
アルツハイマー型認知症と戦うイギリスのテッド・マクダーモットが80歳でCDデビューを果たした実話を基に、舞台を日本の横須賀に移し、寺尾聰と松坂桃李が親子役で共演する映画『父と僕の終わらない歌』。このたび、テッド・マクダーモットの息子、サイモン・マクダーモットによるコメントが到着した。
テッドは生まれきってのシンガーで、どんな歌でもすぐに歌えることから 「The Songaminute Man」(https://x.com/songaminute/status/1901357270862115283) という愛称で親しまれていた。しかし、2013年にアルツハイマー型認知症を発症すると陽気な性格は一転し怒りっぽくなり、昼夜問わず妻に当たり散らすように。いつしか息子のことさえ忘れ、本人にとっても家族にとっても大変な日々が続いたという。
そんなある日、父親の記憶が薄れていく中で、歌を一緒に歌う時間だけは父が生き生きとし、記憶が蘇るような瞬間があることに気づいたサイモンは、父と車の中でデュエットする様子を収め、動画サイトに投稿。1,000ポンド(当時約14万円)を目標にして、そこで得た収益をイギリスの研究機関アルツハイマー・ソサエティに寄付することを考えていたが、SNSで大きな話題となり、12万5,000ポンド(当時約1,750万円)もの寄付が集まった。彼の話題はイギリス全土に広がり、アルツハイマー病の治療に音楽が非常に有効であることや音楽療法の効果について、改めて認識されるきっかけとなった。
松坂演じる間宮雄太のモデルとなったサイモンは、日本での映画化のオファーを受けたときの印象について、「何より家族で大喜びしました! 本当に夢が叶ったと思いましたし、父の認知症の暗い日々が日本で映画を撮るきっかけになるとは誰が想像できただろうかと!? 本当にすごいことです!」と喜びのコメントを寄せた。映画化するにあたって気にしていた点については、「私が一番気にしていたのは、この映画が私たちの物語に寄りすぎてしまわないかということ、また認知症を軽視することや父を漫画のキャラクターのようにしたくなかったということです。しかし、映画チームの皆さんは人々の共感を呼ぶような素晴らしいストーリーを作り上げてくれたと思います。音楽、家族、仲間、愛、そして私たち全員がどのようにしてお互いを支え合うべきか、日本を舞台にしていることも、まるで他人の人生を覗き見しているような距離感を与えてくれたので、とても嬉しいです」と作品の脚本を絶賛した。
映画を観る人に対しては、「この映画を観て、あなたの人生で大切な人を思い出して、会いに行く時間を作ることを忘れないでほしいです。日頃、仕事のストレスに埋もれてしまい、人との日常の美しさを忘れてしまうときがあると思います。
<作品情報>
『父と僕の終わらない歌』
公開中
公式サイト:
https://chichiboku.jp
(C)2025「父と僕の終わらない歌」製作委員会