回アカデミー賞授賞式が3月11日(日本時間)、米ロサンゼルスのドルビー・シアターで開催され、「原爆の父」と呼ばれたアメリカの物理学者ロバート・オッペンハイマーを題材に描いた歴史映画『オッペンハイマー』が作品賞、監督賞(クリストファー・ノーラン)、主演男優賞(キリアン・マーフィ)、助演男優賞(ロバート・ダウニー・Jr.)など7冠に輝いた。
下馬評通りの圧勝を収めた『オッペンハイマー』
2006年ピュリッツァー賞を受賞したノンフィクション「『原爆の父』と呼ばれた男の栄光と悲劇」を下敷きに、オッペンハイマーの栄光と挫折、苦悩と葛藤を描いた本作。
ノーラン監督は、『ダンケルク』に続き2度目のノミネートで、今回が初の受賞。
主演男優賞は、キリアン・マーフィが初受賞。アメリカの物理学者ロバート・オッペンハイマーを演じ、世界の運命を握ると同時に、世界を破滅させる危機に直面するという、矛盾を抱える男の数奇な人生を体現した。ノーラン監督とのタッグは6度目。ノーラン作品で初めて主演を務めた。
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さらに助演男優賞は、メリカ原子力委員会のルイス・ストラウス委員長を演じたロバート・ダウニー・Jr.が手にし、こちらも初受賞を果たした。過去に、チャールズ・チャップリンを演じた『チャーリー』で主演男優賞、『トロピック・サンダー/史上最低の作戦』で助演男優賞にノミネートされており、今回が念願の受賞だ。
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『哀れなるものたち』主演女優賞はじめ4部門で栄冠
『オッペンハイマー』の最大のライバルとして、賞レースをけん引してきた『哀れなるものたち』(ヨルゴス・ランティモス監督)も、主演女優賞をはじめ4部門で栄冠に輝き、存在感を放った。胎児の脳を移植されたヒロインが、「世界を自分の目で見たい」という強い欲望にかられ、大陸横断の旅に出るダークファンタジー。主演女優賞に輝いたエマ・ストーンは、数奇な冒険の果て、時代の偏見から解放され、驚異の成長を見せる主人公のベラ・バクスターを演じ、『ラ・ラ・ランド』以来2度目の同賞受賞を果たした。
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『哀れなるものたち』(C)2023 20th Century Studios. All Rights Reserved.
また、『哀れなるものたち』は、美術賞、衣装デザイン賞、メイクアップ&ヘアスタイリング賞も受賞。圧巻のビジュアルで世界中を魅了した同作にふさわしい結果を収めている。
日本からノミネートされた3作品の結果は?
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『君たちはどう生きるか』(C)2023 Studio Ghibli
注目を集めた長編アニメ映画賞は、スタジオジブリ製作・宮崎駿監督作品『君たちはどう生きるか』が受賞。
また、山崎貴監督の『ゴジラ-1.0』が視覚効果賞を受賞。邦画のみならず、日本及びアジア映画で初の同賞受賞という快挙を達成した。『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME3』『ザ・クリエイター 創造者』『ナポレオン』という強力なライバルを蹴散らした。全米では昨年12月、『Godzilla Minus One』のタイトルで封切られており、全米における累計興収が、邦画実写作品として、34年ぶりに記録を塗り替えている。
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『ゴジラ-1.0』(C)2023 TOHO CO.,LTD.
なお、役所広司が主演した『PERFECT DAYS』(ヴィム・ヴェンダース監督)は、国際長編映画賞を逃した。
文=内田涼
<受賞コメント>
■主演女優賞/エマ・ストーン
素晴らしい共演者の皆さん、ノミネートされた皆さんと一緒に受賞したと思っています。皆さんから、常に刺激を受けています。この賞は私のためではなく、持てる力以上を発揮してくださり、素晴らしいものを作り上げたチームのためのものです。これこそ、映画製作の醍醐味です。
■主演男優賞/キリアン・マーフィ
(撮影を通して)ワイルドで創造的な旅路に出ることができました。(家族に対し)本当に愛しています。アイルランド人として誇らしい思いです。和平を構築するためにこの賞を捧げたいです。
■助演女優賞/ダヴァイン・ジョイ・ランドルフ
神は素晴らしい。私は、自分がこのようなキャリアを歩むとは想像もしていませんでした。キャリアのスタートは、歌手でした。ある日、母は私に「あの通りの向こうにある劇場に行けば、きっと何かがあるはず」と言ってくれました。母に感謝します。
私のそばにいてくれた人たち、導いてくれた人たち、ここにいるすべての美しい人たちに感謝します。
■助演男優賞/ロバート・ダウニー・Jr.
ありがとうございます。悲惨だった幼少期とアカデミー賞、私の獣医、妻のスーザンに感謝します。私はうなり声を出す保護動物みたいでしたが、蘇らせてくれたのです。おかげで、私はここにいるのです。俳優業が私を必要としてくれる以上に、私が俳優業を必要だったんです。クリス(クリストファー・ノーラン)はそれを知っていて、(プロデューサーの)エマ・トーマスが、エミリー・ブラント、キリアン・マーフィ、マット・デイモン……、素晴らしいキャストとスタッフを集めてくれた。そのおかげで、私はより善良な人間として、ここに立っているのです。私たちのやることには意味があり、私たちが作ると決めた作品は大切なのです。
■監督賞/クリストファー・ノーラン
ユニバーサル・スタジオ、この作品の可能性に気付いてくれてありがとうございます。
■視覚効果賞/山崎貴監督
40年以上前に『スター・ウォーズ』『未知との遭遇』を見た衝撃から、キャリアをスタートさせた私にとって、ここは想像することさえできない場所です。ノミネートの瞬間、私たちは、まるでロッキー・バルボアのようでした。偉大なライバルたちを相手に、リングに立てた事が、奇跡でした。しかし、私たちは今この場に立っています。ここから遠く離れた場所でVFXを志す皆さんに伝えたいです。ハリウッドが、誰にでも挑戦権があると証明してくれました。最後に、昨年亡くなった我々のプロデューサーである阿部秀司さんに「やりました!」と言いたいです。ありがとうございました。
【第96回アカデミー賞】受賞結果
■作品賞『オッペンハイマー』
■監督賞クリストファー・ノーラン『オッペンハイマー』
■主演男優賞キリアン・マーフィ『オッペンハイマー』
■主演女優賞エマ・ストーン『哀れなるものたち』
■助演男優賞ロバート・ダウニー・Jr.『オッペンハイマー』
■助演女優賞ダヴァイン・ジョイ・ランドルフ『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』
■脚本賞ジュスティーヌ・トリエ、アルチュール・アラリ『落下の解剖学』
■脚色賞コード・ジェファーソン『アメリカン・フィクション』
■視覚効果賞『ゴジラ-1.0』
■美術賞『哀れなるものたち』
■撮影賞『オッペンハイマー』
■衣装デザイン賞『哀れなるものたち』
■長編ドキュメンタリー賞『実録 マリウポリの20日間』
■短編ドキュメンタリー賞『ラスト・リペア・ショップ』
■編集賞『オッペンハイマー』
■国際長編映画賞『関心領域』(イギリス)
■音響賞『関心領域』
■メイクアップ&ヘアスタイリング賞『哀れなるものたち』
■作曲賞ルドウィグ・ゴランソン『オッペンハイマー』
■長編アニメーション賞『君たちはどう生きるか』
■短編アニメーション賞『WAR IS OVER! Inspired by the Music of John & Yoko』
■主題歌賞ビリー・アイリッシュ“What Was I Made For?”(『バービー』)
■短編実写映画賞『ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語』(ウェス・アンダーソン監督)