2026年2月16日、新国立劇場にて2026/2027シーズン演劇ラインアップ説明会が行われ、次期演劇芸術監督の上村聡史が上演作品および新たなプロジェクトについて説明した。
20年前に演出助手として新国立劇場の公演に初めて参加、10年ほど前から演出を任されるようになったという上村。
1.現代的、国際的、批評的
2.クロスオーバー、他ジャンルとのつながり
3. 新しい才能との出会い
4.消費で終わらないパフォーマンス
という4つの視点。これを基本に置いて組まれた。
2026/2027シーズンラインアップとして、以下の7作品が紹介された。
『巨匠とマルガリータ』
2026年11月 中劇場
原作:ミハイル・ブルガーコフ
翻案:エドワード・ケンプ
翻訳:小田島創志
作・演出:上村聡史
出演:
成河 花乃まりあ 松島庄汰 菅原永二
明星真由美 小松利昌 富山えり子 内田健介 山本圭祐 山森大輔
柴一平 釆澤靖起 近藤隼 猪俣三四郎 篠原初実 笹原翔太
大鷹明良 篠井英介
上村芸術監督就任第1作となるのは、上村が2024年に新国立劇場で演出した『白衛軍』と同じブルガーコフの作品。「原稿は燃えない」という一節に、真に価値ある作品は、権力や抑圧によって破壊されることなく、いつか必ず人々の手元に届くという作家自身の信念、希望が込められる。エドワード・ケンプによる翻案では、主人公の「巨匠」は小説家ではなく劇作家。上村は、「オープニング作品にふさわしいスペクタクル性を持ってお届けできれば」とアピールした。
『ミノタウロスの皿』(新作)
2026年12月 小劇場
原作:藤子・F・不二雄
脚色・振付・演出:スズキ拓朗
『ミノタウロスの皿』原作イラスト
藤子・F・不二雄が 1969年に発表した短編SF漫画を基に、ダンスカンパニー CHAiroiPLIN主宰のスズキ拓朗の脚色・振付・演出により、ダンスや映像を駆使した演出で示唆に富む作品として届ける。
『ナハトラント~ずっと夜の国~』(日本初演)
2027年3月 小劇場
作:マリウス・フォン・マイエンブルク
翻訳:長田紫乃
演出:柳沼昭徳
2027年の3月からは、現代的、国際的、批評的な視点で創作する4作品が並ぶ。その1作目として上演されるのが、ドイツを中心に現代演劇をリードする作家で、常に現代人の精神性にまつわる問題提起をするマリウス・フォン・マイエンブルグの作品。父親の遺品の中にアドルフ・ヒトラーと関わりがあると思われる絵画を見つけた家族。それを受け継ぐのか、負の遺産と見なして放棄するのか──。ナチス・ドイツというデリケートで重いテーマを、現代を生きる家族の日常にブラックユーモアをもって落とし込んだ力作。
『見えざる手』(日本初演)
2027年4月 小劇場
作:アヤド・アクタル
翻訳:浦辺千鶴
演出:上村聡史
『ディスグレイスト』でピュリッツァー賞を受賞したアメリカの劇作家アヤド・アクタルによる、資本主義と信仰、暴力と倫理が交錯する密室劇。自ら演出を担う上村は、「日本でも国を挙げて推進している投資や金融取引をテーマに、世界経済から考察する分断をクライムサスペンスとして描きます。緻密な会話、心理戦を繰り広げながらも、そのマネーゲームの果てにあるカタルシスにぜひご期待いただければ」と意気込む。
『Ruined 奪われて』(日本初演)
2027年5月 小劇場
作:リン・ノッテージ
翻訳:小田島則子
演出:五戸真理枝
「コンゴ民主共和国における女性の実態に基づくセンセーショナルな物語は、同じ世界の住民として、決して人ごとでは済まされない真実。
『抱擁』(新作)
2027年6月 小劇場
作・演出:山田佳奈
現代人を鋭い視線で描き出す山田佳奈による新作。死に直面した母と生を宿した娘の対話を軸に、生と死、始まりと終わり、赦しと選択が交錯する現代日本の今が描かれていく。「昨今、議論の尽きない生と死をめぐる葛藤というテーマを、日本的な視点と国際的な視点を交えながら展開する力作。今回は山田さん自身の演出で、きれいごとでは終われない人生と命の再生の意味、意味を問う作品をお届けしたい」(上村)。
「己の感性を厳しく問い詰めながら──」
2026/2027シーズンのラインアップ最後の演目として上演されるのは、上村が掲げる支柱のひとつ、「消費で終わらないパフォーマンス」への取り組みの、その第一歩となるものだ。
グリーン・リバイバル・ラボ #1
『エンジェルス・イン・アメリカ』
2027年7月 小劇場
2023年公演より(撮影:宮川舞子)
作:トニー・クシュナー
翻訳:小田島創志
演出:上村聡史
出演:
浅野雅博 岩永達也 長村航希 坂本慶介 水夏希 山西惇 ほか
消費で終わらないパフォーマンス企画「グリーン・リバイバル・ラボ」の第一弾として、2023 年に上村自身が演出した本作を再構築して上演。前回の上演を踏まえながら、過去に新国立劇場で上演された『レオポルトシュタット』『白衛軍 The White Guard』、また2026年11月の『巨匠とマルガリータ』の舞台美術を一部再利用、舞台形状も初演時より変化させ、出演者の演技やスタッフのアイデアといったアナログ的手法に注力したリバイバル上演になるという。
2023年公演より(撮影:宮川舞子)
2023年公演より(撮影:宮川舞子)
2023年公演より(撮影:宮川舞子)
1980 年代半ばのエイズ禍のニューヨークを舞台に、セクシュアリティ、人種問題、信仰、政治など、アメリカ社会が抱える苦悩や葛藤を浮き彫りにした傑作群像劇。
「再演という枠に収まらない新たな試みでの創作になります」(上村)。
以上のラインアップに加えて、上村芸術監督在任期間中の新たなプロジェクトについても説明がなされた。
集団創作による新作 劇作コンペ・出演者フルオーディションは、上村が掲げる指針「新しい才能との出会い」に基づき、劇作家を公募して新作を創作するプロジェクトだ。上村は、日本演劇の歴史の中で、多くの新作が劇団による集団創作から生まれてきたことに注目し、「時間をかけて、劇作家と演出家、出演者が積極的に交流し、新しい劇言語、新しい物語、つまりは同時代における新作の可能性を、この新国立劇場という場でも展開したい」という。選ばれた劇作家が演出家と検討を重ね、プロダクションワークショップ、リハーサルを経て上演に向かう。実際の上演は2028年4月を予定、2026年春に詳細を発表し、劇作家を募集する。演出は五戸真理枝。上村の在任期間中は、継続的に取り組んでいくとも。
グリーン・リバイバル・ラボは、一度きりの消費で終わらないパフォーマンスを目指すという取り組み。2027年7月の『エンジェルス・イン・アメリカ』の上演が第一弾として発表されたが、本プロジェクトの公演以外でも、2027年4月上演の『見えざる手』では2025年12月の『スリー・キングダムス Three Kingdoms』の素材を再利用するなど、劇場全体で持続可能な舞台作りを推進するという。
また、「今、世界各地の演劇の現場で何が起きているのか?」を体感できる多彩なプログラムを実施していくドラマクエスト ─物語の探求─にも注目だ。「新しい形式の演劇を観客の皆さまと共有、考察していきたい。
そのほか、次世代の観客を取り込んでいくために、演劇部門において、劇場に足を運びやすい価格帯のチケット料金を提供する「Theatre Day」をいくつかの演目において試みるとも。「何よりも将来の劇場文化の充実を目ざしたサービスを提案できれば」と言葉に力を込める。
さらに、「日本での公共劇場における芸術監督制の歴史は、ヨーロッパ諸国に比べてまだまだ。しかし、各国の国立劇場の在り方を見ても、それは決して均一的なものではなく、その国の歴史や生活風習といった背景を踏まえながら、劇場ごとにその独自性があるように見えます」と胸の内を明かす上村。日本における現代演劇の国立劇場の在り方については議論の尽きない問題としつつも、制作チームや各部署としっかり対話を重ね、観客の感覚、社会の現状を偏りのない目線で捉えるとともに、「芸術監督である己の感性を厳しく問い詰めながら、この命題と向き合ってプログラムを作っていきたい。創作もクリエイションも観劇も、劇場空間というものは精神的にも、身体的にも保障され、生産的な環境でなくてはならないと考えています。そういった場を構築し、維持できるよう、責任を持って監修できればと考えております」と語る。彼がリードする新国立劇場だからこその体験、新たな出会いに、期待が寄せられる。
取材・文:加藤智子

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